俺死んだら神様に会った
会社帰りに自宅の最寄り駅で電車を降りようとした時、ゴツンという音と共に目の前に星が飛んだ。いてぇ〜頭ぶつけたわ。
身長195cmの浦尾蔵人には日本の設計基準からいろいろとはみ出ているのだ。痛む頭を摩りながら、近所のコンビニでビールとつまみを買って帰宅する。
玄関を開けて、背中を丸めくぐる様に家に入ってドアを閉めて鍵をかける。
カバンを置いて、ビールを冷蔵庫にしまい、スーツを脱いで、シャツをクリーニング用のカゴに下着は洗濯機へ放り込みシャワーを浴びる。
「はぁ〜久しぶりにぶつけたけどまだ頭痛いわ〜」
そんなことを考えつつ体を洗いサッパリとした所で1週間ぶりのお楽しみ晩酌タイムだ。
そろそろ30だし、彼女欲しいなぁとか考えながら動画配信を見つつお酒を楽しむ。今週もやっと終わった。週末は用事も無いし思いっきり寝よう。好きなだけ寝ると決めていい感じに酔いながら布団に入って眠りについた。
眩しさで目を覚ますとそこは知らない屋外だった。
えっ空?俺昨日は部屋で寝たよなと考えながら辺りを見渡そうとした時、声が聞こえた
「お、来たね。浦尾蔵人君。」
「あなたは誰?此処は何処?」
「私は神だの、此処は神界だの。」
「何で!」
「浦尾君、昨日頭思いっきりぶつけただの?」
「はい。」
「で、お酒まで飲んじゃっただの。」
「そりゃ1週間の締めの晩酌は人生の生き甲斐ですから飲みますよ。」
「それが原因で死んじゃっただの、くも膜下出血だの。」
「えっ。」
「じわじわ出血しててお酒なければ頭痛で目が覚めて震えながら救急車コースだったんだだの。
習慣の飲酒がトドメだっただの。血行が良くなって出血量が増えて気がつく事なく死んじゃっただの。」
「ではこれから死出の旅路が始まるのですか?」
「その前にちょっと相談が有っただの、此処に来てもらっただの。」
「相談と言いますと?」
ラノベも読んでたしWeb小説だって読んでる此処まで来た、お約束の展開か?
「異世界、行ってみないだの?」
心の中で「キタ♪───O(≧∇≦)O────♪」と叫ぶ
「条件は?」
心とは裏腹に冷静に対処する事にしよう。勇者になって魔王倒せと言われてもなんかありきたりの展開だし、悪役令嬢にTSしましたとかもっと願い下げだ。
「そんなに喜んじゃって、そういう事言わないから安心してほしいだの。
此処じゃ心の声も聞こえてるだの。受けてくれそうで安心しただの。
浦尾君、条件はね、冒険者になって異世界の中を巡ってくれれば良いだけだだの。」
「人のプライバシーを聞かないでください!って、それだけですか?俺TUEEEEEとか、追放されてざぁーまとかも要らないと?」
「うん、要らないだの。じゃ条件を詰めようだの?」