血煙
騎士団候補生のウィリアムとジョンは連れだって、生存者を探していた。死体の並びがいつもおかしい。番兵は異様なぐらい一緒くたになって死んでいる。
「おい。見ろよ、剣が鞘に収まったままだぜ」ジョンが死体の前に座り込んだ。
「剣を抜く暇すらなかったのか」
ウィリアムが一応、脈をしらべた。顔見知りの衛兵の一人だった。
「死んでる」
「そんなの、みりゃあ、わかるよ。なあ、ウィル、もう生きてる奴なんていねえって」ジョンはそわそわして周りばかり見ている。彼はフラウィウスの途方もない力を目撃して、気力が萎えてしまったらしい。
「あれが、都の騎士か。バケモンだぜ。しかも、あれで黒ユリの五、六番手だろう?」
「まだ、若かったからな。俺たちとほとんど変わらん」
「俺、出世しようなんて考えないようにする。あんなモンスターと戦ってたら、命がいくつあっても足りない」
「けど、総力戦になったら戦争に参加するしかない」
「そしたら、俺は馬丁になる」
ジョンは冗談ではなくそういった。彼は強さで身を立てようとしていた夢を砕かれてヤケになっている。ウィリアムは無残な死体の山をながめて、長嘆した。
「どうして、神はあのような輩に力をお与えになるのか」
聞けば、黒百合の上の連中は冷酷な人間ばかりらしい。はたして、人外の力がこころを破壊するのか、心無い者に力が与えられるのか。
ふと、地面が揺れ始めた。魔力の不審な動きを感じて、ウィリアムとジョンは同じ方角を同時に見た。
風のようにフラウィウスが真横を通過していった。呼応するように、その上を得物の大群が彼を追いかけて飛んでいく。風を切る音が耳に残った。ジョンはフラウィウスが横を通過していって、腰を抜かした。さいわい、フラウィウスは興味なさげに二人を一瞥したのみで、何もせず、走っていった。
そして、その後を追って、血まみれの若人が広場の方から走ってきた。
「この獣。まてっ!」
腹部に熊手が刺さり、肩には直剣の刀身が突き立っている。血が顔を縦に流れていた。なぜ、立っていられるのか不思議なほどの怪我を負っていながら、男はジョンを突き飛ばし、ウィリアムの頭上を跳んでいった。
「このクソ野郎っ。殺してやる」
罵る声がフラウィウスの足跡をなぞるように轟いている。ウィリアムは(フラウィウスが追われている?)と気づいた。上空を舞っている得物が急に方向を変えて、血まみれの男に襲いかかった。たちまち、ハリネズミのように剣や槍が男の身体に突き立った。彼はそれを走りながら、引き抜いて唾を吐くみたいに路傍に投げ捨てた。
「こんなもの痛くもかゆくもねえぞ。地獄まで追っかけるからな」
罵る声に弱さがない。白刃に貫かれているのをもろともしない。しばらく、ジョンとウィリアムは茫然とその背中を見ていた。
「あいつは、エラリの侍従とかいう奴だ。そうだ、モニカ様が呼び寄せたやつだ」
「ああ、そうか。えげつない根性だな」
ウィリアムははっとした。
「いま、フラウィウスの片腕が無かった」
「は?」
「外套の袖が切れているだけで、気のせいかと思ったが、追われているのを見ると、まちがいない。フラウィウスは片腕を失っている」
「うそだろ」
「いいや。そうに違いない。ああ、さすがの慧眼である。――モニカ様は、言われた。あいつに加勢するのが唯一の勝機だと。あの時は訝ったが、まさにそのとおりだった」
「おい。冗談だろ」
「冗談ではない。奴を助けに行く」
ジョンは半歩、逃げるように後ずさって「俺は嫌だぜ。無意味に殺されたくないし」といった。
「いいや。あいつがフラウィウスに殺されたら、このリカロンは地図から消されるぞ」
「どうして。べつにあいつが死ぬだけさ。奴はモニカ様の視力を奪うっていう目的を達成したわけだし、もうフラワリアに帰りたいだけだよ。むしろ、それをあいつが邪魔してるんだ」
「絶対違う。フラウィウスは田舎者に片腕を奪われたんだ。とてつもない屈辱を感じているはず。あいつが殺されたら、恨みを晴らそうとこのリカロンを血の海にする。それが、黒百合騎士団の意にそぐわないとしても」
ジョンはウィリアムの言うことを聞きながら、青ざめていった。ウィリアムはなお、言葉をつづける。
「それに、ジョン、お前は悔しくないのか。あの奸賊にモニカ様は視力を奪われたんだ。俺たちに立身出世の機会を与えてくださった人の眼だ」
「そりゃあ、くやしいけど」
「ならば、あの人に代わり雪辱を果たす」
「はやまるなって。まずは、モニカ様に判断を仰いでから」
ジョンはそういった。ウィリアムはかぶりを振った。
「あの人は止めるさ。お前も分かってて言ってるだろう。そんなに怖いなら、馬の世話でもしてろ」
ウィリアムが好き放題罵るので、ジョンは売り言葉に買い言葉で「ぐぐぐ。そこまで言うなら」といった。
「膝が震えてるぞ」
「あの化け物と戦うなんて、正気の沙汰とは思えない。――短い人生だった。おれは伴侶も得ずに墓の下の白骨になるのか」
「いいや。死なないさ。死に物狂いで行けば、おのずと活路が開くものだ」
ウィリアムはそういって、ジョンの肩をたたいた。
すると、不意にどこからともなく、からんと音を立てて、見たことのない赤い剣が足元に転がってきた。ジョンは大騒ぎして「おい。フラウィウスの神器の奇術だろっ!」と剣まで抜いた。
ウィリアムは注意深く、その剣をながめた。見たことのない朱色の刀身に古臭い意匠が目についた。呆気に取られていると、紅い剣の刀身が燭台のように三つの足に分かれた。蜘蛛のような足は、ぐいと柄を持ち上げて立ち上がった。
「なんだ、これは」ジョンが剣を向けた。剣の先がふるえている。
すると、刀身に虫の卵のようなたくさんの目玉とのこぎりのような歯があらわれた。ウィリアムとジョンは瞠目した。
「やあ。若き騎士たちよ。俺はコグだ。お前らには見込みがあるぞ。ギルバートを助けるのに俺も賛成」
「しゃ、しゃべった。剣がしゃべった」ジョンが魂を抜かれたように呟いた。ウィリアムも驚いて開いた口が塞がらない。
(神器には皆、人格がある。けれど、それは朧げな魂だ。こんなにはっきりと喋るやつは見たことも聞いたこともない)
「お前はいったい何者だ」
<何者>というのが適切かはわからないが、ウィリアムはそう聞いた。
「名乗ってる暇はない。さっきの話の続きだ。フラウィウスとかいう奸賊を倒したいんだろ? なら、話は早い。俺を、あの血まみれになって奔っていったバカに投げろ」コグはしゃべりながら触手を身ぶり手ぶりするように動かす。
「それは……あのエラリの侍従のことか?」
「そう」
ウィリアムは考え込んだ。すると、ジョンが横合いから「冗談だろ。こんな魔物みてえな奴の言うことを真に受けるのか」と反対した。
「ひとつだけ確認したい」ウィリアムはそう言って、懐から小瓶を取り出して、その内容物をコグの方へと投げた。粘液はコグの刀身に付着した。
「ああ、賢い奴だ。水銀だな」コグはそういって、刀身に付着した液体をべろりと舐めた。
「水銀は魔物の身体を破壊する。何ともない所を見ると、こいつは魔物ではないようだ」ウィリアムはジョンに説明した。
「で、どうするね」コグが二人の顔色をながめて問いかける。ウィリアムとジョンは顔を見合わせた。
「よし。わかった」
しり込みしているジョンを差し置いて、ウィリアムはコグの柄を握った。彼はコグを握った瞬間に総毛だつものを感じた。
(いったいなんだ。この力は……)。さも、峻厳な岩山を相手にしているような錯覚に襲われた。
一瞬、体がコグを拒否して、ウィリアムは手を離しそうになった。すると、頭蓋を叩くような声色でコグはいった。
「安易に己ごときが、俺を地面に落とすな。――殺すぞ」そう言われてウィリアムは硬直した。膝から震えがきた。コグを離そうとしていた手が勝手に柄を血がにじむほど強く握りしめ始めた。
「おい、ウィル。大丈夫か。顔が青いぜ」ジョンに言われたがウィリアムは「いや。だいじょうぶ」と顔をふった。ひどい頭痛と寒気がした。ウィリアムはコグの明朗な優位性を感じた。まるで、首を掴まれているような感覚である。こうなったら、コグに言われた通り、動くしかないとウィリアムは悟ったが、一方でこの悪魔のような怪剣をどうやって、ギルバート某とかいうエラリの侍従が手懐けているのか理解できなかった。
「さあ、はやく歩け。遅れて、もし、あいつが死んだら今度はお前の身体を貰うぞ」コグがしびれを切らした。心臓がどくんと脈打って、締め付けられた。あきらかにコグの仕業である。しかも、それを分かるように意図的に痛めつけられた。
「わかったから」
たまらずウィリアムはいわれた通り、ジョンを置き去りにして傀儡のようにひた走った。
――ギルバートはフラウィウスを縦横無尽に追いかけまわしていた。フラウィウスを先頭に、ギルバートが追いかけ、その後ろを無数の得物の光が、隠れて自宅の窓を覗いているリカロンの住民の目に焼き付いていく。また、一本、短刀がギルバートの脇腹をかすめていった。線のような切り傷が脇腹に入った。致命傷ではないが、痛い、と明確に思わせるものが意識に割り込んでくる。ギルバートは血走った眼付きでフラウィウスを睨んだ。けれど、その背中がまだ遠い。ふいにふりかえった時に見せた彼の相貌の笑みが、ギルバートをさらに激昂させた。
(イノシシだな)とフラウィウスは笑ったが、一方で殺すにはすこし惜しいとも思った。ほとんど身一つで追いかけてくる剛毅や、傷をもろともしない根性は都暮らしのフラウィウスには物珍しく映った。えてして、大都市では、魔力の天運に恵まれた者は貴族病に罹って、漠然と過ぎる平和のうちに酒池肉林の愉しみに溺れてしまう。平時は大層なものだが、火急の時には役に立たない。そういった才能だけの人間をフラウィウスは何人も見てきたし、事実、それが白百合騎士団のような対抗勢力に属する者の場合は、殺してきた。暗殺業によって、フラウィウスは人間の真贋を嗅ぎ分けるようになった。彼は人を殺す前に、その対象が、今際の際にどう反応するかを想定する。――ただの趣味であり、癖のようなものである。すると、彼には平常の人間がつまらないものに見えるようになった。ほんとうの人間の姿は、生死の境目の一瞬間に表れてくるのであると彼は思った。
(こいつは……死ぬのが怖くないのか)。
フラウィウスは血まみれになって追いかけてくるギルバートをいぶかし気に見た。
(客観的にみて、どこに勝機がある?)。
彼は疑問を持った。すでに殺そうと思えば、いつでも殺す準備が出来ているが、フラウィウスは彼に対する好奇心が勝ってなかなか、止めを刺せなかった。が、いつまでも遊んでいてもしょうがないし、腕を奪われた恨みもある。
もっとも、フラウィウスは片腕になったことより、騎士団内で自分の評価が下がることの方を恐れた。腕を失った事実は変えられないが、その報復にリカロンを血の海にすれば、威名だけは保たれる。――やはり、フラウィウスは怒らせてはならない、という具合に。
勝敗が決していないのに、のちのことを考えて、フラウィウスは気を緩めた。すると、ギルバートは足を急激に速め、四つ辻を家屋の隙間の路地に先回りして、真上を走るフラウィウスの前に真下から躍り出た。フラウィウスは急に目の前に先回りされて、瞠目して静止した。止まろうとする足が屋根瓦を跳ね上げていく。
ギルバートはわざと足を緩めて走っていたので、フラウィウスは裏をかかれた。剣は当然、素手ですら襲いかかれる距離まで近づいてしまった。そして、さらに、危ないのはクォンの魔術で宙を浮いている得物をフラウィウスはすべて背にしている。いわば、ギルバートは本体であるフラウィウスを盾にして、飛んでくる白刃を制した。じつは神器クォンの力は精緻な魔力の導きが必要で、それを使うためにはフラウィウスは一度、体を完全に静止させなければならないのである。この至近距離では、背後の得物の大群を動かそうとすれば、ギルバートに格好の隙を与える。ただでさえ、浮遊する得物は、真後ろにあるので、角度的にもギルバートを貫く前に、自分の身体をも貫く可能性がある。
「――もう逃がさん。この距離では、その奇術も無力だ」
拾ってきた鈍ら刀を手にして、ギルバートは言った。それはまぎれもない事実だったが、フラウィウスは顔色を変えずにクォンの剣先をギルバートの方へ向けた。なんと言ってもギルバートは満身創痍である。フラウィウスも片腕を失ったとは言え余力は十分、こうなったら真っ向勝負でギルバートを殺すと腹を決めた。裏をかかれたが、フラウィウスの切り替えは、恐ろしく早い。ギルバートは、ここまで近づいた時点で勝敗を決していた予定だった。フラウィウスが狼狽してくれれば、殺すに十分な間隙が生まれると踏んでいた。
(この気狂いめ)とギルバートは思った。腕を失っても逃げるどころか人質をとって戻ってきたり、いまも、己の油断で窮地に陥っても、気を持ち直すのが早い。まったく、その心の流れが読めない。フラウィウスとギルバートはお互い絶死の距離で固まった。こうなると、両者、逆に動けない。瞳と瞳がぶつかって、時間が引き延ばされて、すべてが遅々とした残像のように映った。
すると、ふいにフラウィウスは身をよじった。同時によじった肩の陰から熊手がまっすぐ、飛んできた。ある意味、フラウィウスも賭けに出た。自分の身体を貫く危険を冒して、背後の得物を動かし、自分の背中めがけて吶喊させた。
彼は賭けに勝った。背中に飛んでくる熊手を避けると、そのまま、熊手はギルバートの方へ飛んできた。不意を突かれたが、彼はそれをすんでのところで弾いた。弾いた瞬間、フラウィウスはギルバートの脇腹にクォンを突き刺した。肋骨に滑り込んで臓物が傷つけられた。
「ぐっ」ギルバートは悶絶した。
「――死ね」フラウィウスは悪魔のように微笑する。意識が遠ざかって前のめりに倒れかけた瞬間、最後の一瞬、目元の光が火を噴いた。
「いや。死なん」
ギルバートはフラウィウスの首筋に噛みついた。フラウィウスはさすがに、死に体のギルバートに噛みつかれて予想外だったのか、大口を開けて、声にならない吐息を漏らした。ぶちん、と首の皮が千切れた。血が噴き出して、フラウィウスは首を抑えて後ろに転んだ。そのさまを見下ろすギルバートの顔は朱にまみれている。
フラウィウスは傷口を目いっぱい抑えた。手の指の間から滝のように血があふれて出ていく。みるみるうちに失血して、手が青白くなってふるえ始めた。彼は即座に服の裾を破って、傷口に押し当てる。
「こ、このやろう」
真っ白くなった顔でフラウィウスは最後の力を振り絞った。ギルバートは身がまえた。フラウィウスが腰を抜かしたことで、浮遊する得物に対する盾がなくなった。目の前の得物の大群が襲い掛かってきたら、いよいよ死ぬしかない。けれど、ギルバートの血まみれの顔は晴れやかだった。
(この悪魔を道づれにしてやった)。彼に心残りはない。が、そう思ってもなお、ふいに映ってくるタマラの青白い顔がこの世に楔のように未練を打ち込んだ。そもそも、この旅もタマラを救う道を模索しようと思って始めたのに、いつの間にか血まみれになって、悪魔のような人間と斬りあっている。
まだ、死ぬには性急な気がしなくもない。まだ、何かあるような気がする。自分はもっと何か大きな天運を与えられたのではないか。
(しかし、まあ、でこぼこながら、わるくない人生だった)。微笑を含んで、フラウィウスのクォンの力によって、切り刻まれるのを待った。
すると、閃光のようにどこからともなく「ギルバートっ!」と自分を呼ぶ声がした。
呆然と気が抜けたような顔で声のする方を見ると、くるくると回りながら、紅い光が飛んできた。コグだった。不気味な目玉が彼の方をじろりと睨んだ。その眼は「まだ、死ぬ時ではない」と獅子吼してくるようなまなざしだった。
導かれるように彼は、コグの方へ手を伸ばした。が、フラウィウスは生半可な人物ではなかった。失血して朧げな意識のなかで、それにいち早く気づいたのである。
(まずいっ! まずいっ!)。彼は焦った。それは直感的な行動だった。長年の生死のなかで磨かれた直感だった。――クォンの力がギルバートがコグを掴み取る直前に反応した。
「あ、あぶなかった。本気で死ぬかと思ったぜ」
フラウィウスはコグを握りしめて笑った。ギルバートは力なく、地面に膝をつき、恨めし気な視線をむけた。――もはや、コグを使って形勢をひっくり返すこともできず、勝敗は決したものと見えた。
「もう遊んでいるひまもないのでな。さらばだ。有為なる青年」
フラウィウスは失血がひどいのか、今度は手心を加えなかった。すぐにギルバートを殺しにかかろうとクォンの力を駆動させた。すると、コグの刀身に目玉がいくつも並んで、その一つ一つの瞳がフラウィウスを睨んだ。
「俺から見れば、貴様もまだまだ乳臭いガキのようなものだ」
コグは笑って、急激に刀身を膨らませた。コグの身体は大蛇のように枝分かれして、大樹のようにリカロンの上空に伸びていった。リカロンの町中の家屋の屋根を吹き飛ばすかと思われるほどの風圧がコグとフラウィウスを中心にして吹き荒れた。
(しまった。魔力を吸われる)。フラウィウスは魔力の弁を閉じずに、コグに触ってしまった。一瞬で、体中の魔力を吸い取られた。
「うぇぇ」フラウィウスは青い液体を嘔吐した。コグは吸い取った魔力を逆に今度は彼の身体に戻した。たとえるなら、水を限界を超えて飲まされ続けるようなものである。フラウィウスは白目をむいて、気を失って前のめりに倒れた。
コグは「わははは」と大笑いした。
「なにをした」ギルバートはおぼつかない足取りで歩いていくとコグを掴んだ。
「ん? 俺が本気を出しただけさ。それに耐えられなかったのさ。こいつは」
ギルバートは失神する寸前で、おぼろげに話を聞き流していた。
「し、死んだのか。こいつ」
「いいや。死んでないと思う」
「なら、こいつを医者のとこまで運んでいく」
ギルバートはフラウィウスを肩に載せて、ふらふらしながらあるいた。
「何考えてんだか」
「殺された人々の恨みだ。正式な場で裁かれるべきだろう」
「まあ、好きにしろ。俺もお前のことが分かってきた。さほど、驚かないね、もう」