4th Line 露天の姐さん
あの後、抽出上位回復薬を作ったおかげで、調合スキルのレベルが20まで上がった。合成も10に、錬金も5にあがった。
それによって、SPが2付与されたので、その内1SPでスキルを獲得する。その名も『目測』。見つけたときから、弓矢に合うと思っていたスキルだ。
暗視はその名のとおり、暗いところでもよく見えるようになり、目測は見た敵との距離を概算するスキルだ。
採取ついでに見つけた敵を片っ端から討伐していくと目測のスキルレベルがぐんぐん上がる。ついにレベル10になり、目測の概算が少し正確になってきた。また、弓術スキルもレベルが20になり、『武技ツインアロー』という、魔力で一本目と同じ特性の矢を放つ武技を手に入れた。
そのまま、採取を続けていると、レベルが15に上昇し、採取ポイントが大きく見えるようになり、ますます効率が上がった。
しかし、もうすぐ夜になるようで、空が茜色に輝いてきた。
釣瓶落としのように日が落ち、あたり一面真っ暗になった。
しかし所々、赤い点々が見えるようになった。気になったので、弓を引き絞り、その赤い点めがけて矢を放つ。
一発で見事的中し、赤い点は消失する。
するとインベントリに『夜蝙蝠の毒牙』というアイテムを獲得していた。
射った点がMOBの一部だったのだと認識すると同時に、個人アナウンスが流れた。
《夜に一撃で敵を倒しました。称号”闇に住まうもの”を獲得しました。》
称号を獲得したようなので、ステータスを開いてみる。
NAME セイ
Lv 9
ステータス詳細 ▲
HP 200 MP 210
STR 22 VIT 1 AGI 27
INT 46 MEN 2 DEX 86
スキル一覧 ▲
武器スキル
↳ 弓術:Lv20
生産スキル
↳ 鍛造:Lv1 加工:Lv1 皮革:Lv1
木工:Lv1 調合:Lv20 合成:Lv10
錬金:Lv5 料理:Lv1 採取:Lv15
魔法スキル
↳ 付与:Lv1
補助スキル
↳ 望遠:Lv10 目測:Lv10 暗視:Lv1
SP 8
称号一覧 ▲
狙撃手 闇に住まうもの
『闇に住まうもの』
夜に見えない中、一撃で敵を倒したものに送られる称号。
10000Gの付与、スキル暗視の付与、及びSP1の付与。
「また弓術と相性のよさそうなスキルだな。」
また少し考えてから、ログアウトした。
〜〜現実〜〜
「ぐで〜〜。め〜し〜〜」
「すまん、すまん。大急ぎで作るから。」
キッチンで簡単なご飯を作って二人で食べる。
「こんな時間まで何してたの?」
ログアウトした時にはもう二時を回っていた。
「いや~恥ずかしながら、生産活動に熱中しててさ、きずいたらこんな時間だった。」
「ゲームに熱中するのはいいけど、私のこと忘れないでよね。私が生活力皆無なの知ってるでしょ?」
鍛えろよと思う事は思うのだが、これ以上何か言うと機嫌を損ねかねないので黙っていることにする。
「あ、そうだ。第一の町の広場に露店があるから、生産したものはそこに持っていくといいよ。プレイヤーメイドの物は市販の物より、効果が高いから売れるよ。」
「おお、サンキュー。そうする。」
その後は他愛もない話をしてから二人ともログインする。
~~GLO内~~
ログアウト地点ではなく第一の町の広場にログインする。
そこは午前中に来た時よりも賑わっていた。
「パッと見た感じ、10個ぐらい露店があるな。」
その中には武器や防具、素材を売っている店はあったが、回復薬を売っている店はなかった。
そこで、少し裏路地に入ってみると、ボーイッシュな感じの女の人が武器に防具、アクセサリー、素材に回復薬と色々なものを売っている露店があった。
「すみません。」
「ああ、いらっしゃい。買取か?それとも購入か?それとも情報か?」
「買取お願いします。」
俺は自作のポーションをインベントリから取り出す。
「了解!ちょっと待ってな。造技簡易鑑定。」
お姉さんはすべての生産スキルに付随する造技を使って、回復薬を次々と鑑定していく。
だが、鑑定が進むごとにお姉さんの顔がこわばっていく。
すべての鑑定が終わるとお姉さんが言いにくそうな顔で話しかけてきた
「ごめんね~。下位回復薬と上位回復薬、それに回復薬は相場でそれぞれ30G、180G、60Gで買い取るんだけど他はな~難しいな。」
「えっ、何か問題ありました?」
「いや~問題ないことが問題というかなんというか~。あのね、こんな回復薬今までなかったんだよ。だから値段が付けられない。ごめんね。」
「いえ、普通に回復量で決めてもらって構いませんよ。」
「えっ、いいの?今迄無かったってことは君が値段付けれるんだよ!?」
「いいですよ、もちろん。そこまで高く売る気はなかったので。何ならお姉さんに毎回卸しましょうか。こんなこと言ってくれるってことは、お姉さん凄くいい人そうですし。安心して任せられます。」
「そうか?その申し出はありがたいんだが…。それだとこっちがもらいすぎな気がするからな。何か俺にしてほしいことはないかな?出来ることならなんでもするよ。」
俺は少し考えてから一つ質問する。
「お姉さん、さっき簡易鑑定使ってましたけど、何作ってるんですか?」
「ん?俺は鍛冶師だよ。」
「本当ですか!?」
嬉しくなって詰め寄ると、お姉さんは少し引き気味に言った。
「ど、どした?」
「ああ、すみません。興奮してしまって。僕はいろいろな生産スキル持ってて鍛造スキルもその一つで、お姉さんβテスターですよね。それなら鍛造スキルについて教えてください。」
「そんなこと、ではないな情報は宝だ。いいぜ教えてやる。でも一ついいか?なぜ俺が
βテスターだと分かった?こんなのが作れれば必ずβの世界でも表に出ているはずだ。だが君は見たことがない。明かに正規版からのプレイヤーだ。」
「ああ、いえ妹からここに露店を開いてるのは大体βテスターだと聞いてて、お姉さんもそうかなと…。」
「なるほどね…。」
お姉さんは少し考える素振りをした後
「交渉成立だ。俺は…そうだな、とりあえずリンさんと呼べ。俺は鍛冶師にして此処の姐御リン様だ。」
こうして俺はこの世界で師匠を得たのだった。
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