Third Line 合成も不遇?
狩りを終えて、街に戻ると陽と碧姉が待っていた。
「サンー、碧姉ー。勝手にどっか行くなよー!」
「セイちゃん。私のことはPNのアオイとよんでよ。」
「だってお兄ちゃんブツブツ言って、人の話聞けなそうだったもん。」
「分かったよアオ姉。てかサン。兄に向かって何だその言い草!」
「だって、ホントのことだもん。」
「何をー」
「まぁまぁふたりとも落ち着いて。セイちゃん。なにか良いことあったの?」
「あ、そうだった。聞いてくれよふたりとも。称号を獲得した!!」
「「えっ!嘘っ!!」」
「えっ?そんな変なことなの?」
「あ、変は変だけど悪い意味じゃないから安心して。ところでセイちゃん。これから何するの?」
「いや〜、ポーション類を作ろうと思ってたんだけど、薬草の採取方法を知らなくて、教えてもらおうと。」
「「はぁ〜」」
「えっ?何!?」
「あのね、セイちゃん。薬草などの採取には採取スキルが。鉱石の採掘には採掘スキルが。木材の調達には伐採スキルが。フィールドワークによってそれらの素材を獲得するにはそれぞれのスキルが必要なの。」
「えっ、マジ?じゃあ今まで頑張ってたのは全部無駄?
まぁいいや。早速採取スキル取って採取行ってくる。」
「いってらー」
◇
全速力で草原に駆けつけ、SPを消費し、採取スキルを取得する。
すると、景色が変わった。
そこら中に採取ポイントが見える。
手当り次第に採取していくと、薬草、石ころ、枝に茸などなど多種多様なものが取れた。
「これぐらい、採取できればいいだろう。じゃあ、まずは調合からやってみよう。『自動作成:下位回復薬』」
そう言うと、自分の体が勝手に動いて調合を開始する。
薬草を水に入れ、水に色がついたら魔力を流し込む。
あっという間に調合が終了し、下位回復薬が完成する。
下位回復薬
HP150回復
何度か試したが薬草一本を消費して全く同じものしか作れなかった。
次に回復薬を作る。
これも下位回復薬と同じように作っていく。
しかし、先程と違い、薬草を2枚使った。
回復薬
HP300回復
「つまり、ポーションに必要なのは基本的に水、薬草、魔力だ。自動作成で作った場合安定して、同じものが作れる。ならマニュアルなら?それならコストを抑えれるんじゃないか?」
そう考えた俺はマニュアルで回復薬を作って行く。
オートと同じ手順から調合の比率を変えたり、魔力量を多くしたりしながら試していくが、失敗したり、回復量が減ったりしてしまった。
「やっぱり、普通の手順じゃないとだめなのか?でも自己レシピ欄があるからそんなことはないと思うけど…。」
調合スキルを開くと、オートで作れるレシピの横にまだ白紙の自己レシピ欄がある。おそらくオリジナルを作るとこれがオートでつくれるようになるのだろう。
「待てよ…?なぜ水につけなきゃいけない?簡単に考えれば、薬効成分を水に溶かしているのだろう。ちょっとやって見るか。」
ポーションを作ったときに使った薬草を水に浸す。
まだ、水に色がついた。
「限界まで、抽出できていない?なんでだ?2つ目まで入れるなら抽出できてもおかしくないのに。まさか!薬草一つ一つで成分が違う?それなら溶解度が違って、二本目まで抽出できてもおかしくない。なら一本でできる限り抽出するには…。」
俺は、まず使う水を火にかけた。
「水を温めることによって、溶解度を上げる。」
薬草を湯に入れ、火にかけながら抽出していく。
すると、ポーションと同じ色が出た。
魔力を注ぎ込む。
「一応できたが、冷えて結晶化しては意味がない…。」
じっくり冷やしていく。しかし結晶は出てこない。
「魔力によって、結晶が抑えられた?さっき実験で使ったただの抽出液は回復しなかった…。
つまり、魔力によって、薬効成分と水が分子レベルまで結合して、結晶が抑えられる。また、結合によって、薬効成分が体に取り入れやすくなる。これが調合か。
さて、どんな仕上がりかな?」
抽出回復薬
HP400回復
「薬効成分が一種類になったから水への定着がしやすく、効果が高くなったのかな?」
まだまだわかりにくいことは多いが、一歩前進と言えるだろう
自己レシピ
抽出回復薬
次は、合成の実験だ。
「ニ種類以上のものをかけ合わせるものかと思ったら、まさか一種類でしかできないとは…。」
だが収穫もあり、
薬草を2つ合成することで、上薬草に、
枝を2つ合成することで、木材になった。
「上薬草のおかげで、上位回復薬と抽出上位回復薬ができたが…。これらの素材は錬金スキルの等価交換で作れるんだが、」
錬金スキルの造技、等価交換。レベル1から持っていて、上位互換や下位互換と魔力を与えることで交換する造技だ。
それで、薬草2本から上薬草を、枝から木材を作れてしまうのだ。
「このスキル。死に確定か?」
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