Second Line 狙撃手
「草原の昼には主に三種の魔物がいるの。スライム、グラスラビット、ワイルドドッグね。」
「じゃあ、はじめに、ワイルドドッグを狩ろっか。」
「うん。あ、そうだ。セイちゃん。弓には魔法にはない点があるの。それは、射程がSTR依存で限界がないこと。それをうまく使ってね。」
と言って討伐を始める。
βテスターは、所持金以外のデータが初期化されるらしい。
「俺も始めるか。」
初期装備の弓に矢をつがえて、引き絞る。集中し、狙いを定め、放つ。
一本目は敵の前に落ちた。
同じように2射目。敵を越えていった。
3射目左横。
4射目右横。
5射目。遂に野犬の頭部にクリーンヒットしそのMOBは消滅する。
「矢が弦と垂直に交わってないと空気抵抗によって方向が変わる。それに矢の下に親指の第一から第2関節を当てないと歪む。照準はその親指で決める感じか。」
「セイ兄がブツブツ言ってる。」
「コツを掴んだのかな?セイちゃんは万能だから。」
「でも野犬やスライムは弓矢とか魔法とかになれるには最適だよね。遠距離攻撃は当たらなければ反応しないから。」
俺は集中し、他の獲物を探す。再び野犬を発見し、射る。今回は一発で当たった。
「さっきより威力が高かったし、精度も高かった。何が違う?ステータスか?」
NAME セイ
Lv 2
ステータス詳細 ▲
HP 200 MP 80
STR 9 VIT 1 AGI 2
INT 6 MEN 1 DEX 16
スキル一覧 ▲
武器スキル
↳ 弓術:Lv7
生産スキル
↳ 鍛造:Lv1 加工:Lv1 皮革:Lv1
木工:Lv1 調合:Lv1 合成:Lv1
錬金:Lv1 料理:Lv1
魔法スキル
↳ 付与:Lv1
称号一覧 ▼
「弓術に補正がないからおそらくステータスに依存している。他のより圧倒的に高いのはSTRとDEX。弓術のレベルアップで上昇したのはその2つだろう。STRは物理攻撃力だから、精度はおそらくDEX依存だろう。DEXを計算すると、おそらく生産スキルはDEXを上昇させている。つまりこのスキル構成は弓を使うのにはいいのだろう。今までの弓使いの人は戦闘だけを極めようとしたのか…?」
俺はそう言いながら他の敵も射抜いていく。
そして10体目の敵MOBを倒すと、弓術レベルが10になった。
その時になると、二人は俺がブツブツ言っているのに飽きてどこかに行ったようで、俺は一人で狩りをしていた。
弓術レベルが10になったことで、武技を獲得した。陽のPNであるサンによると、武技は武器系スキルがレベル10になったときと、それ以降5ずつで獲得する、いわゆる奥義的なものらしい。
草原を見渡すと遠くの岩山にデカいスライムがいた。サンたちの言っていた、この草原の強敵、ビッグスライムだろう。水色の体で体長50センチほどのスライムの10倍以上は大きい。
そんな巨体でも、視力2.5の俺が見て、豆ぐらいの大きさにしか見えない。さて、どれだけ離れているのだろうか?
そんなビッグスライムに狙いを定める。通常では圧倒的に飛距離が足りないので、武技を使う。
「武技『長距離射撃』!」
通常の2倍ためて打った矢は先程の3倍は速くビックスライムに向かっていく。
その矢は見事、スライムの弱点である、核に直撃し、一撃で討伐する。
インベントリにビッグスライムのドロップアイテムである魔石とスライムゼリー(大)が追加された。
「い、良し!!」
初の武技の成功と長距離の射撃の成功を喜び、歓声をあげる。
すると、
《50メートル以上の距離の射撃を初挑戦で成功させました。称号“狙撃手”を獲得しました。》
称号を獲得したと、個人アナウンスがあったのでステータスを開く。
NAME セイ
Lv 2
ステータス詳細 ▲
HP 200 MP 80
STR 12 VIT 1 AGI 3
INT 7 MEN 1 DEX 19
スキル一覧 ▲
武器スキル
↳ 弓術:Lv10
生産スキル
↳ 鍛造:Lv1 加工:Lv1 皮革:Lv1
木工:Lv1 調合:Lv1 合成:Lv1
錬金:Lv1 料理:Lv1
魔法スキル
↳ 付与:Lv1
補助スキル
↳望遠Lv1
SP 2
称号一覧 ▲
狙撃手
《狙撃手》
50メートル以上の距離の射撃を初挑戦で成功させたものに与えられる称号。
効果
10000Gの付与、1SPの付与、スキル望遠の獲得。
「弓術による物と、称号によるSP2か。
一度望遠使ってみよう。スキル。望遠」
するとまるで双眼鏡を覗いたように見えた。
さっきのビッグスライムのところまではっきりと見えた。
「Lv1でこれは凄いな。もっとレベルが上がったらどうなるんだ?でも視野が狭まるから、使いにくいかもな。弓術にはめっちゃマッチしてるけど。」
それから望遠を使いながら、遠距離の敵を弓で狩り、望遠はLv10に、弓術はLv15になり、武技『貫通撃』を獲得した。
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