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12th Line 生産しましょう。そうしましょう。その三

 この人、ヤベェ奴だ。と思ったが、トッププレイヤーだと言うし、教えてもらうための対価ということなので、その命令を聞かざるを得ない。

 そして、行われたコスプレショー。

 軍服(ミリタリーコス)に執事服。神官服に船員服。終いには悪魔コスまで…。古今東西、多種多様な服を着せられ、レイブンさんにスクショを撮られた。

「ふ~…。堪能した。さて、皮革スキルと裁縫スキルについてだったな…。裁縫スキルは鍛造スキルや加工スキルと同じようにマニュアルモードしかないスキルだ。そして、面白いことに、布と布を糸で縫い合わせるだけではなく、その布を糸から作るのも、裁縫スキルの領分だ。」

「そして、難しいのが、皮革スキル。その名の通り革を加工して、革鎧(レザーアーマー)やブーツなどを作ることができるスキルでこれも裁縫スキルと同じようにマニュアルモードしかないスキルだ。だが、このスキルの難しいところは“鞣し”の作業だ。まぁ、この作業は見てもらったほうが良いな。一応、革からの加工方法も見ておくか?」

「いえいえ、そこまでお世話になるわけには…。なんとなくですが、型に合わせて叩いたり、スチームや圧力で曲げていき、小さなピンや釘のようなもので止める。こんな感じですよね?」

「あぁ、その通りだ。よく知っているな。なら鞣しの作業の説明だな。こちらに来てくれ。」

 そう言われて、付いて行くと、そこは厨房のような場所だった。そこには寸動鍋のようなものがあってぐつぐつ煮えている。

「この世界では、皮がアイテムになった時に、本来ついているはずの垢や皮脂がない。つまり、一発目から鞣しの加工に入れる。鞣しの意義は知っているか?」

「ええ。確か、撥水性や柔軟性、防腐性、強度其の全てが劣る皮を強い革に変えることですよね?」

「ああ。概ねその通りだな。では説明を続けよう。この鍋の中には、山ゾーンで採取できるドングリを煮ている。これで、植物から採取できるタンニンを抽出している。この煮汁に灰汁が出なくなったらドングリの中に含まれているタンニンが全部煮汁に移ったと思っていい。そしてこの煮汁を沸騰させ、濃度を濃くする。そして濃縮したタンニンを皮全体にしみこませて、馴染ませて…。そして馴染ませた皮を強く張って天日で干せば、この世界の半日で完成する。本来ならもっといろんな手順があるし時間も一か月以上かかるんだがな…。まぁその辺りはここではあまり関係ない。では質問があれば言うと良い。」

「特にないですね。とても分かりやすかったで。」

「ふむ、こうやって他人に説明するのは初めてだからな…。不安だったから、よかったが…。では、フレンドコードを交換しようか。我の中のアイデアが君と出会ってからどんどん膨らんでいくのだ。また我が服を着て撮らしてほしい。お願いだ。」

「は、はい。こちらとしても”フレンドコードを交換する”ことはやぶさかではないので。」

 やっぱりこの人はヤベェ奴だと思った。

 なんとも閉まらない終わり方だ………。


 ◇


 今の時間はリアル時間14時。

 この世界の時間であと8時間はログインできる。

 なので………。

 自分の防具たちを自分で生産したいと思います!!

 なので、直ぐに個人の生産施設を持っていない者への生産設備である共同生産所に行………きたいところだが、畑に戻って、大量の薬草を増やし、植える。これで8面分の畑が薬草で埋まった。

 だがこれ以上増やしたとしても畑が足りない。なので9つ目の畑には違うものを植えようと思う。

 薬秘草と上薬草だ。上薬草は50本、薬秘草も50本着々と用意していたので丁度だ。

 これで明日になればまた採取できるようになるだろう。

 これからは一度森に行き、色んなものを採取する。

 ドングリなど、色々なものを採取できた。

 ではでは~共同生産所へ、Let's Go!


 ◇


 共同生産所は入場料として500Gを取られるが、その中なら、全ての生産スキルに対応した、下級の施設が自由に使えるという、お得な施設だ。

 まずは、武器を作ろうと思う。

 石を合成してできた鉄鉱石と、樹人から採れた木材を用意する。

 まずは炉で鉄鉱石を鉄へと昇華させる。

 また別の炉で炭を作成し、それを鉄を作っている炉に入れ、鉄を鋼へと昇華させる。

 其のあとは炉から出した鋼をある程度の時間をかけて結晶化させていく。

 その間に採取したターモという木材を用意し、水に付けたり、様々な加工を施すことでその特徴である弾性を高めるそして、その太い木材を加工スキルで削り、和弓の形に成型し、両端に穴を開ける。

 そして、ここで伝家の宝刀、創糸スキルを使う。

 創糸スキルで弾性、靭性が高く、粘度が低い糸を生成する。魔力がなくなる感覚があるがそこまで多くないので大丈夫だ。

 そしてできた糸はゴム以上の弾性と釣り糸以上の靭性を持っていた。

 それを作った和弓の型の両端の穴に通す。

 これで弓の完成だ。

 そして、鋼が結晶化していたので、もう一度炉に入れてから、鎚で叩く。

 不純物や多すぎる炭素を飛ばし、玉鋼を作っていく。

 その後はできた玉鋼を叩いて、折って、叩いて、折って………を繰り返すこと10回以上。4096層の鋼ができ、それを叩くことで原子同士の結合を高める。

 そして、また叩くことで刃を、峰を、反りをを成形していき、刀の形にする。

 そうしてできた、刀を叩き、刃を作っていく。

 できるだけ薄く、極限まで薄く。と、刃を作っていく。

 表と裏、両方から叩き、刃を作ることで、バランスの良い刃を作っていく。

 そうして、自分の思ったような形、薄さになった刀をもう一度炉に入れ、温度を高め、氷水に入れる。その状態で放置し、木材を削り、彫り、簡素だが、木のままの柄と鞘を作る。

 柄を刀に取り付け、刀を鞘に納める。

 鞘と柄の形はほとんど一緒で違和感はなかった。

 そう。つまりは聖柄の太刀を作ったのだ。


 これで、俺がメインの武器として使う、弓と刀を作ったのだった。

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