10th Line 生産しましょう。そうしましょう。その一
朝食を陽と一緒にご飯を食べたあと、片付けをしていると、困ったことに気づいた。
そう。昼食用の食材が何もないのだ。
仕方がないので、運動がてら、歩いて近くのスーパー(徒歩15分)へ行く。
スーパーでは、昼食を何にしようかと考えながら、なんにでも使える食材を買っていく。
キャベツや、玉ねぎの野菜類や、もも肉、ムネ肉、豚バラ、豚小間などの肉類。そして饂飩や中華麵などの麺類。それらを選んで、レジで支払いをして、買ったものを袋に詰めていると、後ろから声をかけられた。
「こ、こんにちは。は、速水君。ひ、久しぶりだね。」
「ん?あぁ、久しぶり。天宮さん。」
声をかけられて、後ろを振り向くと、10人すれ違ったら11人振り向くような、美少女がいた。
烏の濡れ羽色の黒髪に、きめの細かい白い肌。形の整った目や鼻。其の全てが彼女の美しさを形作っている。
彼女は、天宮使姫俺のクラスメートで、クラスの、いや学校のマドンナだ。
「は、速水君は何を買いに?」
「俺は、今日の昼ご飯の分の材料がなくてね………。天宮さんは?」
「わ、私は家族の今日の夕ご飯とかの材料を買いに………。」
彼女は、人見知りなうえ、兄弟が多くてその世話でクラスメイトと関係を築けず、また、その絶対の美貌からクラスメイトも一歩引いた態度だったので、余計に人見知りをこじらせていた。
俺はここのスーパーで買い物しているときに偶々、彼女に出会って、兄弟を世話する大変さを愚痴りあったり、家事のコツとかを話したりして、とても意気投合した結果、学校でも偶に話すほど仲良くなった。
そんな、天宮さんはカートいっぱいに買い物をしていた。
「大量だな。」
「うん。何分、兄弟が多いし、みんな夏休みだから消費量も多いしで…。」
「少し持つよ。」
「悪いし、いいよ。」
「大丈夫。これでも鍛えてはいるんだ。ほら俺いつもはあんまパットしないから、こういう時は格好つけさせてくれよ。」
「………そんなことないよ。 。」
「ん?なんか言ったか?悪い。最後が聞き取れなくて。」
「う、ううん。な、何でもないよ。な、ならお言葉に甘えようかな。」
「ああ。任せてくれ。」
そのあとは、一緒に帰路につく。特にとりとめのない話をしながら、天宮さんを送って行って、俺たちは別れた。
そして、家に帰った後は、買ってきた物を冷蔵庫に入れてからベッドに寝ころび、ヘッドセットを着けてGLOにログインする。
今の時間は午前9:30。一応後、二時間半はログインできる。
◇
ハイ、ログインしました。
今日は結構時間が空いたので、リンさんに貰った情報の人を訪ねてみようと思う。
取り敢えず、初めは料理スキルについて教えてくれるというエンジェさんの場所に行ってみる。
「ここか…。でかっ!」
さすがは、βテスターで生産職のトッププレイヤーをしていただけの資金力だ。
そのホームはthe屋敷といった感じで、食堂とプレイヤーホームが一体化したような場所だった。
「ごめんくださーい。」
「はいはーい。どちら様………。なんで、貴方がここに…。」
扉を開けると、そこには10人すれ違えば11人振り向くような美少女がいた。
艶のある美しい長い金髪、形の整った目鼻立ち、きめの細かい白い肌、蒼玉のような美しい瞳。其の全てが彼女の美しさを形作っていた。
「僕はセイって言います。失礼ですが、僕たちどこかで会いましたか………?」
「あ、いえいえ。こちらの勘違いです。ところで、何の御用ですか?」
「リンさんの紹介で、料理スキルについて教えてほしかったら、ここに行けと。」
「ああ、リンさんの紹介ですか。なるほどなるほど。ですが、あまり多くのことは、教えられませんよ。
まあ、取り敢えず、こちらに掛けてください。」
「さて、私が、情報を教えるのは構いません。ですが、私のスタンスはリンさんと特に変わりません。基本的に無償の施しはしない。だから聞きます。私があなたに情報を与えるメリットを、貴方は提示できますか?」
「ええ、一応は持ってきました。」
「魔石って知ってます?」
「いえ…。それはいったい何なんですか?」
「僕はこれを肥料に使っているんですが、これを使うと、肥料に魔力を付与できるんです。おそらくこれを使うと、魔力を付与できるんじゃないかと。または高純度の、魔力の塊ですから、様々な生産の触媒に使えると思います。まぁ、料理に使えるかどうかは分かりませんが…。あ、この魔石と、最近獲得した暗殺蛇の肉です。お納めください。」
「これはどうもご丁寧に。なっ!魔石のレア度は★4?それだけでも今では超レアなのに暗殺蛇の肉なんてレア度★5?こんなの激レアどころの騒ぎじゃない。」
「まぁ、いいです。取り敢えず料理スキルについて説明しますね。
料理スキルは調合スキルと同じように無いと、作ってもゴミが出来上がるというスキルです。またオートモードとマニュアルモードがあります。
オートモードはレベルが上がっていくと同時に増えるレシピ及び自分で一度作ると獲得できる自己レシピをを自動で作ることができます。基本的に品質は一定です。
マニュアルモードはただただ、自分で作れるのです。アレンジや自己レシピはこれでできます。また、通常状態では基本的にはマニュアルモードです。
っと。こんな感じですね。何か分からないことはありましたか?」
「いえ、特にありません。分かりやすい説明ありがとうございます。」
「そうですか…。料理の仕方とかの説明はしたほうがいいですか?」
「いえ、一応リアルでも料理はしているので、自分で身に付けていきます。」
「そうですか…。……ですが困りましたね…。これでは私が与えられすぎている。無償の施しはしないと言っている者が無償の施しをしてもらっては示しがつきませんし…。」
「いえいえ、その情報を頂けただけで十分です。」
「それでは、こっちの気がすみません。そうですね…。ではこの情報をさしあげます。この町の周辺には、最も簡単な草原を中心として、強力な魔物と高位の素材が多いと言われている森と、最も平均的と言われている山がありますね。その山の中に、βテスター生産職御用達の素材の宝庫があります。結構山ゾーンに入ってすぐの場所ですし、結構大きな洞窟なので簡単に見つけられると思いますよ。それにまだこの情報はβテスター生産職にしか広まっていないので、空いていると思います。時間があれば言ってみてください。私は残念ながら料理系の食材が其処では取れないので行っていないんですけどね。」
「わかりました。そんな貴重な情報ありがとうございます。時間ができれば行ってみますね。」
そういって。僕たちは別れた。
そんな場所があるのなら、今持っている、生産系スキルについて猶更早く知って使いこなせるようにならなければならないと思ったのはここだけの話だ。
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