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包容力シスターのフリーハグセラピー

作者: みはらあるた

あら、こんな夜更けにどうしたのかしら?


もしかして、この教会で行っている活動のことを聞いてきたのですか?


ええ、そうですよ。この教会では、日々の生活に疲れた皆様を癒すために、シスターがハグによるセラピーを行っているんです。


あなたは、フリーハグ、という活動は聞いたことがあるかしら?


道行く人に声をかけて、見ず知らずの人とハグで交流する、というものなんです。


たかがハグ、と思うかもしれないけれど、実はハグには人を強く癒す力があって、その上どんな人にも必ず効果があるものなんですよ。


あなたも、そのハグセラピーを受けに来たのですね?


見たところあなたはとてもお疲れのようですし、今なら他の方もいないから…


私がじっくり、あなたをハグで癒してあげますからね。


それじゃあ、さっそく準備しますね。


---


さあ、こちらの部屋にどうぞ。


他の者に見られていては恥ずかしいでしょうから、この部屋でたくさんハグしてあげますからね。


どうしました?実際にハグされることを考えると、やっぱり恥ずかしくなってしまいましたか?


良いんですよ。皆さん最初はそうですから。大人になってからは、誰かにハグして甘える機会なんて滅多にないですものね。


でも、今日はいいんです。


好きなだけハグして、甘えていいんですよ。


はい、おいで。


ぎゅー…


私の体は細いから、あまり抱き心地は良くないかもしれないですけれど…


それでも、あなたの癒しになれていたら嬉しいです…


どうですか?恥ずかしい気持ちも、少しは和らいできましたか?


そうですか、それは何よりです。


ふふ…


あ、いえ、あなたのことを笑ったのではないのですよ。


ただ、ここしばらく教会を訪れる方が少なかったものですから、久しぶりにハグができて私も嬉しいのです。


もちろん、ハグが必要ないくらい世の中が平和なのは良いことなのですが…


…その、私自身も、人肌が恋しくなってしまうことがあると言いますか…


だから、ぎゅー…


えへへ…実は、私自身もハグが大好きになってしまっていたようなんです…


シスターとして、なんともお恥ずかしいことです。


あの、もしあなたさえよろしければ、もう少しだけこうしていてもよろしいでしょうか?


ひさびさのハグで、私自身も寂しい気持ちが解消されたと言いますか…


その、もっと、あなたに甘えていたいな、と、思ってしまいましたので…


よろしい…ですか…


私の願いを聞き入れていただき、ありがとうございます。


じゃあ、お礼にもう一度、ぎゅー…


あ、よければ、そちらにベッドがあるので、その上でハグしていただけませんか?


ずっと立ったままハグするのも、疲れてしまうでしょうから。


よいしょっと…


さあ、こちらへおいでください。ベッドの上でハグしあうのも、また良いものですよ。お互いの体により強く触れることができますから。


ほら、ぎゅー…


どうぞ、もっと甘えてください。そうしていただけると私も嬉しいですから。


まるで母親に甘えるように、遠慮なく、その身をゆだねてください。


ぎゅー…


ん、わたしにたくさん甘えることができて、幸せですか?


私は今、とっても幸せですよ?


じゃあ今日はぜひこのまま、ここに泊って行ってください。


私も今日はここで夜を過ごすことにいたしますから。


心行くまで、一晩中ハグを交わしあいましょうね。


それで、あの、もしよろしければ、なのですが…


これからもここにいらしてはくださいませんか?


あなたとのハグは、何か特別な感じがします。


とても思いやりを感じると言いますか、私自身も身をゆだねたくなってしまうと言いますか…


だから、その、またあなたとはハグさせてほしいです…


よろしいのですか…?嬉しい…


あなたとこれからもハグができるなんて…


考えただけで胸が躍るようです…


それでは、今日はもう遅いですし、そろそろ眠ることといたしましょう。


大丈夫、あなたが目覚めるまで、ずっとこのまま抱きしめていますから。


安心して、眠りましょうね。


それでは、おやすみなさい…


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