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勘当されたい悪役は自由に生きる  作者: 雨野
学園1年生編
57/222

46



「おはよう!」

「おはようございます!」

「ラサーニュ様、お体はもうよろしいの?」

「おは〜!」

「金曜のノートとっといたぞ」



「お、おはよう…皆、ありがと…?」


 僕は今朝、「学校行きたくない〜…」と部屋でもだもだしてたんだけど…意外にも歓迎ムード?

 人が死ぬのってそんなに珍しくないのかな…貴族怖っ。



「違うって。見たところ…純粋にお前を心配してたのが2割、最上級精霊を従えるお前にお近付きになりたいのが5割。

 そして…精霊とあの剣に怯えてるのが3割…ってとこか」


 エリゼの冷静な分析にはお世話になります。

 フェンリルが僕のために激昂し人を害した事は知れ渡っているようだ。目撃者があんだけいればね…。


 ちなみにセレネは、パスカルの頭か肩に常にいる。学園内は精霊禁止と言っても…最上級精霊に命令出来る人間はいないんだよなあ。ヨミも僕の影に潜んでるし。


「そもそも、最上級が人間と契約するなんて想定してないしな…」


 というのはエリゼの談。





 そして僕はというと現在、学長に呼び出されています。

 学長室前に到着、コンコンと。



「どうじょ」


「失礼します」


 ドアを開けると、学長…お婆ちゃん先生のお出迎えである。

 お、ゲルシェ先生とバルバストル先生も呼ばれていましたか。お邪魔します。



「ラサーニュしゃん…怪我は大丈夫?」


「はい。お気遣いありがとうございます」


 何を言われるのかな…と身構える。

 外見は可愛いお婆ちゃん先生だが…貴族の子供達が通うこの学園で、何十年もトップに居続けるお方だ。その功労は並大抵のものではないだろう…。


 ごくりと喉を鳴らし、次の言葉を待つ。もし退学を言い渡されたら…大人しく、学園を去ろう…。



「今回の騒動、学園側に責任がありましゅ。1人が亡くなり1人は瀕死の重傷を負いました。申し訳ございません。

 なのでキミは何も気負ってはいけません。いいね?」


「い、いいえ!僕こそ軽率な行動を致しました、申し訳ございませんでした!」


 お婆ちゃん先生は曲がっている腰を更に曲げて頭を下げた。

 僕も一緒になって謝罪する、どうやら叱責ではなさそう…。



「そして…学園における決闘という制度を廃止すべきだという声が上がってましゅ。

 今回の騒動、当事者であるキミの意見を聞きたい」


「はい…僕も、廃止すべきと思います。

 もしくは危険の無いよう…真剣は使用しない、互いに完全防備で行う、魔術教師が数人待機する等…対処が必要かと」


「ふむ。ありがとう

 じゃあ、勉強頑張ってね」


「あ、はい」



 ………???



 僕は戸惑い、ゲルシェ先生に視線で助けを求める。

 先生は手で「もう出て行きなさい」と合図するので…話はそれで終わりのようだ、追い出された。




 ?????




 これ…だけ?それでいいの、お婆ちゃん…???


 



 ※





 セレスタンが去った後の学長室にて。




「学長…今のでなんか分かったんですか?」


「ふむ…オーちゃん、クレちゃん」


「「それやめてくれませんかね!!?」」


 ゲルシェ(オーちゃん)(34)もバルバストル(クレちゃん)(28)もこの学園に通っていた為…学長にとってはいつまでも教え子のような感覚なのだ。



「まあまあ…学園は、生徒の自主性を重んじる。でもま、あんまり男子寮に入れとくのは駄目よ。

 ()()()()でいたいと本人が望むなら…せめてラサーニュ家のタウンハウスに住ませなさいな。

 使用人などいなくとも、彼女を守る精霊達がいるのだから…若い狼が溢れる寮よりも、よほど安全でしょ」


 学長の言葉に、2人は固まった。それは彼らも危惧していた事だが…



「どこで、気付きました…?」


「しょんなの、初めて見た時からに決まってるでしょ。全く…」


 絶句である。なら何故何も言わなかったのかとゲルシェが問う。


「入学式で見かけた日…しゅぐ分かったけれど、とっても苦しそうだったのよ。

 もしあの時問い詰めでもしようものなら、あの子は壊れていたでしょう。

 この学園にいる以上。全ての子供はワシらが守るのでしゅ。今回のサイカ家の子については…遺憾としか言いようが無い。

 ああなる前に、いくらでも教育のしようはあったろうに…今後の課題よ」



 ゲルシェは「このババアには敵わねえ…」と同時に「必死に隠そうとしていた自分がアホみてえじゃねえか」と考えていた。



「まあ直接話してみて分かった事といえば、やっぱ入学時と雰囲気が全然違うね。

 成長したというより…生まれ変わった、人生観・価値観が180度変わった感じねえ」


 年の功と言うべきか、少し会話をするだけで彼女は、相手の本質を大体理解してしまうのである。

 まさか前世の記憶が蘇ったなどという発想には至らなかったが。



「最上級精霊と契約なんてしちゃって…皇宮に囚われちゃったらどうしようかと思ったけど。

 女の子だって知られたら、あの三兄弟の誰かの嫁にされそうだねえ。もしくはオーちゃんかの。

 しょう考えると、男装はいい選択だったねえ。本人が望まなくても。

 ま・今の彼女なら、多少自由にさせても大丈夫でしょう、面白しょうだし…」


「「(面白そうっつった……)」」


 

 2人は自由すぎる学長にやや不安になりながらも、やはり自分がしっかりせねば…!と気合を入れ直しているのであった。

 


「しょれより2人共。生徒に手出しちゃ駄目よ?」


「「出してませんっ!!!…ん?」」


 2人は顔を見合わせる。そして同じ事を考えた、もしかして心当たりあんの?と…。



「え、ちょ。俺は本当に何もしてませんから!(あれはセーフ)まさか、バルバストル先生…?」


「私だって!むしろ出されそうというか…あ」


「ん?」


「くかかか!生徒が卒業しゅるまで、ちゃんと分を弁えなしゃいよ〜」



 そんじゃ、お仕事頑張って。と追い出される2人。

 廊下で2人は…



「「……はは…はは、は…」」



 苦笑いと共に、即座に職員室と医務室に帰って行った。

 





 ※※※






 一部の生徒に遠巻きにされながらも、あっという間に1週間は過ぎる。だが…



「ラサーニュさん。…ちょっといいかしら?」


「あ、バルバストル先生。はい」


「よかった。一度ゆっくり話しておきたくて」


「はは…僕もです…」


 とある日の放課後、帰ろうとしていたらバルバストル先生に呼び止められた。


 先生は思いがけず僕の秘密を知ってしまった。今回の騒動、ちゃんとお礼も言ったし少し話もしたのだが…2人でゆっくり話す事は出来なかった。

 なので僕も、どこかで時間を作りたいと思っていたのだ。



「それがねえ、ちょっと込み入ったお話になりそうだから…週末、時間作れないかしら?」


「うーん…土曜は皇宮に行くので、日曜で良ければ。

 でも…一応僕は男子ですし。外で2人きりで会うのは危険では…?」


 いくら僕が子供とはいえ、変な噂が立ちかねない。その場合困るのは先生だ、生徒に手を出したと。


「大丈夫!ちゃんと対策しておくわ。という訳で…そうね、日曜の午前11時に…医務室集合で」


「なんで医務室!?」


「安心して、ゲルシェ先生には言っとくから。じゃ、よろしくっ!!」


 そのまま先生はシュバっと手を挙げ去った。この学園の教師、自由だな…。






 そして今日、皇宮に向かう日である。

 僕はミカさんも持って来るよう言われているので…腰にしっかり差した。

 今は皇宮に向かう馬車の中。


「あー…緊張する…」


「流石に、俺も…陛下に謁見するんだもんな」


「頑張れよ、お前ら」


 うん。なんでエリゼもいんの…?


「ルシアンに呼ばれたんだ。お前らも、謁見終わったら合流な」


 ふうん?まあいいけど…気楽で良いなあ、君は。




 エリゼと別れ、僕とパスカルは…玉座の間、その扉の前で待機だ。胃が痛い…でもこの後ルシアン達と遊ぶのと、明日の先生との約束を思いながら頑張るぞ…!



「どうぞ、お入りください」


 その言葉と共に…重厚な扉がゆっくり開く。

 …うわ!!玉座に座る陛下の両側には、騎士総団長と魔術師総団長(エリゼのお祖父様)という武力ツートップがいらっしゃる。

 そして壁にはずらりと騎士と魔術師の団長副団長が並んでる…!!最上級精霊を警戒してんだろうけど、なんか犯罪者になった気分だよ!!!?


 よく見ると、ルキウス殿下もいた。この場で僕の知り合いは、ルキウス殿下とブラジリエ伯爵のみ…知り合いがいると、ちょっと安心するよね。



 ある程度まで進み、立ち止まった僕達は膝を突き挨拶をする。



「皇帝陛下、並びに皇太子殿下にご挨拶申し上げます。お呼びと聞き、パスカル・マクロンが拝謁致します」


「同じく、ご挨拶申し上げます。セレスタン・ラサーニュが拝謁致します」


「顔を上げなさい」


 すぐにお声がけ掛かったので…立ち上がり、背筋を伸ばし陛下を見据える。



 ……帰りたい。前から、横から、後ろから…僕達を値踏みするような視線ばっかりだ…僕達どうなっちゃうの…?

 陛下は…決闘に関しては特に何も言って来なかった。ルシアンもそうだろうと言ってたけど…あれはあくまでも、学園での騒動だもんね。

 しかもすでに解決してるし…やっぱ、精霊か。




 すると…魔術師総団長が陛下の許可を得て、一歩前に出て発言した。

 エリゼのお祖父様も、お父様同様大柄な方だなあ…エリゼもデカくなるんだろうか。



「お初に目に掛かる。儂はテランス・ラブレー。魔術師団総団長だ。

 2人は我が孫の友人と聞き及んでいる。さぞかし迷惑を掛けている事だろう」


「いいえ、こちらこそ…いつも彼には助けられています。誰よりも冷静で思慮深く、僕…私達の大切な友人です」


「ほお…そうかそうか」


 お祖父ちゃん気をよくしているぞ。まあ…以前エリゼんち行った時、それこそお祭り騒ぎだったっけなあ…。

 本当に、孫に友人が出来て嬉しそうだ。ほっこり。



「早速で申し訳ないが、君達の最上級精霊を見せて頂けぬか?嫌がるようであれば無理強いはしない」


 僕らは顔を見合わせる。大丈夫、セレネもヨミも了承済みだから。



「はい。では…私の契約している精霊、フェンリルです。…セレネ」


「ほいきた」


 セレネは最初から、パスカルの肩にいたけどね。ただ毛玉状態だったので…満を持して、本当の姿お披露目です!



「おお…」

「綺麗…!」


 本来の大きさ…巨大な狼の姿になったセレネに皆目を奪われている。

 だよね!僕もモフらせてもらったけど…綺麗だよね!真っ白で、暖かい雪みたいだったよ。

 しかし当のセレネは…あまり周囲の視線は気にならないみたい。むしろ煩わしそう…そりゃそうか。

 そして相手が陛下であろうとお構いなし。


「人間、セレネになんか用か?」


「こらっ!」


「人間のオウサマなんて、セレネには関係ないぞ。セレネが確認したいのは1つだけだぞ。

 ……お前達、セレネのお気に入りに…ちょっかい出す気じゃないだろうな?」




 ピシ……




 あ。今空気変わった。音がしちゃったよ?おやや、皆さん…臨戦態勢に入ってませんこと?

 僕とパスカルは…滝のような汗を流しているぞ。

 何せセレネが毛を逆立てて歯を剥き出しにして、爪を伸ばしているからね!!



「……ちょっかい、か。正直に言えば、其方の力は魅力的ではある。国を統治する者として、その力を手に入れたいとも思う」


「ふーん?」


 おおう…!陛下、セレネに真っ向勝負ですか!?

 ルキウス殿下も両総団長も、静かに事を見守っている。

 暫くセレネと睨み合いをしていた陛下は…ゆっくりと話し始めた。



「今日呼び立てたのは…君達にその精霊の力を、悪用しないで欲しい…という事を念を押すためだ。

 そしてその力を悪用しようと、君達に近付いてくる輩もいよう。

 …本来ならば君達2人を皇家の監視下に置きたい。自由を奪う代わりに、望む物が有れば与えよう。金でも、地位でも、こちらが用意出来る物ならば。

 もしもフェンリルに暴れられたら、こちらとしては為す術もなく蹂躙されるしかないからな。


 だが…その為に未来ある若者の自由を奪うのは忍びない。故にここで断言しよう。

 パスカル・マクロン。セレスタン・ラサーニュ。我が国は、両名の自由意志を最大限に尊重する。

 最上級精霊殿の力を利用しようと近付く輩は、全て跳ね除けなさい。

 出来ればこの国に尽くして欲しいとも思うが、道理に外れぬ限りは…好きに生きなさい。

 その代わり……精霊殿が暴れそうになったら、止めてね、本当に」



 へ、陛下…!最後の一言が無ければ、本当に素敵だった…!



「「はい、ありがとうございます」」


「ふーん。正直な人間は嫌いじゃないぞ。

 じゃあセレネは、この2人に危害を加えない限りは…傍観に徹するぞ」


 セレネはそう言って、また毛玉に戻った。そしてパスカルの頭に乗る。

 よかった…一触即発かと思いきや、なんとかなった…って次僕じゃん!!



 しかも、魔術師団の団長さん達…5歩くらい前に出てません?エリゼのお祖父ちゃんとか、もう僕の真横に立ってますよ??全員目を輝かせてますよ???

 そんなに闇の精霊に興味あんの?ヨミは照れ屋さんなんだぞ!!

 


「あ、あの…私の契約している精霊なのですが。

 性質上…彼の姿を目に入れてしまうと、我々生き物は本能的に恐れて体が竦んでしまうのです。

 でもその、それは彼の意思とは関係無く…決して皆様を害そうとしている訳ではありません。

 ですので、どうかあまり敵意を向けないようお願いします」


「ふむ、分かった。皆、よいな!?」


「「「はいっ!!!」」」


 おお…魔術師って意外と体育会系?テランス様の号令に、揃って返事をして…また期待の籠った目で僕を見る…。



「では…私の契約している闇の最上級精霊、死神です。ヨミ、出ておい…でええええ!?」


 名前を呼んだ途端、僕は上に持ち上げられた。ヨミが真下から出て来たもんで…肩車状態になってしまったのだ。

 わーい、テランス様よりおっきくなったぞ!…じゃないわ!!


「なんでそこから出るかな!?」


「近いほうが、安心する…」


 彼は僕の足をぎゅっと握り締める。しょうがないなあ…もう!

 しかし百戦錬磨の団長達も、やっぱり顔を強張らせている…。ただし魔術師さん達は、好奇心のほうが勝るようで一歩も引かない。



「申し訳ございませんが…このままで失礼します。

 彼が許可する範囲でしたら、ご質問に応じます」

 

「はい!」


「どうぞ!」


 なんだこれ。



「能力を教えてください!」


「……ぼくの肌に触れると、生き物は死ぬ。人間も、動物も、植物も。

 シャーリィ「セレス、ね」…うん、セレスと、かの「彼ね」……彼の契約する精霊は、平気。精霊にとっての死は…個を失って自然に還るんだけど…。

 あと、命は奪えるけど…与える事は出来ない。

 他は…言わない。触れなくても殺せる、とは言っておく…」


「おお…!」


 満足した男性は下がった。次がどんどん来るう…。



「何故通常の召喚には応じてくださらないのですか?」


「…死神を侍らせたいなら、一度冥府に触れる事…大体そのまま死ぬけど。その上で、ぼくが契約したいか見定めるよ…」



「ふうむ…最上級と共にいる2人は、全ての精霊を従える事が出来るとは真か?」


「上級以下ならな。この2人は、精霊にとっては現時点でセレネ達と同格だぞ。

 最上級の奴らは、興味があれば寄って来るだろう。お前達が契約している精霊も、セレネ達には逆らえないぞ」


 今度はセレネが答えた。そろそろヨミが限界っぽいので…。



「申し訳ございません、ヨミは人見知りで…そろそろ下がります。

 ありがとう、もういいよ」


「うん…何かあったら、すぐ出て来るから…」


 ヨミはそう言って、シュルルと影に戻って行く。やっと地に足がついたわ…。

 



「いやあ、大変貴重な体験をさせて頂いた!

 ありがとう、闇の最上級精霊について知る事が出来るとは!長生きはするもんだ!」


「いやああっははっはー」


 いやん、落ち着いてお祖父ちゃん。僕の手を取って上下に揺らさんといて。僕振り回されてるかららら。

 それを助けてくれたのは、ブラジリエ伯爵だった。目を回す僕を横から取って…抱っこ状態になった。



「総団長殿、おやめください。彼の小さな身体に何をしますか。

 この子は将来有望な騎士候補なのですよ、腕を壊さないでいただきたい」


「なにっ!?いいや、2人共魔術師団に入らんか!?」


「ふふん、こちらのセレスタンと私は旧知の仲でして。どうだ、騎士にならんか?」


「ええっと…うう〜ん…も、もうちょっと考えます」


「そっか。よく考えてくれ」


 伯爵は僕をゆっくり降ろし、微笑み大きな手で僕の頭を撫でてくれた。

 気付くと…壁際に並んでいた皆さんは全員僕達の周囲に集まり、パスカルも魔術師になれ!!と熱烈勧誘を受けている。

 騎士かあ…僕は将来、何をしているんだろう…?




「しかし…セレスタンが女の子だったらなあ。是非ジスランの嫁になって欲しかったものだ。

 残念だ、うちには年の合う女の子がいなくてな」


 という、伯爵の何気ない発言から…



「君達!婚約者いなかったら、ウチの娘どう?」

「良い子いるよ!」

「孫がな、まだ3歳なんだが…ちょいと離れてるが」

「そんなもん、うちの孫の婚約者は8歳下だ」

「姪っ子なんだけど…」

「年上のお姉さんどう?うちの娘今年21なんだけど」



 僕とパスカルに、怒涛のお見合い話が!!!


「うちもなあ〜…ルシファーはもう嫁ぎ先決まってるし。後は男3人だからなあ…」


 陛下も参加しないでください!

 僕は「まだ考えられません!」となんとか逃げようとしているのに…「遅いくらいだ!」とぐいぐい来られるう。

 パスカルはどうしているのかな…?



「申し訳ございませんが…私は、心に決めた方がいます」


「え…パスカル、好きな人いたの?」


「……うん」


 そ、そっか…そっか。うん…。

 驚いたけど…そりゃいるよね、うん。



「………シャーリィ。パルが嫁にしたいのはな、シャ「おらあっっっ!!!」ーーーだぞ!」


「けだまちゃーーーん!!!」


 パスカルー!!?なんでまた投げた!?

 セレネは壁にバウンドし、ポヨンポヨンと戻って来た。周囲の皆さんも唖然である。



「言うなよ、絶対言うなよ…!?というか、何故知ってる!!?」


「バレバレだぞ。隠す気ないだろ、と言いたいところだが…確かに本人には伝わってないようだな。人間は頭が良いのか悪いのか分からん」


「そんなちょっと抜けてるところも可愛いんだよ…!」


「なるほど」



 そのまま彼はセレネを揉みしだいたり左右にびよーんと伸ばしたりしている。そしてこそこそと、何を話しているんだろう?

 皆さんは…最上級をあんな扱いするなんて…!と慄いているぞ。

 確かに彼以外の人間があんな事したら、八つ裂きでもおかしくないんだよな…。



 パスカルはこうして、更に一目置かれるようになりましたとさ。



ラン「以前の不死鳥の刻印、隠す必要も無かったんじゃないか?」

ルク「いいえ。ただの刻印と契約じゃ大違いです。同じく数多の精霊を従えると言っても…契約のように、最上級精霊が常に側にいる訳ではありませんから」

ルキ「護衛と牽制か。それでも一応…刻印は黙っておくように」

ルク・ラン「はい」

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