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ガールズトークの裏側

少那視点


4年生編の64話、恋バナ中のお話



『男子チームも猥談とかしてるのかな』


『エラちゃんやめなさい!!』


「「「………………」」」


 開けられた窓から…女性陣の会話が聞こえてくる。

 こっちも自然と男性陣で集まっていて、お風呂上がりは暑いね~なんて窓を開けた瞬間だった。


「……窓、閉めようか」


 私はその手で、すぐに閉めようとしたのだが…。


「いやほら、暑いのを我慢するのは体によくありませんよ?」


 と、満面の笑みのパスカル殿に止められた。

 そのまま彼は、身を乗り出して完全に聞く体勢。私はルシアンと顔を見合わせ、なんだか笑ってしまった。



 だが…シャーリィは「わたしの話は今更でしょう」とシャルロットさんに話を振る。

 パスカル殿は頬を膨らませて不機嫌顔、名前を出されたジスラン殿は頬を染めた。


 そこで…学園を卒業するまで手を出さないと宣言されたが、たまに怪しい時がある…とか。

 嫉妬で口付けをしてしまったり、大きな手で触れられるとドキドキするとか言われてた。


「ロッティ…もう、勘弁してくれ…」


 ジスラン殿は大きな体を縮こまらせて、部屋の隅で羞恥に悶えている。が、シャルロットさんは止まらない。

 ある日突然ムカデが降ってきて、3階から窓を破り飛び降りて逃げたとか。(咫岐兄上が深く頷いていた)

 近くに誰もいないと思い、野良猫に対して「にゃー。にゃー?にゃにゃー、にゃん」と話し掛けていたらしいとか。(ジェルマン卿が普通に聞いてしまったみたい)


 暴露されている間何度も「可愛い」という単語が出てきており、ジスラン殿は真っ赤な顔を膝に埋めた。




 次にルネさん。ふむ…私はオスワルド殿とは、まだ2回しか会っていない。

 確か彼は、ルネさんがいない所では…すっごい惚気てたっけ。


 年上の彼氏、という流れから。木華とルキウス殿に話題が移行。これには私も、パスカル殿と並んで身を乗り出した。


 え、何。口付けしたいって言っちゃったの?あら…我が妹ながら、なんて大胆な。

 命兄上と咫岐兄上も、慈愛の目をして気まずそうに微笑んでいる。



『最後まではしてないわよ!?シャーリィと違って!!!』


「「「………………」」」


 部屋中の視線が、パスカル殿に集まる。



「………最後まで、したの…?」


「…………………合意の上です………」


 パスカル殿はやや赤い顔を逸らした。

 そっか…というか。女性陣は、意外と…その。そういう話を…するんだね?



「いや…なんか俺の態度が分かりやすかったらしくて。

 全員、察したようで…」


「ああ、分かりやすかったぞ。妙にスッキリした表情というか。

 隠しきれない喜びと余裕が、全身から溢れてたな」


 ルシアンのその言い方、なんか卑猥だな…。

 わ、私は当然、女性経験なんて無いけど。そっか、パスカル殿は…そっか。


「ど…どうだった…?」


「…………よかった、です」


 ごくり…具体的に、聞きたいような怖いような。

 どうしても想像してしまう…。ベッドの上で、2人が…!



「そうなんだ…。あの、シャーリィの反応は…」


「すみません後にしてください!友人の色事想像したくないんで!!!」


 ありゃ、エリゼ殿に怒られちゃった。

 命兄上もすっごい顔を顰めているので、ここでやめておこう…。



 上でもきゃーきゃー大騒ぎしている所為か、こっちの声は届いてなさそうだった。

 木華は布団にでも丸まってるのか、あれ以上何も聞けなかった。

 まあ、私も妹の恋愛事情に首を突っ込むのはやめておこう。


 ただシャーリィの声で、「やるやんルキウス様ぁ~っ!!フゥーーーッ!!!」とか響いてる。

 ルキウス殿…妹に何をしたんですか?



 私が部屋に引っ込んだ頃、ペトロニーユさんに話が振られた。

 へえ、好きな人がいるのかな?4人が問い詰める様子が伝わってくる。


 すると、ルシアンが窓の外に身を乗り出した?


「どうしたんですか殿下」


「別に…彼女は私の秘書だ。誰か想う相手がいるなら、上司として把握しておく必要があるだろう」


 ああ…結婚とかなったら、秘書を辞めるかもしれないしね。

 と、私が1人納得していたら…パスカル殿が、すっごくニヤニヤしてる?

 命兄上と、バジルも同じ顔。え…何?



 しかし、いい加減彼女達が可哀想になってきたぞ。まあ私達が窓を閉めればいいだけなんだが、ね。

 通信機を取り出し、『シャルティエラ』にコールする。



 ピピピピピピ…



『『『『だあああーーーーーっっっ!!!!』』』』



 ふふっ。思わず笑ってしまう。

 それで、話聞こえてるよ~と教える。数秒後…。



「「あっ」」



 ん?身を乗り出していた2人が、慌てて引っ込んで左右から窓を閉めた。


「まずい、シャーリィに見られた」


「呆然としてて可愛かった…」


 あちゃ…。更に数秒後…上から複数の絶叫が聞こえてきた。

 何を言ってるかは分からないけど、声からしてシャルロットさん、ルネさん、木華だ。同時に、大きな足音が…。


 またまた数秒後。


 ドンドンドン!!!

「ちょっとおお!!全員いるの!?誰にも言わないでよっ!!?きーてんのーーー!!?」


「ど、どうしたんすか?シャルティエラ嬢?」


 来ちゃったか。パスカル殿が足取り軽く、扉を開ける。

 そこには…汗をかいたシャーリィと、びっくり顔のハーヴェイ卿がいる。



 で…彼女は部屋の中を覗き込み、「全員揃ってるじゃねーか!!!」と叫び。

 パスカル殿と言葉を交わし。腕を掴まれて…隣の、パスカル殿とエリゼ殿の部屋に連れて行かれて?



「ちょ、ちょちょちょ、パスカル?」


「……折角の恋バナなのに…俺の話題が無いなんて。じゃあ…沢山話題を提供しなきゃな」


「いや、ちが…ぎゃーーーっ!!!ば…っ!……う、んむぅ…!」


「……はぁ…可愛い、シャーリィ、シャーリィ…」



 ……部屋の外で、ハーヴェイ卿と一緒に聞き耳を立てていたんだけど。

 シャーリィは絶叫した後…くぐもった声を出した。

 そしてパスカル殿の、切なそうな声…。


 …私達はそっと離れた。





 たっぷり10分後。フラフラのシャーリィが出て来た。

 後ろを歩くパスカル殿は、対照的に元気そう…というか、肌がツヤツヤしてる。ナニしてたんだろう…?ごくり。

 彼女が上に戻り、私達も解散しようか?という流れに。



「ところで提案なんだが、部屋の交換をしませんか?

 俺とシャーリィ、ジスランとロッティ。それ以外は適当で」


「断る!!!」


 ジスラン殿はそう言って、部屋を出て行った。



「お前オレも泊まる部屋で何してたんだよっ!?」


「ええ~?別に、キス以上はしてないぞ?あとちょっと触っただけで…」


「ふざけんなお前っ!!バジル、オレと部屋交換してくれ!!」


「はあ…構いませんが…」


 エリゼ殿はブチ切れながら枕を投げた。それ私の!

 それから少しずつ解散し、部屋には私とルシアンのみ残る。



「もう寝るか…ん?」


 ん?カーテンを閉めようとしたルシアンが、その手を止めて声を上げた。

 なになに?外に何か…と、私も窓に近付くと。




「「………………………」」




 そこには…無言で庭を歩く、ジェルマン卿と薪名姉上の姿が…?ちなみにここは2階だよ。


「何してるのかな?」


「……まさか?そっか、そういう事か…」


 え、何?なんで納得してるの?



「少那。大丈夫、彼は影は薄いけど…それ以外は文句の付け所がまるで無い人物だ」


「あ、うん…」


 それは、なんとなく分かるけど。

 もう一度、窓の外に目を向ける。彼らは…暗闇でも分かる程、真っ赤な顔で…え?


「ま…まさか?」


「さ、寝るぞ」


 えーーー!?そ、そっか。姉上…そっかあ!

 2人はウロウロ同じ場所を歩く。互いを気にしつつ、会話は無く。

 姉上は…何度も手を伸ばして、高速で引っ込める。腕を組みたいんだね!


 うーん微笑ましい。彼らがうまくいきますように…と心の中で祈りながら。カーテンを閉め……




「ああもう、何してるんだ薪名は!!」


「もう少し、あと一押し…!」


 ぶっ!!! 噴き出しそうになったのを、咄嗟に両手で口元を押さえる。

 彼らの後方に…咫岐兄上と命兄上が!!コソコソと追っている…!私もっ!




「まーぜーてっ!!」(小声)


「「少那!」」


 えへへ~、間に割り込んでみた。

 兄上達は呆れながらも、私を追い返す事はしなかった。



「ねえねえ、あの2人いつから?」


「おれ達もさっき知った。けど…フェイテとバジルは気付いてたんだなあ…」


「まあ…ジェルマン卿だったら。きっと…大丈夫だ」


 おお…咫岐兄上すらもこの発言。普段はそっけないけど、実は誰よりも薪名姉上を大事に思っているんだ。




「「…………あの、あっ、どうぞ!……あ」」


 肝心の2人だけど。全然会話が弾まないなあ。

 じれったい!けど…楽しい。



「……くしゅんっ!」


「あ!寒かったですよね、中に入りましょう」


「す、すみません。あ…」


 今は3月で、まだまだ寒い。ジェルマン卿は姉上に上着を掛けて、反射だろうが手を繋いだ。



「「………………」」



 繋いだまま…さっきよりも身を寄せて歩き出し。

 ゆっくり、ゆっくり時間を掛けて歩き。


 姉上の部屋の前で…別れて。



「……マキナさん」


「…はい…」


「明日、帰る前に、ちょっと。ふ…2人で──…」



 私達はそこまで聞いて、そっと離脱した。



 なんかいいなあ、こういうの。3人で、誰からともなく笑った。

 …シャーリィ。彼女と結婚したかった、っていうのは本気。結ばれなくても、彼女を愛しく思う気持ちは変わらない。




 いつか…私の隣にも、誰かが立っていてくれるかな?

 そんな事を考えて、空を見上げる。



 ああ…今日は。月がとっても、綺麗だなあ。




ちなみにオーバンエンドの「有り得たかもしれない道」ですが。

アルファポリスさんでは全く違う内容になる予定です。

アップしたらお暇な時に読んでみてくださいませ~。

ちょっとだけネタバレすると、生徒会トリオがわちゃわちゃしてます。

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[一言] 少那の伴侶はどうなるのかな。
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