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内緒にしなきゃ!  作者: 雅也
6/10

6話


                  6


「ねえ優太、お昼からどうする?」

「う~~ん...、俺ん家来る?」

「行きた~い」


 午前中の学習も終わり、昼食も寛子の家で食べたので、今日の所は解散となった。 その後、優太たちは午後からどうするか、帰り道で相談している。


「じゃ 俺ん家で、だけどいいのか?」

「昨日の事を言ってるの? なら、もう吹っ切れたから」

「早いな吹っ切るの」

「だって優太のお母さん、私が優太と結婚する事を前提に、話が進んでるんだもん」


 確かにそうだ、祐美は耀の名字が変わる なんて事を言っていたので、多分半分以上は本気だろう。


「言ってたな。 しかも、オレの気持ちを置いてけぼりにしといて」


「......」


「?」


「......」

「? どうした耀。 何か気に障ることを言ったかオレ」


「なんで?」

「え?」

「どうして? 優太」

「何が?」


 目に涙を溜めて、耀が言う。


「私の事、嫌いじゃないよね?」

「な! 当り前だろ。 耀はオレの彼女だし、これからもずう~っとだぞ」

「ずう~っと一緒に居てくれる?」

「あったりまえだ。 一生になるぞ、覚悟しておけよ 耀」


「うわ~~ん!」


 耀が人通りのあるところで、突然大泣きし始めた。

 それを見た、優太が宥めに入る。


「おいおい!こんな所で泣かないでくれよ」

「うわあ~~~ん...、だって...、だって~」

「みんな観てるぞ 耀」


「うええ~~ん!  ひっく、ひっく...、見ててもいいもン」

「ええ? 恥ずかしい~ オレ達」

「な、なによ! そんな事くらいで」


 と言いつつ、耀が 優太の胸倉を掴んで引き寄せた。

「な!!」


 言うが早いか、歩道の真ん中で、二人がキスをした。


「ふむぅ......、っパは!」

 一瞬だったが、周りの通行人にはしっかりと見えただろう。


「耀、不意打ちだな」

「うふふ、どう?参った?」


「もうコレは、完全に乾杯だ、あかるさん」

「やった~!!」


 嬉しがる耀。 優太は気力を無くし、ただ耀の嬉しがる姿を見ているだけだ。


 周りの民衆が、 なんだよ 泣いたり、 キスしたり、 嬉しがったり、  

リア充は自爆しろ、みたいな感じの雰囲気だ。

 それも一瞬で、少し経つと、な~んも無かった様に、通り過ぎていくようになった。



「なんか、これから先が思いやられるな」

「そんな事言わないの」



 道中ハプニングがありながら、どうやら佐藤家に到着した二人。 これからまたさらにハプニングがある事を知らないまま。



                 △


「ただいま~!」

「こんにちは、お邪魔します」


 元気に玄関のドアを開ける二人。  すると、リビングから祐美が出てきた。

(ん? 何か変だぞ?)

 異常を感じた優太が、足元を見ると、大人なパンプスがあった。 それを二人が見たが、驚いたのは耀だけだった。


「お母さん!!」

「え?!」

 これには素早く優太が反応した。


 すると、奥の方から。

「おかえり~、耀」

 と、待ち構えたように、ニコ~っとしながら、朱里が玄関に歩いてきた。


「何で居るの?」

「何でって、この前言ったじゃない、近いうちに祐美の家に来るって」

「言ってたけど、このタイミングで?」

「あら、タイミングって、あなたもそうじゃない」

「う...」


「ほら」


言う通りである。 たまたまこのタイミングで出くわしただけの事である。


「優太くん、こんにちは。 いつもありがとね、耀を守ってくれて」

「はい、こんにちは。 それは、オレの役目ですから」

「うふふ、偉いのね。 いいな、耀は ナイトがいつも付いていてくれて」

「ナ...。 お母さんだって、お父さんが居るじゃない」

「まあね...」

 

 話がついたところで(ついたのか?)、いい加減に玄関から、中に入りたい優太と耀。


「さて、上がって話を聞きますか」


 この言葉に、優太はゾッとした。



                  △

 


「さあ、もう逃げられないわよ、二人とも」

「そうね、覚悟しなさい」


 普段とは違う態度の両母親からの耳ダンボ状態の目の前で、二人はしょげながら、尋問を受ける。


「まずは出会いから行きましょうか」

(え? そこからなの?)



 優太はハッキリ思った。

(あ! めんどくさ)


                 △


 あれからもう1時間は過ぎただろう。


 やっと母親たちから解放され、短時間で疲労困憊ひろうこんぱいになり、優太の部屋に来た頃には、ドアを開けてすぐに布団で、二人仲良く寝入ってしまった。


                 ◇


「ねえ見てよ朱里、18にもなって、無邪気な物ね」

「ホントだ。 二人ホントに仲がいいのね、なんだかカワイイわ」


 飲み物を出そうと、祐美が優太の部屋に来てみたが、ドアを開けてみると、二人仲良く布団の上に寝入っていた。 その姿を見て、すぐに、一階に戻り、朱里を呼んで、今 母親同士で子供たちの揃った寝顔を見ていた。


「何だか疲れさせてしまったようね、悪い気がしてきた」

「そうね、ちょっとやり過ぎたかも。 ま、そっとしときましょ」

「そうね」


 母親たちは、ゆっくりとドアを閉めリビングに戻って行った。



                  △


「う、う~~ん...」


 最初に起きたのは、優太だった。


「あれ?」

(いつの間に寝入ってしまったんだろう・・・って、うわ! )


 隣には、とってもカワイイ寝顔で、寝息を立てて眠る 耀がいた。


(うわ~~、カワイイ! 初めて見る寝顔だ。 見入っちゃうな)

「あれ?もう4時半だ、可哀そうだけど、起こすか」


 ゆっくりと耀の肩を揺らす、するとネコが伸びをする様に、両手足を伸ばしたら、目が合った。

 最初は何が起きたか分からない顔だったが、数秒で事を理解し...。


「きゃっ!」

 慌ててタオルケットを手繰り寄せる。


 寄せながら。

「見た?」

「?」

「見たよね、寝顔」

「うん、見た」

「......」


 真っ赤になる耀。 穴があったら多分入っていただろう。だが、優太がまた追い打ちをかける一言を放った。


「とっても、可愛かった」


 ボンッ と音がするかと思う程、さらに恥じらう耀。


「は、恥ずかし~...」

「いいじゃん、オレ達付き合ってるんだから」

「でも、見られたくなかったよ~」

「でも、将来は、毎日見るんだから、いいじゃん」

「とにかく、恥ずかしいの!」


「でも、オレ幸せだった。 オレの横に耀が寝ていたなんて」

「......え?」

「ん?」

「まさか、優太、さっきまで一緒に、このお布団で寝ていたの?」

「そうだが」


 今度は耀の頭から、湯気が出そうな勢いで恥じらった。(プシュ~ ってヤツだ)

「なななななな...」

「な がどうした?」

「どどどどどど...」


「耀。 日本語を喋ってくれ。同じ文字の連呼は、全く分からん」


「一緒に寝てたなんて、私お嫁にいけない」

 

 一瞬の間を置いて。

「大丈夫だ、オレの嫁になるから」

 漫勉の笑みで、答える優太。

 それを見つめる耀。



「もう、優太~   大好き!」


 優太の胸に、耀が飛び込んできた。



 突然の事で優太は驚いたが、すぐに耀を抱え込み、優しく抱きしめ、何度も小さいバードキスをして、その後深いキスになった。




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