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内緒にしなきゃ!  作者: 雅也
4/10

4話


                  4


「ふんふんふ~ん...」


 いよいよ夏休みに入った。 


 今日は、4人では無く、優太の家に耀が遊びに行くと言う、暑い夏の定番、涼涼すずすずお家デートだ。

 先日から本格的に付き合い始めた優太と耀が、今まさに佐藤家に向かっている。 今日は二人なので、耀の気分がいいのか、鼻歌を歌っている。


「そんなに俺ん家がいいの?」

「ちがうよ。 優太と一緒なら、お寺でもいいんだよ」

「はは、手を合わせていいか?」

「拝まないで~」


 なんと言う、低飛行な会話だろう。


「到着~」

「早く入ろ、優太」

「うん」


玄関の扉を開けて

「ただいま~!」

 スリッパの音がして、母親の祐美が出てきた。


「おかえり~」

 と言いながら。

「あら、今日は耀ちゃんだけなの?」

 不思議に思った優実だが、何かを悟ったのか、次の一言が鋭かった。


「もしかして、二人 付き合い始めた?」

「「な...」」


「は~ん、どうやら図星ね」

「何で分かった?」


 祐美が指を指して。

「ほら、二人 手繋いでるし」

 言われて気が付き、パッと手を放す...が、すでに時遅しだ。


「さあさあ正直に言っちゃいな、白状しちゃいな、お二人さん」

 言葉に詰まる二人。さらに祐美からは追い打ちがくる。 こうなると、祐美は面倒くさい人になる。


「言わないと、今からリビングで、2時間尋問ね、覚悟しなさい」

 コレには二人、慌てて。


「はい、俺たち先日から付き合い出しました。オレと耀 共々、コレからよろしくお願いします」

「うん、よろしい。...で、耀ちゃん、ウチの王子はどう? 優しい? 」

「あ、はい。 とっても優しくて、勇敢で、頼もしいです」

「あらら。コレは嬉しい事を言ってくれるわね。良かったわね、優太。こんなカワイイ彼女が出来て」

「オレも、こんなカワイイ彼女が出来るとは思っても見なかったんで、初カノが耀で嬉しくて、毎日が楽しんだ」

「え? 優太、こんなにカッコいいのに、今まで彼女居なかったの?」


 耀が不思議そうに優太の顔見る。


「そうなの。優太って、普通に器量はいいし、背も高い、なのに女の子に興味が無いと思っていたくらいに、彼女っていうか、女の子の友達が誰一人居なかったのよ」

「母さん、そんな言い方」

「そんな時に、いきなり勉強会だと言って、女の子が二人家に来た時は、私 赤飯炊こうと思ったわ」

「お母さん、そんな大袈裟な」

「あらぁ~。さりげなく 今、お母さんって言ったわね、耀ちゃん。 優太、コレはもう耀ちゃんに 名字を変えてもらうしかないわね、覚悟しなさい」

「母さん、耀の顔を見ろよ」

 

 耀が真っ赤である。

「あら、カワイイ。 うちの嫁になる気、満々ね、 あ・か・る・ちゃん」


「......」


「そろそろ家に入らせてくれないか?」

「あ、ごめ~ん。耀ちゃん、ゆっくりして行ってね」


 そう言って、優実がキッチンに戻って行った。


「ごめんな、ウチの母さん、あんな性格なんで、何か気に障ったか?」

 2階にある優太の部屋に喋りながら向かう、すると、祐美がキッチンから顔だけを出して。


「後でお茶持っていくから、イチャイチャはその時だけは止めてね」


 さらに顔が真っ赤になる耀。

「母さん!  もう...」

「あはは、ごめ~ん! 後で持ってくからね」

「わかった」


 一件落着になって、雄太の部屋に入る二人。

 慣れたもので、耀はいつもの定位置に座る。


「ごめんな、母さんがあんなで」

 首を横に振って、耀が否定する。

「優太のお母さん、何かさっぱりしていて、裏表が無い所がとっても好きだから、気にしないで」

「まあ、それが取柄かな?」

「うん。それに喋ってて楽しいし」


すると、いつの間にか、祐美が素早くお茶セットとトレイを持って、やって来た。 

「なになに~? 私のウワサをしていたな~。悪口かな~...」

 思いっきり否定をする雄太。


「耀が、とっても好きだとさ。良かったな母さん」


 祐美が少し満足気である。 でも、不思議なのは、3つの容器がある。

「コレは何かな? 母さん」


「あ! それは、私も混ざろうと思って...、暫くは良いかな、聞きたい事もあるし」 

「は~...」

 優太が溜息を吐く。


「私はいいですよ。だって、お母さん楽しんだもん」


 祐美の顔が明るくなった。

「ありがとう、耀ちゃん。 さすが優太のお嫁さん第一候補ね」

 慌てて、優太が。

「まだ決まったわけじゃ無いぞ。母さん」

「え? そうなの? 優太」

 と、耀が言うと。


「え!?」


「ええ?」


 3人が、耀の一言に、動きが制止した。


「もしかして、耀ちゃん、優太のお嫁さんになる気があるの?」

 間髪入れずに。

「はい!頼もしいですから」

 と、耀。


「あかる~...、オレが恥ずかしいぞ」


「それで、小川家のご両親は、付き合い出した事を知っているの?」

「いえ、まだ両親には報告していませんが、優太くんの事は、大変好印象を持っています」

「優太。 あんた、向こうのご両親に改まってご挨拶行く時には、シャキッとしていきなさいよ」

「分かってるよ」


 少し気になるのか、優実が耀に聞いてみたい事があったみたいだ。


「耀ちゃん。 ご両親って、お幾つになるの?」

 少し考えてから答える。


「え~っと、確か当年取ったら42歳になります。母親が同級生なので、一緒です」


ここで、優太がコレからの展開のカギとなる一言を言う。


「確か、親父さんって 小川 じゅん さんって言ってたよな、耀」

「うん、そうだよ。母さんは 朱里あかりっていうんだ」


 祐美の目が見開いた。

「え! その二人、同級生。 私の同級生よ」


 驚きである。 


 まさか、佐藤家の母親と、小川家の両親が、同級生だなんて、おっどろき~、である。

「わわ...、朱里とは結構親しくした仲なのよ。しかも、淳くんと結婚していたって...、じゃああのまま付き合っていたのね、で、結婚したんだ。二人とも一途だったんだ。いいわね~」


「お母さん、ウチの両親とそんなに親しかったんですか?」

「うふふ...。 当時わたしと朱里と...うふふふふ」


 何か怪しい祐美だった。


「あ~、でも久しぶりに会いたいわ~、あかり~」

 懐かしんでいる祐美を見て、耀が。


「お母さんに聞いてみましょうか?」

「え? いいの? 耀ちゃん」

「はい。 ちょっと待て下さい」


 そう言って、耀が可愛いバッグから、スマホを取りだし、すぐに母親に連絡する。 そうして。


「あ、もしもし お母さん」

『あら、どうしたの? 今日は優太くんの家に行ってるんじゃあないの?』

「うん、そうだけど。 ちょっとお母さんと喋って欲しい人が居るの、今っていい?」

『いいけど、誰かしら?』

「変わるから...」


 そう言って、スマホを祐美に渡した。


「もしもし、朱里?  分かる?」

『あれ? この声は...え~っと...、あ! 祐美なの? そうだよね、祐美だ』

「そう、久しぶりね朱里」

『わあ~、何年ぶりかしら。 元気? でも何で耀の居るところに祐美がいるの?』

「へへ~ん。あなたの娘さん、実は私の息子と同級生だったの、しかも、あなたも知ってると思うけど、例の 勉強会ってあったでしょ? あの 4人の中の優太が私の息子なの」

『え!?...、驚いた~。 ビックリな展開ね、偶然って言った方がいいのかな? ウチの娘が世話になってる訳ね、ゴメンね』

「いいのいいの、ウチの息子も時々世話になったみたいで、ありがとうね。 でね、久ぶりに会わない?」

『いいねいいね、会おう会おうよ祐美、で今から?』

「はや! でもいいけど、この子たちも連れて行こうかしら、どう?」

『いいね~。 じゃあ耀に道聞いて、今からウチに来て、待ってるから』

「ちょっと待って。 今、 子供たちの意見も聞いてみるから」


 一度顔からスマホを離し、優太と耀の意見を聞こうとした時に、優太が答えた。


「いいよ母さん。俺たちも耀の家に行くから、いいよな耀」

「うん、ウチで良かったらどうぞ」


「だって。 朱里 子供たち引き連れて、今から行くわ」

『おっけ~、じゃあ待ってるからね』


 そう言って、お互いにで電話を切った。


「ま、そう言う事だから、さっさと行きましょう」



 そう言ってた祐美は、たった10分で身支度とメイクを済ませ、車に優太と耀を乗せて、出発した。

 (支度 はや!)


 耀に道案内をしてもらい、道のり約5分で着いた。閑静な住宅街である。 普通に今風の戸建ての家だ。

  (ちか!)



 車の止まった音で、玄関から耀の母親 小川おがわ 朱里あかりが出てきた。

 祐美も、運転席から降りてきて、久しぶりの再会を手を取って喜んだ。





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