2話
2
開店してから暫く経ってしまったモールのフードコートに、4人が着き、好きなものをそれぞれの店舗から注文する。 と思いきや、4人が一緒のバーガーショップだった。
「もうこうなったら、皆一緒でいいか?」
と、優太が3人に聞くと。 女子たちが
「「え~!...」」
と、ブーイングした。
「じゃあなに?」
と優太が聞くと。
「「チキンとレタスがいい」」
声を揃えて言う。
「分かった分かった、祥はオレと一緒のダブルのヤツでいいか?」
「いつも通りだな」
「そうだな。 じゃあまとめて注文してくる」
そう言って、それぞれのドリンクを聞いてから、優太は注文カウンターに向かった。
・・・・・
「「「「いただきま~す!」」」」
4人は声を揃えて食べ始める。
食べながら、耀が優太と祥に。
「さっきはありがとう、あなた達が来てくれなかったら、あの後どうなっていたか」
「私もありがとう佐藤くん小川くん。今日のは結構しつこかったんで、困ってしまったんだ」
寛子も礼を言う。
「今日のは…って言い方は、前にもあったって言う事なんだな」
少し黙ってから、寛子が
「そうなの。度々あるから、困っちゃうんだ。だから、なるべく目立たないような容姿で来るんだけど。それでもあんな目に合っちゃうんで、最近は、あまり人が集まる場所へは行かないようにしているの、残念だけど...」
「寛子 可愛いもんな。 お前狙ってるヤツ多いんだぞ」
「え!? そうなの?」
寛子が不思議そうにする。 全く自覚のない寛子だ。
「そうなんだよ、寛子と居る時が大体狙われるかな?」
耀が言う。
少し気になり、優太が耀に言う。
「小川だってカワイイんだから、気を付けないといけないと思うぞ」
「な!.....」
耀の頬がピンクになる。
「あれ~? 耀、照れちゃって、佐藤くん 耀の事が可愛いの?」
言ってから気が付く 優太。
「そ、そうだが...」
正直に言った。
「ほほう、それは初耳だな優太。今まで小川さんと接点なんてあったか?」
「無い」
照れながら優太が言う。
「耀は佐藤くんの事カッコいいと思う?」
寛子が耀に聞く。 だが、すぐに返事が返って来ない。
少し黙っていると、小声で 耀が囁く。
「さっき助けてもらってカッコよかったし、背高いし、今まで喋ってて優しいし...、えっと...と」
「なあ~んだ、YESじゃん!」
ハッキリと祥が言った。
「そうだよ 耀。 私から見ていても、中西くんの言う通りだと思うけど、どう?」
寛子も言う。
「とりあえず、友達から始めたら?」
「それがいいな。 優太 イイじゃん、そうしろよ」
「......」
「耀もよ」
「......」
「何だ?二人とも固まって。 もう、決定な!」
何故か固まった当の本人たちを置いて、決まってしまった様である。
・・・・・
「美味しかったね~」
寛子の言葉に皆頷き、コレからの行動についてミーテイングをする。
「ではコレからの行動について議論します」
いつしか4人で行動を取ると言う、流れになって来ている。
確か、優太と祥は、モール外にあるゲームショップに行こうと言っていたのだが、今朝の事件もあり、女性陣と一緒に行動を取っている。
コレはこれで、カワイイ女の子たちとの行動に、嬉しいのだが、今朝の事もあり、彼女たちをガードした方が良いと言う思考もあった。
なので、今日は彼女たちの行動を、優先した方が良いと、優太は思った。
「祥、朝の事もあるし、このまま彼女たちと一緒に行動した方が良いと思うが、どうかな?」
即答で祥が答えた。
「そうだな。 また変なのが近づいてきたら、不味いからな。今日は彼女たち優先で行動しよう」
「よし」
優太と祥の小声での会話は合意した。
すると...
「そこ、ゴチャゴチャしない!」
と、寛子に怒られた。
それを見て、クスクスと笑う耀を優太が見て、何か心に刺さる感覚がした。
「さあて、これからどこに行きますか、意見を言って下さい」
各々がシンキングタイム...。
「「「......」」」
「何もないの? じゃあ、中西くん達がここに来るための用事は何だったの?」
あ!思い出した 的な感じで、祥が言う。
「モール近くのゲームショップに、優太と行こうって言う事で、今日は出てきたんだ」
「そう言う事ね、 私たちは、この中にあるクレープ屋さんで、期間限定品のクレープがあるのを知って、耀と食べに来たの。でも、今 お昼したから、今はムリね、お腹いっぱいだから」
優太が思いついたように言う。
「だったら、モール内のアミューズメントに行かない? 女性陣の好きなプリクラ進化版もあるし、俺たちはゲームが出来るし、どう?」
「それいいかも、私たちの腹ごなしにもなるし、でも、クレープの時には一緒に来てよ、お二人さん」
「「分かった」」
「じゃあ決まりね、耀もいいよね」
「うん」
「あ!それから」
思い出したように寛子が言う。
「私たち結構気が合う男女って気がしてきたんで、これからはみんな 名前で呼ばない?」
「それいいね」
耀も言う。
「俺たちも別にいいかな、な、雄太」
「ああ、良いじゃないかそれで」
「じゃあ決まりね、優太 祥」
「おう、寛子 耀 よろしくな」
「オレもこれからよろしくな、耀 寛子」
最後に耀も言う。
「私もよろしくね、優太 祥」
「じゃあ行くか!」
「ちょちょ!ちょっと待った。」
「何だ?寛子」
みんなを待たせて、寛子がスマホを取り出す。
「もし離れてもいいように、連絡先の交換をお願いします」
「あ、そうだな。 もし逸れても、連絡できるからな、いいじゃないか」
そう言って、4人が連絡先を交換して。
「今度こそ、いくぞ~!」
「「「お~!!!」」」
討ち入りみたいな掛け声で、アミューズメント施設があるところまで、4人は会話をしながら移動して行った。
△
「以外に近かったね」
「約2分だな、道のり」
「「ちか!」」
優太と耀の声が重なると、お互いに顔を見合って、少し赤面する。
「あら、息ぴったりね」
「もうカップルだな、優太」
「「......」」
「早いとこ、告っちゃえよ」
追い打ちをかける祥。 な~んて言っているうちに、アミューズメントコーナーの、真ん中に来た。
「やっぱ女の子が居るって事は、定番の クレーンだな」
「相変わらず、ぬいぐるみの山だな」
「わあ~! わたしこのクマさんがカワイイ」
と、寛子が言うと、続けて耀が。
「わたし、この 部屋のすみが好きなネコがいい」
なんて言っているので、男子たちのやる気が出てくる。
「耀、このネコが可愛いのか?」
「うん、だけど難しそうだから止めとく」
そう言った時には優太がコインを機械に投入していた。
「い、いいよ優太。悪いよ」
言うのを止めて。
「見てろよ! 耀」
そして、一回目は出口付近まで寄せておいて、二回目でタグに引っ掛けて、ゲットした。
「わあ~!! すごい! 優太」
まん丸のネコを手にした優太が、そのぬいぐるみを手にした方の手を、耀に差し出す。
「ほら」
「え?」
「いいから、ほら」
「あ、ありがとう 優太。とっても嬉しい」
そう言って耀は、まん丸のネコを抱きしめながら、お礼を言った。
それを見ていた寛子が。
「優太って、クレーンゲーム上手なのね、やるじゃない」
「オレ達を見くびってもらっちゃ困る。 オレだって見てろよ、寛子が欲しそうなこのクマを捕まえるからな」
祥が寛子に向かって言う。
「そ、そんな、祥 いいよ、言った事気にしないでいいから」
「はは、そこで観てろよ寛子」
そう言って、祥も、難しい位置にあったクマのぬいぐるみを、三回でゲットした。
「ほら、やるから」
「あ、ありがとう。何か おねだりしたみたいで悪いわ」
「な~に言ってんだ、俺が持っても、キモイからな、貰ってくれ」
「ホントにありがとう祥。嬉しいわ」
耀と寛子が、ぬいぐるみを抱きしめて、喜んで喋っているのを見て、優太と祥が満足そうにしている。
「すごいね、二人とも、ゲーム得意なんだね」
「まあな、オレ達って、よくこういう所に入り浸っていた時期があって、コレなんかは、得意中の得意なんだ」
ドヤ顔で自慢する男子二人をみて、女子ふたりが称えた。
・・・・・
そうしているうちに、午後2時半を過ぎた。
「ねえねえそろそろ小腹好かない?」
「そうだな、何か食いにいこうか? みんな」
思い出したように、耀が
「クレープだよ寛子、クレープ」
「そうそう、行かなきゃ。 男子達はどう? 一緒に行く?」
間髪入れずに。
「「行く!」」
「腹減ったからな~」
「あはは、さすが男子、すぐお腹空くのね」
「はい取柄です、ボクたち」
「あはははは...」
全員で大笑いして、女子たちの今日一番の目的の、クレープ屋に向かった。
△
「ほ~、コレなんだ、キミたちが食べたいと言っているのは」
男子達が 驚き&呆れ 気味で、女子たちが手にしているクレープを見る。
「そうだよ男子達。 普段とは違い デラックスが良いのよ」
「期間限定って、ホントに凄いな。 でも、コレ二人とも、食べられるのか?」
耀と寛子が、お互いを見つめ合って、同時に頷くと。
「何言ってるの。 男子達に手伝ってもらうに決まってるじゃない」
「「......!!」」
「あ!ちなみに、このタピオカミルクティーのL もだよ」
しれっと寛子が言う。
「毎年やってるこの期間限定だけど、いつもは耀と二人なので、2種類あるけど一つだけ頼んで、二人で分けてたんけど、今日は男子が居るからそれぞれ二つ頼んだの」
(それって、間接キスじゃないか?)
と、優太が思ったが、それを打ち消すように、耀が続けた。
「私達、間接キスとかあまり気にしない女子なんで、変な気は使わないでねお二人さん」
「それって...気にするところじゃ...」
今度は寛子が言ってきた。
「いいのいいの。 気にしないで」
あっけらかん、と言ってきた。
その後、4人でアレコレの交換をし合い、最後は。
「ふう! おやつにしては手強かったな。結構 腹に来た」
「一人じゃあ無理でしょ? でも今日は男子達が居るお陰で、2種食い出来たんで、満足だよ~」
最後は耀が満足気に言った。
(女子って、甘いものは別腹って言うけど、ホントだったんだな)
そう思う、優太だった。