プロローグ
2020/01/08
更新済み
俺は、葉坂翼、日本の高校に通うごく普通の男子高校生…だった。
俺はいつもどうり登校していた。その日は雨でいつもより暗く、冷え込んでいた。
「はぁー、来週からテストかよ。だりーな」
来週から期末テストが始まる。まあどうせ余裕で上位入れるがな。
そんな事を考えていると、後ろから声をかけられたと同時に、軽く抱きつかれた。
「おはよっ、つばさ！」
この女子は俺の幼なじみで、同じクラスの桐崎奈緒だ。明るい性格もあってか、周りからも人気があり、男子にもモテるやつだ。
「あのなあ、毎朝抱きつくのやめろよな」
「いいじゃん！別に！」
「お前が良くても俺が気にするの！」
「えー、なにー？もしかしてつばさったら恥ずかしいの？照れてるの？」
奈緒がニヤニヤしながら言ってきた。
「うるせー、んなわけねーだろ」
「...てか来週からテストだけど、お前勉強してんのか？お前、前回赤点取っただろ？」
そう、こいつは赤点を取ってしまうほど勉強が出来ないのだ。
「ん？なんの事かな？」
「目が泳いでるぞ...はぁー、しゃーない。俺が教えてやるよ。...放課後でいいな？」
まあ、いつも教えてるんだけどな、、
「またつばさが教えてくれるの！嬉しい！ありがと！」
めっちゃ笑顔、、
「俺が教えるんだから赤点取るなよ？」
「うん！もちろん！頑張るよ！」
─いつもこの時だけはすごいやる気あるんだよなぁ、
「おう」
そんないつもどうりの暖かく和やかな雰囲気は長くは続かなかった。
2人は小道の横断歩道を渡っていた。しかし、その日は雨だ。大型トラックがタイヤを滑らせて、話してる2人の元へ突っ込もうとしていた。
「ファァァァァァァァン！」
大きなクラクション音が聞こえた。
それに気づいた翼は、
「奈緒！危ない！」
翼は奈緒を助けようとして、奈緒を安全な所に、突き飛ばした。
「...え？...つばさ？」
奈緒は驚いた表情で、何が起きようとしてるかを察したようにそう言った。
「ドン！」
その重く鈍い音とともに翼はトラックにぶつかり数十メートル先に吹き飛ばされる。
普通の人間なら間違いなく即死だ。
しかし、翼は奇跡と言っていいのかトラックから突き飛ばされたあと、辛うじて意識がある状態だった。
「つばさ！つばさ！しっかりして！」
奈緒がボロボロに泣き、走って翼のそばに来て、そう叫んだ。
「う…ああ…全身が…動か…ねぇクソい…てぇな、これは…助かり…そうに....ない…な、」
「そんな！私なんかを助けるために！死なないでよ！」
「私..なん..かなんて..言うん...じゃ…ねえよ。」
「もっ..と自分に..自..信持て..」
「…これは…お前に…勉強…教えられ..そうに…ない…な」
「いいよ！そんなの！それより早く救急車を！」
奈緒はそう言いながら、携帯を取り出す。
「悪い…な…もうお別…れみたい…だ…」
「勉強…がんば…れよ…」
翼はそう言い、息を絶った。
「そん…な、つばさ！つばさ！つばさぁぁぁ！」
奈緒のその叫び声だけがその場に響いたという。
