第九十話・我が子を嫌った保育士の話
某保育士を殴ればよかったと今でも後悔している話を書きます。私は子が三才の時に転職し、別の保育園に預け始めたときの話。保育園に近いという理由で職場を決めたのだが、子にとっては今でもトラウマになっている。当時は学習障害…LDの診断を受けたところで勤務後に週に一、二度療育をうけにいっていた。そのことも踏まえて入園させていただいていた。受け入れてくださったので、保育園側ではその面での配慮をしてくれると思っていた。でも違っていた。嫌って暴言暴力をしていた。まだろくに言葉も言えぬ子に対して。
そこの三歳児クラスは二名の保育士がメインで担当していたが、中心が例の人物。年配の女性保育士だった。子は言葉の発達も遅れて口数が少なく、ほぼ無口だった。三才では己の意志を告げられない。それをよいことにしていた。
初めておかしいと思ったのは、迎えに行ったときに「お弁当箱が見当たらないのでお昼を食べていません」 という言葉。
「お弁当箱はちゃんと持たせていましたけれど」
というと、「さがしたけれどありません」 という。そのままプイと横を向く。そして他の子を「走るな」 と注意をしにいく。私も迂闊で、お迎えの時にちゃんと保護者に向き合って話してくれないのは、忙しいからだろうと思っていた。でも違っていた。
子に「お弁当箱はどうしたの」 というと、しょんぼりした顔でカーテンの方を見る。
「どうしたの」 と聞いても答えない。別の子がさっとカーテンの裏を開けて「ここにあるの~」 という。中身は朝に渡したままで、開けなくてもずっしりと重い。唖然として「どういうことなの」 と聞いても子は答えない。忙しそうな保育士に聞いても「さあ、でも見つかったらよかったねえ」 というだけ。
子は私のスカートをつかんではなさなかった。詳細はわからないままだ。
でも次の日から保育園が見えると泣くようになった。玄関前にかわいい動物のイラストキャラがあってその中の大きな青い「ゾウ」 が気に入っていた。しかしそれを見るなり泣き叫ぶようになった。車から降ろすと保育園の方向と反対に走り出す。車道でもあるので、非常に危なかった。
「どうしたの」 と何度聞いても答えない。泣きわめく子を引きずるようにして三歳児クラスの部屋に連れて行った。発覚したのは、上の子を一時保育に短期で預けたとき。この子は親に対して話ができた。
「マルちゃんは先生にいじめられてたよ。おしりぶたれてた」
「えっ」
「お昼寝しないからダメな子って、みんなの前でおしり出してぶったの」
「ええっ」
「きのうもおとついもだよ」
「ど、どうして教えてくれないの」
上の子も当の子も下を向く。上の子はその保育園では最年長で別棟だったので、短期で預けていることを当の保育士は知らなかったと思う。お昼寝の時間だけ広い体育館ルームでゼロ歳児以外は一緒に寝ていてそれでわかったのだ。多分上の子が言わなかったら一生この話は知らなかったと思う。私はすぐに園長にその話をしたら、「まあ……あの人はパートで」 と声を出した。「いや、そういう話じゃないと思いますよ」
と、私は保育園を変えた。子どもの数が少ない田舎なので待機児童はないのは幸い。
⇒ ⇒ ⇒ 結果を先にいうと、実はその保育園は勤務先の医療施設関連で同職の人が多い。園長はこちらにかなり気をつかった結果だろうと思うが、その保育士は退職した。謝罪はないままだ。おそらく子供好きというよりも、きっと時間を持て余してパートを始めた人ではないかと思う。
我が子は周囲の空気を読まずに、また先生の指導を聞かずにあかずに絵を描くような子で扱いづらかったと推察できる。でも泣き叫ぶほど嫌がる保育園に数週間とはいえ、預けてしまった後悔は今でもある。子は大きくなったが理不尽に頭やおしりをたたかれたと今でもいう。
私が気づかなかったのは今でも申し訳ないと思っているが、一方的に有資格の保育士が力任せに叩くというのは残念なこと。今回の話は保育士による幼児虐待ニュースを聞いて思い出して書きました。
……そう、保育士が、顔の落書きを消すためにメラミンスポンジを使って顔中やけどをさせたこと。泣き叫んでいるのに、それが平気でやれる神経が信じられない。それと親が在宅ワークをしている隣の部屋で雇った保育士が性虐待をしていたこと。それも信じられない。
双方とも警察が動いて前者は書類送検、後者は逮捕されました。我が国は警察が機能しているからまだいい。戦時下にある国ではもっと惨いニュースも聞く。
まだ幼い子どもに対してそういったことが平気でやれる人種から幼い子どもを守るためには一体どうすべきかと思います。




