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第八十八話・子供の同級生の反抗


 子どもの話。クラスにちょっと不良がかった同級生がいる。男の子。子ども同志とは「おはよう」 ぐらいはいうらしい。まだ学生であれば、先生が授業中の態度が悪かったら注意するのは当たり前だが、注意したら、先生に向かって「ばかやろう」「死ね」 などと怒鳴るらしい。私はその話を聞いて先生が憎いというよりも、その子が年齢より幼い印象を持ちました。かつ、大人に構ってほしいのではないかと。

 自分のことをしゃべらぬ子らしいので、うちの子も詳しいことはしらない、でも、授業が中断するので困るよという。以後は私個人の考察です。

 ① 誰しも勉強する権利はあるので、それを妨害しているという意識がゼロであるのは問題です。

 ② 先生に向かって「死ね」 といって果たして効果があるものかもわからぬのも問題です。

 ③ それで己の価値があがるかと思っているならもっと問題です。

 ④ 周囲の状況も読み取れぬ傾向のある子かつ家庭に問題があるならば、その子の将来のためにも何らかのアクションを学校側が取るしかない。何のために教職を取ったのかと思えば、単純に排除の方向へ動くのは望ましくない。


 なんとなく興味をひき、詳しい話を聞くもその子は同級生にはからまないが、先生にはからむという……ということは、大人に何らかのサインを発していることでもある。毎日学校には来るらしいので、登校する価値は感じている、つまり校内に居場所はあると感じている。

 まだ十代で人生で一番体力や気力が充実している世代なのに、趣味が授業の妨害ではあまりにももったいなさすぎる。先生の方でも対話は試みているだろうが、なんとかならぬのか。すると子供が迷惑そうに答えた。

「もうすでに親が何度も呼ばれているらしいし、先生殴っちゃったから、あいつは退学になると思うよ」


 入学式後、数日通学しただけでコロナのせいで学校が休み、再開したらそうなったと。絶対家庭でなにかあったのだ。ああ、と私は身もだえする。でも、自分のことで精いっぱいの状態で介入できない。よそのお子さんで顔なじみでもない子のことを思いやっても何ができよう。家族関係が多分絡んでいると思うが、誰も助けられない。

 幼児や小児期を脱すると、ざるから抜けるのと一緒だ。退学となって学校から放り出されたらその子はどうなるのだろう。引きこもるのか、悪事に手を染めるのか……目上の先生に平気で悪態をつく子は、もしそのままの状態で気づきもなく学校の外に放り出されたら、一生涯どこにいっても相手にされない。

 悪態をついてストレス解消にはならぬ。それがわかっている子なのかそれとも単なる自暴自棄なのか。ここに精神的な助けの必要な子がいる。日本はこんなに豊かな国なのに。


 ……と悶々としていたら、公立高校退学済みの子が、ケロッとした顔で退学する子って結構多いよ、なんとかなるよという。ぼくのあとでも退学した子が三人もいるよという。確かに私の学生時代でもいつの間にか退学した子もいた。校則を破って退学させられたり、自主退学も。

 うちの子にも限らずどの子もそうだけど、それで人生終わりではなかったからね。ちゃんとまだ生きている。生きていれば何とかなるだろうと思い切るしかない……というわけで思い切ることにしました。

 でも、いまだに私のやれることって何だろうと、心の中でもやもやしている。






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