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第八十六話・コロナウイルス関連話



 私の実家は大阪です。現在の勤務先はコロナウイルス感染者が人口の多い東京や大阪と比べて極少です。私は本年春の緊急事態宣言前に母を引き取り、以後は数か月大阪に行きませんでした。医療機関勤務でもあり、もし東京や大阪へ行ったら二週間は自宅で待機してくださいと言われていました。お給料は時間給なので休んだら当然その分の給料が出ません。過疎地の民間企業でもありますので、一人でも感染者が出たら勤務先は閉鎖だし大騒ぎになるのは目に見えています。

 私と同じく田舎住まいのある人は、家族に感染者が出たら「夜逃げ」 すると断言しました。代々住んでいる土地でも、コロナウイルス感染者と周囲にわかると住めなくなると言うのです。それほど田舎は怖いものです。人づてに感染者のご家族から話を伺う機会がありましたが、家の玄関に「出て行け」 などの封書や落書きがされたそうで、プライバシーが筒抜けの土地柄は怖いなあと思いました。今は落ち着いてきたのか、家族の方も「やめてください」 のビラを玄関に貼って反論したそうです。防犯カメラも装備済み。

 テレビのニュースを聞いて私が許し難いと思ったのは医療従事者に対する中傷です。親がコロナ罹患者を看護しているという理由で幼い子供が差別を受けたというもの。信じられない話です。それに比べたら私がコロナ関連で生やしてしまったイラクサは微々たるものですが書いてみます。


 私は大阪弁なので、初めての場所でも声を出せば出身地を晒しているのと一緒です。子どもの入学式で同じクラスになった初対面の親から「大阪の人ですね? コロナで疎開をされた人」 ですかと聞かれました。他の保護者も私の顔を見ている。つまりコロナウイルスの感染が怖くて田舎に引っ越してきた人と見られたわけです。結婚して縁があり、当地にはもう二十年近く住んでいますというと、ほっとされました。ま、直に聞いてもらってよかった。説明できる機会があったということですからね。これは令和二年四月上旬の話で感染者が相次いで皆が神経質になっていた時期の話です。ほどなく子供の学校も休校になり、再開されても本年度は体育祭、文化祭、総体や試合などは中止です。地域での祭りの参加も中止、交換留学制度も中止。本年は誠に異例づくめな年です。

 皆が皆でお互いさま、でも感染したら感染していない人たちから排除されるというのは、恐怖でしかない。人との距離感をより大切にしつつ、マナーも守り、穏やかな社会になれたらそれが一番よい。ステイホームの余波で幼児虐待がどうのこうの、低年齢層の妊娠が増えたなどというニュースを聞いて心が痛みます。人としての誠意が問われる時期でもあると思います。




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