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第八十五話・談合について

 私たちは、人間である以上、等しく人間の体内から生まれてきている。そして先に生まれた人間から、つまり父母、祖父母、周囲の人々や先人が記した書物などからいろいろな教えを胸に刻み込みます。この世にうまく適合するように。でも「教育」 はそれぞれ違います。生まれてきた環境や地位、財産に応じてまったく違う。しかしながら、この世は好き勝手なことをすれば、みんなが困る。そういうことを踏まえ、幼少時から社会的なルールや倫理観も叩き込まれる。今回はその倫理観と現実の世界との乖離に注目してみます。

 幼少時はどなたでも以下のことを教えられます。

「悪いことをしてはいけません」

「うそをついてはいけません」

 ある程度知恵がついてくると、もう少し具体的になる。

「黙ってお金や品物を盗ってはいけません」

「人をだましてまで己の得を追及してはいけません」

 全部当たり前で、特に平和な日本で生まれ育ったものは全員が、親や教師、先輩たちにそう言い聞かされて大きくなったと思います。誰しも家庭環境や経済状況を選べるわけもないし、それぞれの人生や思想も違ってくる。だけど基本の倫理観というか前提が等しいはずです。

 そのうえで「本音と建て前」 を分けて行動するようになります。本音と建て前……その延長線上で「わからなければ大丈夫」「バレなければ大丈夫」 が、あります。今回は暴力や性的な倫理観はなしで、経済的なことに注目して書いてみます。


 談合ってご存知でしょうか。

 ヤフオクなどオークションをしたことがある人は入札は知っていると思います。ヤフオクだと入札するのは不特定多数の人が対象です。

 が、談合は入札数が限られている、たとえばその工事や作業が限定されているときは落札金額を入札者が価格を有利に決めてしまうことができる。落札する順番つまり、仕事が入る順番も決めることができる。順番に落札しましょう、という持ちまわり落札も談合になります。もちろんこれをやると犯罪です。

 出品者側も、落札金額もわざと高い金額にします。出品物が国道やダム、市民会館や運動場等の公共の工事であると、高い値段で落札させると、税金の無駄遣いをさせたということで犯罪です。出品者がそのことで落札者からお金をもらえばこれも犯罪になります。公務員がからむと「官製談合」 と言われ民間と区別されます。私たちが支払った税金がむだにされたわけですから、罪は重いはずです。

 私の公務員時代に事務職の同年代がそれで逮捕されていました。土木系が多かった……。逮捕に至ると「汚職」 になります。汚い職業ということですね。職業に貴賤なしと言われても「アリ」 です。

 公正取引委員会が一応にらみを利かせていますが談合は密室で行われるので露見しにくい。発覚してもよほど巨額でないとニュースにもならない。つまり、世間の話題になりません。私は税金の支払いがきつい、必要性はよくわかっているが、この税金がなければもうちょっと学費も楽になるのにと思っているので不正に税金を使われるのはつらいです。芸能人の不倫話よりそっちの方が重大ニュースだと思うのですが、私は世間様の感覚とずれた人間かもしれません。新聞などの報道があっても、テレビでは芸能ニュースのほうが扱いが大きいです。やっぱり視聴率がテレビの報道傾向を決めるのかと思います。スーツ姿の無表情の男性たちを映すより、女優やタレントの画像が入った方が華いだ感じですしね。


 人脈によっては犯罪なのに談合関係者が守られて、好きなだけお金を使える隠れた特権階級者がいます。告発する側が、私のようにバカを見ます。情報は漏れても守られる人がいる。露見もない。大変なイラクサです。

 私のような人間を「ごまめの歯ぎしり」 だと、さぞバカにしているだろうなあと思うと、もっと盛大なイラクサが生えてきます。

 今回は、なぜそういう話になるのか、ですが、このたび私と違う分野での談合を告発した人とご縁がありましたので書いてみました。とかく、この世界はお金がないと生きていけません。お金をつまめるチャンスがあれば悪いことと知っていても平気、ばれなければ談合も大好きという人種もいるのです。それだけ、世界は広くあちこちでよどみがあるということです。

 嘘をつくな、人をだますなと教えを受けても所詮人間はそんなもの。綺麗なものだけ、優しいものだけを見つめて生きて行けばどれほど幸せかとつくづく思います。



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