第七十四話・嘘はいつかばれる …… ⑪ 無知は悪、そして洗脳 □
数十年に渡り、業務上横領と税金をごまかすために母たち肉親の通帳と実印を操作していた叔母J。
相談した弁護士たちから指摘を受けたことを書いてみます。私は時効もありかつ告発できる立場ではないうえに、物的証拠はないままですが、入出金履歴による不正操作は明らかで弁護士からは「限りなく黒に近い」 と言われています。警察には話すべきだろうと大量の資料を抱えて相談済み、基本的な資料コピーで提出済み。記録には残してくれるらしいので今はそれで満足するしかありません。
以下は弁護士や警察側から指摘を受けた事柄です。叔母Jの犯罪が容易に成立したのは以下の条件が整っていたからです。おそらく罪悪感もなかったはずだと指摘されています。
① 金融に携わる職務上の話が分かる人物が家族にいなかったこと
② 預けっぱなしの実印や通帳がどんな扱いを受けているかチェック機能がまったくなかったこと
いろいろ言われましたが、私が一番ショックだったのは、以下のことです。
↓ ↓ ↓
③ あなたの母親が一番悪い。実印を預けっぱなしで放置していたから。
」」」」
母も被害者なのに悪者にされるとはこれいかに。
法律は惨い……無知は悪というわけです。
残念ながら母は実印というものを理解していなかった。そしてJを信頼していた。入出金をまったくチェックしなかった。それがいけなかった。
私はそれを聞いて実印を騙されて預け、結果として巨額の借金を背負った事件被害者を思い出しました。その裁判で騙されて他人に使われた実印の効力は有効。つまり、借金は支払うべきという判決がおりました。我が母もアレにあたるのかとショックでした。
それを断言した弁護士は私に優しく諭すように言う。
「……いわば、なんら疑問を持たぬようにされていた。いわばあなたの母親はじめ祖父母や叔母たちは全員そのJに洗脳されていたと言えます」
「洗脳ですか」
「そうです」
先生は私の目を見据えてはっきりとおっしゃる。返す言葉はありませんでした。
私は法的な書物をひもとき、また刑事さん向けの実例尋問集みたいなものを購入しました。そして老いた母に尋問を試みました。時効だし、なんの証拠にもなりませんが、子孫の記録の一つとしてJの偽りの善人面を私は逆にこのサイトで残すつもりです。
尋問集はさっぱり役立ちませんでしたが、昔話としてなら母は気楽に応じてくれます。それでわかったのはやはり洗脳されていたということ。母もまだらボケなので、しっかりしているときは「私はJに長いこと騙されていたんや、今となっては、ようわかる」 とうなだれています。
昔は農協の通帳もボールペンでの手書きだったそうですがJは一切見せてくれないし、その時から印鑑も預けっぱなしだったそうです。父と結婚し、私が産まれて数年後、父の給料も時代の流れで手渡し現金から通帳への入金に変更になりました。その時に農協の通帳を返してといったときに、拒否されたそうです。Jの言い訳は以下の通り。
「なんでや、通帳は農協にいる私が持っててあげるがな、必要な時にお金をいつでも出して届けてあげるがな」 と。
しかし姉妹とはいえ、夫の給料やボーナスが丸わかりなのも躊躇があり、「返してや」 と強硬にいう。ついには父までもが「返してくれ」 と言ったそうです。Jは「わかった」 といったそうですが、持ってきたのは真新しい通帳で一行だけ「1000」 と打たれたもの。千円だけ入金されたものです。
当時は一人で口座がいくつでも作れたそうですが、母は「あの時から私の通帳を利用していたんやな、今やっとわかった。それでお父さんも、Jは信用したらあかんのとちがうかと言うたんや」 と言いました。 私はその話も知らなかったので、ショックでした。
ならば周囲の親戚や元の職場での金融ADRでも執拗に私の聴力の悪さで勘違いを主張し、かわいがってあげたのに恩知らずという感情論を強硬に主張するのもわかります。それだけJのやった横領は巨額にあたるのだと感じました。
極めつけはJとは四歳違いの、母やJの従姉妹に当たる女性Hも中卒でJと同じところに勤務していたということ。私はそれも知らなかった。Hは、三十才で退職したこと。直後にHの妹夫妻の事業を全額出資しています。Hの兄もその勤務先に関与しているのでもしかして不正は一族ぐるみなのか……。
また昔から不思議に感じていたHのJに対する卑屈な態度……Hが気が弱いだけではなかったのだと思いました。詳細は書きませんが常々HがJに奴隷のように従う理由も氷解します。
母の過去通帳と同じく私の通帳も一冊だけ手元にあります。繰り越しと書かれたものです。それ以前のものを求めてもなしのつぶてです。昭和時代は特に知られては困ることがあるのでしょう。それを思うと母の無知を哀れに思うとともに、やはり実印の使用など定期的にチェックしなかったことで法的に咎められても仕方がないと思っています。
それと亡父の遺品。ノートに母あての国税庁の知らせの紙がはさまれていました。Jには渡さなかったものです。ノートに文字も残されており、父も調査するつもりだったと思いました。私はJと父の間にどういう会話があったかはまったく知らない。
Jはまだ元気だった父を田畑にこき使っていましたが、そのかわりにお米は無料でもらっていました。しかし実家の相続税一千万をJが払ってあげたと父に恩着せがましい縛りを与えたのは事実。法的にはJを糾弾できなくても、長期に渡ってうそを肉親や父に吹き込んだのは有罪だと思う。
JはJのコネで父を施設に入所できたから恩返しはすんだと思っているふしがあるからこそ、私は憤る。そのコネのために母と私はJが紹介した市会議員に三十万円渡しました。告白します。今こそ、ここに書き残しておきます。
Jこそ本物の悪人です。周囲から見て善人であっても私から見れば彼女は大悪人です。全世界で私一人がそう思っていても間違いではない。
Jの本当の顔を知った以上は許せない。良くしてもらったこともありましたが、通帳の扱いに何ら説明もせず「可愛がってあげたのに恩知らず」 で、帳消しです。嘘も交えて元の勤務先で私の悪口をいったこともわかり、軽蔑しています。
著者注::横領はやった人間の勤務先しか告発できません。隠れ蓑として私や母の通帳を使われても時効で罪に問えません。また現在、母への尋問というか昔語りは、現在コロナ禍にあり施設面会は家族であっても禁止の為中断です。落ち着いたら調査を再開します。




