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第五十話・狸岬

 またまた近所トラブル話。狸岬……タヌキミサキとお読みください。我が家にだけ通じる符丁です。つまり合言葉です。さっそく本題に入ります。



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 結婚後の新居での暮らしに慣れてきたころの話。早朝、裏庭先がなんとなくさわがしい。義父母たちが庭に出ている。顔を見せた私にこっちに来なくていいから寝てなさいという。私もパジャマだったし、そのままにしていました。

 あとで何だったのか聞いたら、庭先にタヌキの死骸が置いてあったらしい。自然死かどうかはわからぬが、ポイ捨てではなく、安置していたようです。もしかして嫌がらせかと聞くと、暗い顔をして頷かれてしまいました。犯人の察しはついていましたが、証拠がないのでそのままです。

 私の住む過疎の田舎には防犯カメラというものはありません。家に鍵をかけると、逆に鍵をかけるのかと驚かれるところです。

 死骸が置かれた場所は、村道に面しているところでもあり、方向音痴の私が東西を言われるよりも、わかりやすいので「狸岬」 と名付けると面白がられました。そしてその名称が我が家限定で定着しました。私が己の実家よりも婚家先を好む所以です。

 狸の死体を捨てられるというトラブルは田舎ならではの話。都会では野良猫の死体を捨てられるらしいからこれも地域柄かもしれません。しかし被害者にとっては笑い事ではありません。死体は避けるべきもの、禍々しい死を連想させるもの、それを憎い住民の敷地内に放置するのは宣戦布告のなにものでもありません。相手方はやって満足したのではないでしょうか。

 死んだ狸が一番かわいそうです。私たちは、畑の隅っこに埋葬してやりました。死骸を放り出されて嫌な気分になったというよりも、あきれる思いの方が勝っています。

 義父からあいつだろうとされた被疑者? は先年亡くなられました。義父は田畑関係でもその人にやられていました。しかし現在は相手も義父も亡くなっています。結局良いことも悪いことも死ねば、地に埋もれます。

 しかし、残された私たちはそのままです。相手方の家族もそうで、会えば会釈はする。が、それ以上の話はない。そういうものでしょう。みんなどの家庭でも一国一城のあるじです。民間でそうなので国家間でもそうなるのは当たり前だなと思う。話が飛びますが、政治家は大変です。その状態でも国際的に、国民にも双方メンツがたつように動かないといけないから相当メンタルが強くないといけない。以上、狸岬からなぜか政治の話になりました。それではごきげんよう。



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