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第二十六話・文学賞選考の話



 今回は別にイラクサでも何でもない話です。その賞自体がなくなってしまっています。某地方文学賞のI賞とします。守秘義務はある程度はあるかと思いますが、このサイトでまじめに小説を書いている人に向けての雑談というかそんな感じの話です。

 知人の知人のそのまた知人という感じで、Kさんという人がいました。I賞自体はもうなくなっていますが、Kさんはその賞にかかわりがある人でした。私はそのI賞に一度だけ応募していて、受賞はなかったが講評に名前を載せていただいていました。ペンネームは、今とも全然違う名前です。そして私が小説を書いていることを皆は知りません。ここまでが前提です。


 周囲に人がいて、その時にI賞の話が出ましてKさんはどうやって選考したかを聞かれました。I賞の選考委員はまず持ち点をもらう話をされました。各自三点ずつあったそうです。点をあげるのは選考委員の自由でゼロ点でもOK、でも上限三点まで。その前にちゃんと応募事項に沿っているかの足切りがあり、無事それを通過した作品だけ各選考委員の自宅に応募作が送付されてきます。一人ずつ一点ずつあげて三名を選んだ人もいれば、一人に三点ぼーんとあげる人もいる。それから再度事務局で選考委員の持ち点の集計にあたります。選考委員には応募者の身元や年齢がわからないようになっています。

 それから選考委員が集合しての二次審査、I賞はそこで決まるので二次イコール最終選考になります。集計で、点数はいつも、ばらけていました。一作だけ点が集中してすんなり受賞というのはなかったそうです。そして一点ずつとはいえ、三人の選考委員が点をつければ三点。それだけでも注目されるといいます。もしくは実力のある委員がある応募者だけに三点ぼーんとあげると目立ちます。二次はそれらをピックアップしてすすめたといいます。

 ある委員は、書き手の環境をよくあてたそうです。集計かつ記録者の事務員に「この人はまだ十代だろ? しかも中学生だろ」 といい、「先生、そのとおりです」 となる。作品を通して応募者の素性を透視できる読み手がいます。応募作の出来栄えと公募の趣旨が合致すれば受賞です。

 私はその話が終わった後、勇気を出してKさんを追っかけてI賞最後の応募者であったことを言いました。それからKさんに総評に作品名をあげていただいたお礼を言いました。Kさんは驚いていました。隅っこにいた人間がそんなことを言いだすとは思わなかったのでしょう。

「アレ書いたのキミか、普段から書いてるの」

「細々とですが一人で書いています」

「じゃあI賞はキミにあげてもよかったかな」

「え……」

 仰天しました。どうも私は年齢で落とされたらしい。Kさんは私が傷つくと思って言葉を濁されていたが、私だって人見ますしわかりますよ。最後のI賞受賞者は年若いが、今後も作品を書く人ではなかったらしい。結構そういう人は多いらしく、著名な賞を受賞しても「これ以外は書けません」 とそれきりな人もいると伺いました。受賞後新作を書かないのは、もったいない話。

 ……でもこの話はKさんは私にお世辞を兼ねて、おっしゃられたかもしれません。年齢制限ありなんて書いていなくとも、文学選考員のエッセイを読んでいたら応募者の年齢を見て年寄りであれば読まずに落とす話があります。名前が残る作家はみな若くしてなります。近年老人と言われてから小説を書き始め、受賞に至る人もいますので、そういうのはなくなっていくことを期待して筆をおきます。

 文学賞選考に関しては「中央」 と称される著名な賞は雲の上です。受賞は大変です。たまたま思いついた話が受賞した、数日で何気なく書いた話が受賞したという談話を読むが、世の中にはそれだけ才能を持っている人が多いと感嘆するしかありません。

 私は、書くのが楽しいというモチベーションだけは保ちたい。

 今回のイラクサは、どの分野でも「年若くて」 新しい才能を待っているという話。成績が同じだと、年功序列ではなく若い方が選ばれる。年寄りはやはり不利。せめて精進あるのみ。

 





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