もはや金山君噛ませ犬っぽいよ
学園祭が始まってから1時間が過ぎようとした。
8時55分、そう、後5分で初の戦闘劇が始まるのだ。
正直言って結構緊張している、広告の効果も相まってか縦10横10、全部で100席ある座席が全て埋まったのだ。これだけで利益は10万円、更に飲物や飲食類も買ってくれている人がいるから、更に凄い。
だけど、これで、もしも下手したら、最悪なんてレベルじゃない、多分これから3日間の客数が減り、お化け屋敷の評判にも影響する。逆に成功すれば、評判も上昇、客も上昇と良いことづくめだ、頼むぞ金山成功してくれ。
――――――――――
俺のそんなハラハラドキドキとともに戦闘劇は始まった。
一応この戦闘劇の概要としては映画館でいえばスクリーンに位置する場所にトラップマシマシの3階建ての建物の断片を作り、金山がその建物を駆け上がり、邪魔なトラップや敵(俺の眷族)をぶっ倒して、ラスト3階層ではそこそこ強い俺の眷族が現れ一騎打ち。
そして、それを打ち倒した後、眷族と一緒に作った、金ぴかに光るいかにもって剣(宝剣)を引き抜き、ポーズ取って終わりって感じだ。
で、まあ、終わった後は最後金山の要望通り、彼に勝った者は賞金100万円と彼の持つ宝剣が貰えるって言って終わり。挑戦者が現れれば3階層で一騎打ち、現れなければ終わりだ。
「本当に上手く言ってくれればいいのだが」
俺はそう一人で呟いてから戦闘劇の様子を見始めた。
監視用死霊虫を使い客と同じ目線で見ているが、結構良い。捨てられない人形を使っての金山とほぼ同視点での戦闘の様子を見れる。これが、思った以上に臨場感と迫力があって良い。凄く良い。
襲いかかって来る剣スケルトンはかなり迫力もあり実際に目の前に来た感じがある。それを綺麗に回避して反撃を入れる様は本当に自分が攻撃を回避して反撃を入れた錯覚に陥らせるくらい迫力が合った。
だだだだだだ
って床をかける音も、実際に目の前にあるのだから、死霊を通して聞こえ、剣と剣がぶつかる「キ~~~ン」という音もよく聞こえる、というかよく見たら極小スピーカーが置いてあってそれを通して聞こえている。うん、俺の眷族凄いな。というか今の今まで気が付かなかった。
しかし。今のところこの戦闘劇大成功してるっぽいな。客は全員この戦闘劇に釘付け、敵と戦う時は皆「イケー」とか「頑張れ」とか声援を送っている、で、敵に勝てば「イエーイ」とか「最高」って言って自分の事のように喜んでくれる。
そして、順調に戦闘劇は進んでいき、最後の戦闘の所までいった。
「ようやく来たな愚かなる挑戦者よ、我に勝ち見事この宝剣を手に入れてみせよ」
俺の眷族が演出の為そう叫ぶ。
お客様はこの演出に大興奮、皆が今から始まる戦闘を今か今かと待っている。
「御託はいい、サッサと始めようぜ」
金山が不敵に笑いながら指で来いよと挑発する。
「よかろう、ならばその愚かさを後悔して死に絶えるが良い」
そう叫ぶと、一気に金山に斬りかかった。
それをワザと剣で受ける金山、そこから始まる激しい剣の攻防。
両者ともに一歩も引かづに剣を振るい続ける。
その様子に観客は声援とか忘れて見入った。ぶっちゃけ俺も見入った。
「愚かなる挑戦者よ。ここまで強いとはな、だが、これで終わりだ、闇魔法・闇纏い・秘技・闇鎧之纏大」
そう唱えた瞬間に闇で出来たであろう鎧が眷族に巻き付き、持っていた剣も闇に包まれて大剣くらいの大きさになった。
何あの魔法カッコイイ、俺も使ってみたい後で教えて貰おう。
「良いね、そう来なくっちゃ、俺も少し本気を出してやるよ、刀剣技・秘技・無明斬り」
金山がもの凄い速さで動き刀を抜き、敵の鎧の薄い首を斬り飛ばした。
俺は一応動きを読めたが多分観客は分かんないだろう。しかし、結論だけ言えば、いきなり金山が瞬間移動の如く敵の後ろに行き、敵の首が飛んだんだ。誰がどう見ても金山がやったとしか見えないわな。
そして金山が刀を仕舞い、宝剣に近づいて、宝剣を抜き高らかに声を上げた。
「宝剣取ったどーーー、さあ、この宝剣と賞金100万円が欲しいものは俺と戦え。勝てば宝剣と賞金100万円はお前のものだ~~~、挑戦者待ってるぜ~~~」
決まったな、これは、普通にカッコいい、流石金山だ。まあ、でもあれだけの戦闘を繰り広げた後に金山に勝てるっていう挑戦者は現れないでしょ、
「じゃあ。私と戦ってください」
いた、え。いた、まじかいや、しかも、あの人見たことあるぞ?あの巨大な胸、綺麗な褐色肌、そしてホットパンツにへそ出しスタイルのシャツ、だいぶ前に勘違いで戦った褐色巨乳美女だ。
いや~、しかし、相変わらずエロい体してるな、でも何でだろう、前会った時よりも興奮しない、俺の精神強化が上がったから?それとも本格的に俺の性欲が消え始めたはないかな。まだ大丈夫、まだ。うん。多分。
「お、まさか初っ端から挑戦者が来るとはな、でも、いいのか俺は女だからって容赦はしないぞ」
金山が堂々と言い切った。少しカッコいいけどさ、金山の性格上本当に容赦しなさそうで下手したら褐色巨乳美女の頭と体がバイバイしそうで怖いのだが、まあ、最悪生き返らせればいっか。
「ええ、手加減なんてしないで下さいよ、私も手加減しませんから」
そう言うと、彼女の背中から翼が生え、空を飛び金山のいる所まで飛ぶと、物理で強引に結界に穴を開けて中に入った。
俺もやろうと思えば似たようなことは出来そうだが、普通に凄いな。いやでも、あれだな、なぜか知らないけど急に俺の勘がヤバいと告げている。これ、もしかしたら止めたほうが・・・
「おう、じゃあ、早速殺るか」
「ええ、そうですね」
俺が止めようか止めないか悩んでいるうちにバトルが始まった。
流石にいきなりバトルするとは思っておらず、慌てて呪魔法で【捨てられない人形】の追いかけてみる範囲をいじり、二人の戦いが横から見えるように、二人の間から二歩引いたところから追いかけるように呪いを変化させる。
これで、バトルが見やすくなった。それと、もうバトル始まってしまったし、止める判断は本当に危なくなったらでいいかな。
さて、バトルのほうはかなり盛り上がっている。
褐色巨乳美女は武器として籠手とメリケンサックルを装備してガンガンの肉弾戦、金山は刀を使っての近接戦闘、両者一歩も引かずにいい勝負をしている。
しかし、気になる点が一つ、褐色巨乳美女が竜化をしてないことだ。
俺が前戦った時は竜化して一気に強くなった、正直言って竜化すれば一発で型がつくだろうに。
「楽しい、楽しい、楽しいぞ、ああ、俺と結婚してくれ~~~」
金山が狂ったことを叫びだした、うん、どした、ヤバくね、観客全員に聞こえてるし凄い問題発言じゃ・・・まあ、気持ちは分からなくもないが。
「ごめんね、私にはもう愛する彼氏がいるんでね」
そうニッコリ笑って褐色巨乳美女さんは金山のみぞおちにストレートを入れた。
ドサ
流石にこれには金山もダウン、いや、まじか金山噛ませ犬っぽいな。告ってみぞおちストレートって。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
さてと、金山が負けるとは思っていなかったが負けてしまったものはしょうがない、おとなしく商品を渡しますか。まあ、お金は金山のやし、宝剣だって良いものではあるけどそこまで必要ってわけでもないし渡して大丈夫やしね。さてと、じゃあ、賞金と宝剣を渡しに行きますか。
「死霊魔法・死霊転移」
俺は観客席に飛ばしていた監視用死霊虫の所まで転移して、飛行を使い二人の所に向かった。
「おめでとうございます。見事金山に勝利なされた挑戦者には賞金100万円が授与さr」
「お前は、あの時の、絶対に許さない、部分竜化・改」
しゃべってる途中で言葉をさえぎられた上に顔面に向かってストレートが来た。
「ちょっと、何、急に、闇魔法・闇盾」
俺は咄嗟に闇盾を展開して攻撃を防ぐ。
「っち、あの時よりも格段に強くなっている、でも、彼の仇だ、死ね~~~」
叫びながら俺に襲い掛かってくる。
というか彼の仇っていったい?俺何かしたっけ?
とりあえず、俺は彼女に何かしたか必死に考えながら、攻撃を全て避けるなり、闇盾でガードするなりしていく、正直言って眷属との特訓に大量のスキル獲得で自分自身恐ろしいと思うくらい強くなっているし、金山よりも少々強い程度じゃあ余裕だ。う~~~ん、しかし、俺彼女に何かしたっけ?思い出せん。
「クソクソクソク、何でだ、何で当たらない、私はあの時から血の滲む努力の果てここまで強くなったのに、それでも、届かないというのか、私は彼の仇一つとれないのか」
凄い睨まれながら叫ぶ、褐色巨乳美女、うん、やっぱり俺一体なにしたの、人違いじゃね?
でも、ここまで怒っていると普通に申し訳なくなってきた。まあ、いいや取り合えず一旦落ち着いて話を聞いてみるか。
「すみません、私には貴方の言っていることがさっぱり分かりません、もしかして、人違いじゃないですか?」
・・・・・・
嫌な沈黙
振られて撃沈している金山は勿論のこと、観客も劇と思っているのか見入ってくれている。
うん、どうしよ。
「人違いだと、そんなはずはない、私は覚えているぞ。お前が私の部下をボコボコにし、私のの彼氏を二度と戦えないレベルまで痛めつけたことを」
・・・・・・
「あ、あの時の、思い出した、思い出した、なるほどね、すっかり忘れていたよ」
いや、本気で忘れていた。
褐色巨乳美女さんはもうインパクトが凄いんで覚えていたけど、その他は正直ってそこまでやったし、今の今まで忘れていたよ、なるほどね、それで、襲い掛かってきたのか、納得、納得。
「思い出したか、所詮お前の中ではその程度のことというわけか、ハハハハハハ、ふざけるな、私がどんな気持ちでお前をお前をお前をお前を、殺してやる、絶対に殺してやる、来い、我が竜達よ」
彼女が発狂して、笑い出した。なんか、流石にこれは俺悪い気がしてきた、まあ、そりゃ、最初に俺に攻撃を仕掛けてきたのは、向こうさんだけど、向こうからしてみれば大切な部下をフルボッコにされて彼氏も二度と戦えないくらいフルボッコにされたわけだし、まあ、怒るわな。
「主様大変です、上空に数千の下位竜の大群が現れました」
迷宮の外の警護をしていた虹スケルトンからそう知らせが入った。
「うん、これ100パーセント彼女が原因もとい俺が原因じゃん、やばくね?」
―――――――――――――
一応の補足説明
前々から褐色巨乳美女さん出したかったんですが、何かこんな闇落ちした感じで出てしまいました。
まあ、でも、学園祭にはスパイスが必要だと思うので結果オーライではあると思います。
因みに部下さんは生きていますし、今はピンピンしています、ただ、彼氏の方は主人公のせいで、体は勿論のこと心が結構やられてしまったみたいで、塞ぎ込んでます。(後々恐怖が追いかけてくるパターン、実際下手したら死んでましたしね。そりゃ心折れますよ)
このキャラを思い出せない人は遡って1話から読んでくれるとありがたいです。(中途半端に読んでも?になるんで、主に作者の実体験、基本1から読み進めている)
一応、ほんのすこしだけ各話たまに気が向いたときに手を加えているので、少しは読みやすくなっていると思います(読まなくても話は分かるようになっています)(そんな大胆に手は加えていません)
それとこの場を借りてですが、更新不定期で読みにくい中、この小説を読んで下さっている読者様、いつもありがとうございます。




