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身体の一部を呪いの剣に持ってかれた男

 俺の名前は横見 蒼井18歳で、元不良で今はダンジョンに潜っている。

 ひょんなことからというか完全に自業自得だが呪われた剣を手に入れた俺は呪われた剣が魔物を殺せ、殺せ、殺せとずっと俺に問いかけるようにカタカタ動くのに耐えられず、それと、借金返済のためにダンジョンに潜り始めた。


 結果

 凄い余裕だった。


 前行った闇カスダンジョンと呼ばれるダンジョンに行ったときはマジで死ぬかと思ったし化け物みたいな強さを持つ魔物がうじゃうじゃしていたが、今潜っている風系統が中心に出て来る普通のダンジョンは敵が弱かった。というかこれが普通らしい。あそこが異常なだけだったんだ。 


 それにこの呪われた剣が想像以上に強かった。

 どんな魔物もスパスパ綺麗に一刀両断出来るし。刃こぼれはしない、乱暴に扱っても全然大丈夫。更に持っているだけで身体能力と魔力がそこそこ上がり、闇魔法も使える。たった一人でダンジョンの奥深くに潜り魔物を狩っていく。


 借金返済なんてあっという間に出来た。

 今じゃ、たった一度の探索で何百万という大金が手に入る。

 俺は完全にこの呪われた剣に依存していた。寝るときも、ご飯食べるときも、クソする時も、お風呂に入る時も、いつもこの呪われた剣をそばに置いておかないと気が済まなくなっていた。


 そんな俺を周りの人は心配し始めた。でも、俺は決してこの剣を手放すことは無かった。


 そしてある日、呪われた剣が俺の腕から離れなくなった。

 正確に言えば侵食された。でも、今まで感じたことないぐらい力が上がった。

 それに呪われた剣は俺の身体の一部になったのか、サイズを自由に調節できるようになり、特に日常生活はそこまで不便に感じなかった。(サイズを小さくすると手の甲に鱗みたいに剣がくっつく感じになります)


 そして、何時ものようにダンジョンの奥で魔物を狩っていた時だった。

 いきなり魔物が雪崩のように、こっちに向かってきた。


 その状態は馬鹿な俺でも分かった。そう魔物暴走が起こったのだ。

 普通だったら逃げるだろうに俺はその魔物の軍勢に立ち向かった。正義感とかではない、俺の腕の呪われた剣が戦えと俺に言っているから立ち向かったのだ。


 そして、勝ち目のない戦いが始まった。

 俺は基本一人で潜っている。もちろん今も一人だ。応援が来る可能性は多少深い階層だし、いつもこの付近を潜っているパーティーはほとんどが最近潜ったらしくお休み中。

 はたから見たら自殺行為だ、自分でもそう思う。でも、だけど、しかし、今俺は命を削って魔物と戦うのが楽しくてしょうがなかった。

 斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、斬る、たとえ俺が死んだとしても。

 俺は魔物を殺してやる。


 10分後


 自分でもかなり持った方だと思う。

 一体どれだけの魔物を殺したのか分からない。多分数百体はいっていると思う。

 でも、もう限界だ。身体のいたるところから血が噴き出し、骨もかなりの本数折れていると思う。内臓が抉られているのか分からないけどお腹が異常に熱い。視界も上手く見えないし、あ~、ここで死ぬのか。

 俺は、ここで死ぬのか。


 そして横見 蒼井は死んだ。


 ――――――――――


 激痛が走った。

 まるで自分の身体を内側から無理やり捻じ曲げられているような。

 痛い、痛い、痛い、痛・・・くない。


 ――――――――――


 覚醒


 目が覚めた。

 痛みは消えた、身体が異常に軽くなった。力が溢れる。あれだけあった傷がなくなった。

 その事実に驚きながら自分の手を見ると右腕は完全に剣と融合し、左腕は薄い紫色に変色していた。


 一瞬で血の気が引き慌てて足や腹を確認すると薄い紫色だった。

 どうやら俺は人間を完璧に辞めてしまったようだ。

 でも、不思議と嫌な気はしない。それと、何故だかは自分にも分からないけど、俺の周りにドロップ品が山のように無造作に散らばっている、一体これは・・・あ、そんなことよりも早くダンジョン連合に魔物暴走が起きていることを伝えないと。


 俺は急いで地上に出ようと駆け上がると。ドロップ品を拾っているパーティーと会った。

 そのパーティーは別段話をするような仲でもないし、何度か顔を合わせた程度のはずなのに、何故か身内のような安心感を感じた、信用できる要素は無いのに信用できる、あの人たちの為なら多少の苦労はいいやという謎の感覚だ。

 そして、その感覚を向こうも味わった。


「君は確か蒼井君だったよね。どうしたんだいその身体は大丈夫かね」


 俺のこの人間を辞めた姿を見て心配してくれる。


「あ、はい、大丈夫です、むしろ力が湧いてくるぐらいです」


 俺は特に隠そうともせずに本音をぶちまけた。普段だったら多少は隠するだろうに親戚の叔父さんに気軽に話す感じで。


「やっぱり、君も力が湧いてくるのかね」


「君もって、オジサン達もですか」


「オジサンって言われるちょっと悲しいけど、まあいい、そうだよオジサン達もいきなり力が湧きだしたんだよ。といっても一回死にかけて、目が覚めたら力が湧きで立っている漫画の覚醒みたいな力の湧き方なんだけどね」


「え、一回死にかけたって俺も死んだと思ったら、急にこんな身体になってたんだよ」


「そうか、君もか・・・、一体俺達の身に何が起こったんだろう」


 ・・・・・・

 しばしの沈黙の後


「ハハハ、ごめんね蒼井君こんな事を今考えても無駄だったよ。取り敢えず地上に出ようか。多分地上に出たら、また、なんかわかるかもしれないし、それに地上にいるであろう魔物達を駆除しなきゃだしね」


「確かにそうだな」


 俺達は一緒に地上へと向かった。

 道中様々なパーティーと合い、合流してようやく地上に出ると。

 そこには、荒れ果てた街と同じように身内のように感じる探索者達とそうは感じない探索者達がいた。

 どうやら話を聞く限り身内のように感じる探索者にはいくつかの共通点があった。


 1つ、皆魔物暴走時にダンジョンに潜っていたこと。

 2つ、皆何らかの形で死にかけたり、死んだと思っていたこと。

 3つ、皆唐突に力が溢れ、闇系統魔法が扱えるようになっていること。

 4つ、目が覚めたらそばには魔物がおらず、ドロップ品だけが転がっていたこと。

 この4つだ。

 一体どういうことだと、頭を皆で捻っていたら簡単に答えは簡単に見つかった。


 というか、葵君というめっちゃ可愛らしい女の子ぽっいけど男の娘な彼が知っていた。


「皆、多分、なんらかの形で死んだあと、それを泰斗君に蘇らせられたんだと思う」


 ・・・・・・


 皆、一堂に耳を疑った。蘇らせたと、死者を蘇らせただと、そんなことが簡単に出来るわけがない。

 もちろん死者蘇生のスキルは確かに存在する、超光魔法や超神聖魔法に死者蘇生なんかのスキルを持つ人が使えると。でも、そんなものが簡単に出来るはずがないし、そもそもそれらのスキルを持ってる人はほとんどいない。


 それに俺達は皆自分の記憶を自我を完璧に持っているし、食欲も性欲も睡眠欲もある。そもそも、そんな高度な死者蘇生など聞いたことがない。いや聞いたことあるがそれを連発出来るなど信じられない。それは絶対にあり得ない。ないないない、ありえない。


 皆が皆今の自分の状況に理解できずに戸惑っている中、横見 蒼井だけが気付いてしまった。


 自分達は光系統魔法の死者蘇生ではなく闇系統魔法で蘇生したのではないかという可能性に。

 理由は自分の姿だ完全に禍々しいその姿、そんな感じで蘇らすなんて闇系統魔法しか考えられない。でもこのことを言うのはかなり躊躇われた。

 皆基本的に闇系統魔法には良い思いをしていない。自分が闇の力で蘇っただなんて良い思いはしないと思う、それに、100パーセント闇系統魔法だと決まったわけでもない。ならば、やることは一つ、本人に聞きに行こう。

 多分俺達を蘇らせた泰斗とやらはダンジョンの奥にいるだろう。きっとそこで魔物を殺しているだろう。そうと決まったら善は急げだ。それと、一人では流石に危なそうだし一応皆にも伝えよう。


「俺は今からダンジョンに潜って泰斗とやらにあって、話を聞こうかと思っています、ついてくる人はいますか」


 俺の言葉にほとんどの人が手を挙げた。皆、自分の状況を知りたいのだろう。

 でも流石にそんなには連れていけない、弱い人は足手まといにもなる。だから、俺を含め強い人10人を選び泰斗とやらに合う為ダンジョンに潜った。


 ダンジョンは相変わらず魔物は一切おらず、10分ほどでダンジョンの最奥にたどり着き。そして、化け物に合った。

 禍々しいオーラを身に纏い、次元が3つも4つも違うだろう恐ろしい魔力を身に宿し、笑いながら何かの肉片に剣を振り下ろそうとしている人外に。

 冷汗が止まらない、足が震える、でもでもでも、尊敬する、敬愛する、その人外の為にこの命を捧げて良いと思った。その人外が自分の主だと理解させられた。


 気が付いたら俺はいや皆、頭を垂れてこう言った。


「貴方様が泰斗様でしょうか、貴方様の為この命を捧げましょう」


 と

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