お客様もうお代は頂いております
「おいおい、何でこんな所に子供がいるんだよ。あ?」
俺の楽しい楽しい焼き肉を邪魔した元凶であろう3人のオッサンの一人が怪訝な顔で俺に怒鳴ってきた。
うん。ぶち殺していいかな?
せっかく俺がめちゃくちゃ楽しく焼肉を食べてたのに、せっかく話も良い感じで進んでたのに。
それをさ、マジで腹立つわ。
いや何。死霊神となり力を持ったせいか、大分短気になった気がするんだよな。
で、今はそれが許される力というかコネを持ってるんだよな。最悪殺しても眷属にすれば証拠隠滅出来るし。
うん。殺すか。
「取り敢えず。死ね」
バタン
俺の言葉たった一言で俺に怒鳴ってきたオッサンは倒れた。
否、死んだ。
「え?今生命反応が消えた。死んだ、だと」
もう一人のオッサンが心底驚いた顔でそういう。
「おい。死んだだった?冗談はよせよ。今この子供がたった一言死ねって言っただけだぞ、この子供が言葉だけで人を殺される存在に見えるか?そんなわかあってたまるか」
オッサンは恐怖に怯えるようにそう早口で叫んだ。
うん。この言い方的に気が付いてるけど認めたくないって感じだな。
そうだろうね。
「でも。事実だよ。さてと、オッサン共、何故こうなったか納得できる理由を説明したうえで諸々全部弁償してくれたらそいつも生き返らして許してやろう。嘘ついたり納得出来なかったら、殺す」
俺は殺気を纏わしてそう脅した。
流石の俺も理由を聞かずに皆殺しにするのはアレかなと思ったからな、まあ不愉快な気分になっただけでさして大きな実害はない。
こいつらが犯罪を企てようとしてたり、怪しげな密会をして人に危害を加えようとしてたのならば殺すけど。
さあ。こいつらはどんな理由でこうなったかな?
「は。はい。私はダンジョンに潜ってる冒険者でして、4人でいつも潜ってるのですが、今回、酒に酔った勢いで好みの女性の話になりまして、口論の末、ついうっかり投げ飛ばしてしまいました」
・・・・・・・・・・・・・・・
「は?」
俺はなんかこうえぐい話が飛び出るかと思ったら、想像以上の想像の斜め上を行く、アンサーが飛び出て来た。
もちろん嘘判定はしている。
本当と出た。
えっと。これは殺したのはやり過ぎたかもしれんな。
後なんかこう。あまりにも理由がくだらなさ過ぎて怒る気が失せたのだが。
え、マジかよ。流石に申し訳なさがこみあげてくるな。生き返せてあげよ。
「オッケー、えっと。うん。納得出来たよ。俺もちょっとやり過ぎた。えっと。死者魔法・死者蘇生からの反転・回復魔法・完全回復」
俺は俺が殺してしまったオッサンを蘇らせて。闇盾に当たって気絶してるオッサンを回復させる。
「あれ?俺は一体」
「確か俺は投げ飛ばされて・・・」
「ああ。取り敢えず。オッサン共、事情は分かった。今回の件について俺は別にもう怒ってない。取り敢えず。店側に謝って弁償しろ」
「ああ。そうだな。本当にすまなかった」
「すまなかった。俺からも謝らせてくれ」
「何となく事情は理解した。せっかくのデートを邪魔して申し訳なかった」
「ああ。俺も失礼な態度をとってしまい申し訳ございませんでした」
オッサン共はかなり素直にそう言って俺と店員さんに頭を下げた。
うん。思ったよりも素直で話が分かるな。
「取り敢えず念話でことの顛末は店長に伝えましたので、すぐに係りの者が来ると思います」
横で見てた店員さんが少し申し訳なさそうにそう言ってきた。
「あ。いや。店員さんは気にしなくていいよ。それよりも怪我はない?」
「あ。はい。大丈夫です。すみません。守ってもらって」
「いやまあ、それくらい当たり前だよ。さて、じゃあ肉焼くか?」
「え?あ?はい。でも壁が壊れて少し土煙が舞ってますし、それにせっかくのお肉がさっきの衝撃で地面に落ちてしまってますし。別室に案内するんで、そこで食べましょ」
「言われてみれば確かにそうだな。でも落ちたとはいえ良い肉だからな。もったいなく感じるんだよな」
お金はあるが、やっぱり金銭感覚は一般的なのもあり。どうしても床に落ちたとはいえ、食べれそうな良い肉を粗末にするのが許せない。
というより、もったいなく感じる。
金は金はあるのに。
でもやっぱり凄く勿体ない。
「あのう、でもお客様に落ちた肉を食べさせるなんて出来ません。このお肉は後ほど廃棄します」
「廃棄するくらいなら俺が食べる」
「だから、駄目ですって」
「あ~。そうか。じゃあ俺じゃなくて竜ならいいか?俺の眷属の竜に食べさせよう、前肉食べた時嬉しそうにしてたからな、という訳で追加で100キロ以上の肉の塊売ってる?それも骨とかないがっつりの肉の塊」
俺は頭の中に神喰竜もとい漆黒竜を思い浮かべながらそう言った。
「え?はい、100キロ以上の肉の塊ですが。一応昔仕入れた魔物肉があるにはありますけど熟成に失敗して味は美味しいのですが。普通の人どころか耐性持ちでも食べたら1か月間腹を下すというヤバい物ぐらいしかありませんが」
何それ、一体どういう熟成をさせたらそんな猛毒持った肉になるの、まあ、でも神喰竜がそれで原下すってのは絶対にないな、何なら俺も大丈夫だろう、少し食べてみたい。
「じゃあ。それ全部買わせてくれ」
「い。いいのですか?」
「ああ。もちろん。で、少し300グラムほど俺が食べる。後は俺の竜に食わせるわ。この落ちた肉と一緒にね」
「そうですか。分かりました、今すぐ店長に聞いてきます」
「オッケーありがとね。因みに値段はどれくらいになりそ?」
「えっと多分0円かと」
「え?0円?無料ってこと」
「はい。ぶっちゃけ食べたら即死レベルで原下す肉なんて食べれませんし。処理しようにも魔物の肉な上に危険毒物判定を貰ってたので処理するのにもかなりのお金がかかってしまうで、ずっと巨大冷凍室に保管されてましたから」
「なるほどね。因みに似たような肉ってある?あるなら全部引き取るよ」
まあ、食べれなさそうでも闇空間に入れとけば眷属が何とかするだろ。
困った時は全部眷属に投げればいい。
「本当ですか。助かります」
「いやいいのいいの。こっちにだってメリットはあるからね。さてと、新しい店員さんがここの処理に来たね?」
「そうですね。じゃあ。私たちは別室に行きましょうか」
「そうするか」
俺は席を立ち店員さんと共に別室に向かった。
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向かった別室はさっきと同じような感じの空間であり、もうすでに火はつけられ、肉も飲み物も白米もフルセット用意用されていた。
「お。用意がいいね」
「ありがとうございます。ではもう一度お肉を焼かせていただきますね」
「ああ。そうしてくれ」
また暫く美味しいお肉に舌鼓を打ったのだった。
「あのう、お客様は死者蘇生が出来るのですか?」
「まあ、出来るけど。ん?誰か生き返らせたい人でもいるの?出来そうな範囲だった生き返らすけど?」
「え。あのう。はい。生き返らせたい人がいます。お願いします。どうか彼女を生き返らせて下さい」
俺が余りもあっさりと生き返らせようかなんて言ったからか少し戸惑いつつそう俺に頭を下げる店員さん。
「オッケー。でもその生き返らせたい人の死体がどれだけの時間が経過してどれだけ肉体が残ってるかで話が変わってくるけど?どんな感じ?」
「えっと。死んでからは1年程立ち、死体の状態はお腹の大きな穴が開いてる感じです。後の部分は無事です」
「それくらいだったら大丈夫だと思うよ」
つか。お腹に大きな穴って、そういえば俺前北先生との模擬戦で腹に大きな穴開けてたな。
いや、あの時はなんかそんな気にせんかったし。加藤教官が良くあることとか言ってたけど、普通に死ぬよな?
うん。死ぬな。
「ほ。本当ですか。ありがとうございます」
「ああ、本当だよ。嘘ついても仕方がない。じゃあ焼肉食べ終わったらその死体の場所まで案内してくれ」
「は。はい。あ、今肉焼けました。どうぞ」
「うん。ありがとう。店員さんもドンドン食べてくれ。俺が奢るから」
「あ。はい。ありがとうございます」
そうしてまた暫く店員さんと会話を弾ませながら肉を食べた。
いや。ぶっちゃけ俺が店員さんの友人?を死者蘇生ってなったら、気を使って、あまり話が弾まなくなると思ったが、全然そんなことなかった。
変わらずこっちの話を楽しく聞いてくれるし。店員さんも自然な笑顔を見せてくれる。
いやなんというか一緒にいて気分がいいな。店員さんが凄く聞き上手だな。
なんかこう言ったことはないけど。キャバクラに嵌る人の気持ちが少し分かる気がするな。
俺はそんなことを考えながら店員さんと一緒に楽しく肉を食べた。
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楽しい時間はあっという間に過ぎるもので気が付いたら互いに結構お腹いっぱいになっていた。
「さて、じゃあ蘇生させに行くか、と、その前に会計頼む」
「お会計の方はもう既に全額頂いております」
「え?誰が。つか何そのドラマみたいな展開」
「先ほどのお客様に迷惑をかけた。あの4人組からです」
「ああ。なるほどね。納得したよ。じゃあ行こうか」
「あのうお客様、お肉の引き取りを忘れていませんか?」
最初は買うつもりだったけど。うん無料だから、確かに引き取りだな。
「ああ。そうだったね。じゃあまずは肉を引き取ろうか」
「分かりました。では冷凍室までご案内致します」
店員さんに案内されてかなり豪華な廊下を歩き。いかにもな厳重そうな扉をくぐり、地下に降りるとかなり寒い巨大な部屋、いや、冷凍室に辿り着いた。
想像以上に冷凍室は広く。そして凄かった。
大量なんて言葉では表せないような大量の肉が保管されており。中には魔物の姿形そのまんま冷凍されて保管されるインパクト抜群の物もあった。
「これは凄いな」
「そう言っていただけて幸いです。当店自慢の冷凍室ですから」
「ああ。そうか。で?俺の引き取る肉はどれ?」
「こちらになります」
店員さんが指さした先には大きな木箱が2つと。小さな木箱が1つあった。
因みに大きな木箱の方は2メートルくらいの大きさのある箱だった。
「こちらの一つ目の大きい箱の方には100キロ以上の魔物の肉の塊、そしてもう一つの方には同じような理由で廃棄予定だった肉が詰め合わせてあります。小さい方は一つ目の肉の塊から300グラム削ったのと、さっき落ちてしまった肉が入ってます」
「なるほどね。納得したよ。ありがとう」
「いえいえ。どういたしまして」
俺は全部闇空間に仕舞う。
「さて、じゃあ蘇生しに行きますか」
「はい。お願いします」
暫く更新できず申し訳ございませんでした。
理由は二つあります。
一つ目は作者がコロナとなり体調崩してしまっていたため。
詳しくは活動報告に書いてありますので、そちらを読んでみてください。
二つ目はまた新しく書き始めた自他共に認める怠惰な第五王子様は世界最強の実力者ですので今日も面倒と言いつつ無双しますを書いてたからです。
私にしては珍しく結構文字数増えて来て。もうそろそろ20万文字行きそうです。そこそこ面白い自信はあるので、読んでいただけると嬉しい限りです。
少しでもこの作品が面白いと思っていただけましたらブックマーク・ポイントを入れて下さい。
作者がめちゃくちゃ喜びます。




