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明翫天竺

 明翫天竺という組織があった。


 今から5年前に1人の男の手によって作られた組織であり。


 今では日本の裏社会の半数以上を支配しており実質的に日本の裏社会の支配者と言える大規模組織である。


 組織の首領の名前は明翫 六道、元自衛隊であり狂信的な愛国心を持つ男である。

 彼が何故明翫天竺という組織を作ったかというとその狂信的な愛国心の為であった。


 彼は今のダンジョンが蔓延り、ダンジョンによって力を得た冒険者達が跋扈する世界に、日本に疑問を持っていた。

 冒険者達の力は強大である。

 今でこそダンジョン連合や裏ダンジョン連合の活躍により。冒険者達が武力蜂起を起こしたり、一般人に対して無差別に被害を加える等の事態は起こっていないが、いつ起こるか分からない不安定な状態であった。

 特に日本は世界でも最もダンジョン出現率が高く、冒険者達の力もそれに比例するかのように強い国である。


 トップクラスの力を持つ冒険者達がもしも国に対して反旗を翻した場合、今の日本では何の抵抗も出来ずに蹂躙されると理解していた。


 そしてダンジョン連合に助けを求めて。あのいけ好かないダンジョン連合創設者天神に日本の様々な利権が奪われることも理解していた。


 だから彼は考えた。


 どうすれば自身の愛する日本が形を保っていられるか。

 どうすれば冒険者達が反乱を起こさないか。

 どうすればダンジョン連合に日本が乗っ取られないか。

 どうすれば日本という国が国民に支持され続けられるか。


 そして彼は一つの結論に辿り着いた。


 そうだ、じゃあ俺が力を持てばいい。


 自分が力を持って冒険者達が反乱を起こそうが。ダンジョン連合と揉めようがなんとか退けれるようにしよう。

 それこそがこの国を守るための必要なことだ。


 彼は非常に歪んでいた。


 行きすぎた愛国心はもはや愛国心ではなく独占欲に変わり、友愛に溢れていた性格は自己中心的で残虐な物となっていた。


 だけど幸か不幸か彼には才能と力があった。


 元自衛隊であった彼は人並外れた戦闘力を持っていた。

 自己中心的で残虐な性格であったが、圧倒的なカリスマ性があった。

 そして頭も良かった。


 様々な物事を同時に対処でき。臨機応変にその時に最も最善な手を取れる。

 また命を軽視し、最悪自分が死ぬ可能性のある作戦でも平気で実行できるだけの度胸もあった。

 いや。度胸という言葉は違う。そう。壊れていたのだ。


 彼は国の為という大義名分を勝手に自分の中に持って、それを軸にどんな残虐で残忍な行いだろうと平気で行った怪物であった。


 彼は犯罪という犯罪を行い。自身の力を高めるために様々な違法行為に手を染めた。


 ひたすらに強さを求めて強くなり。

 この国の為と組織を一から作り上げて育てていった。


 組織は最初の頃は真っ当な組織であったが。段々と壊れていき。気がつけば犯罪組織になっていた。

 だがしかし犯罪組織になったことにより、多額の収益を出し、それにより大きな影響力を持つようになった。


 このことに対して彼は非常に満足した。


 自分が国の悪となり害となってるにも関わらず。これが国の為だと信じて疑わなかった。


 そして彼はそのまま突き進み。気が付いたら日本の裏社会の首領と呼ばれるようになり。日本の裏社会において最も影響力を持ち。政治にすら介入出来る程の力をつけていた。


 そんな彼に死霊神という最強の存在が近寄っていることに彼はまだ気が付いていなかった。


 ――――――――――――――――――


「首領。侵入者が現れました」

 スキンヘッドの男が自身の組織のボスに跪いて報告をする。


「何?侵入者だと。この俺の組織に侵入するなんて馬鹿がまだいたのだな。始末しろ。これは我が国の為になる」

 豪華な椅子に座り。無駄に大きなワイングラスを手に持ってワインを飲んでる男が困った顔をしながらそう命令を下した。


 彼こそが明翫天竺の組織の首領であり創設者。偏った愛国心によって狂った男。明翫 六道その人であった。


 容姿は中肉中背で中性的な顔立ちをしている黒髪を腰に届くほど伸ばしており、見ようによっては女にも見える感じである。

 服は襟が盛大に立っている黒色のコートに鎖の巻き付いた上着。

 腰に履いてるズボンには真っ赤の色をした異様なナイフがいくつも刺してあった。


「それが首領。どうやらその侵入者はべらぼうに強くて。近寄っただけで皆がバタバタと死んでいくんです。これは首領が直々に出てお相手をお願い致します」

 頭を地面にこすりつけて懇願するスキンヘッドの部下。

 それを見下ろしながら手に持っていたワインを一気飲みすると六道は立ち上がり口を開く。


「分かった。いいだろう。この俺が直々に相手をしてやろう。それが国の為となるだろう」


「ありがとうございます。首領」


「では。その侵入者とやらの所まで案内をしてくれたまえ。それが今お前の出来る国の為の行いだ」


「はい。分かりました。では主様。どうぞ転移をお願いします」

 スキンヘッドの男は急に顔つきが変わり。身体中に闇の魔力を纏せながら何もない空間に向かって跪いた。


「死霊転移っと。さてさて。こんにちは俺が侵入者ことお前を殺す者だよ。一応よろしくね」

 その瞬間何もない空間から異様なという言葉が化け物という言葉が死という言葉が生温く感じるような。濃厚で深く暗い死を纏った神が降臨した。


 六道は気が付いたらその人物に跪いていた。


 その瞬間六道の中にあった。愛国心というある意味呪いのような物が消し飛んだ。


「伏して伏してお願いいたします。どうかどうかこの私を。私目を貴方様の眷族の一員に加えさせてくださいませ。それこそが私の生まれた意味であり。私の存在理由であります」


 六道は額を床にこすりつけてそう土下座をした。


「おいおい。お前、明翫 六道じゃないの?この組織の創設者の?何で初対面でいきなり土下座してるの?」


「それはもちろん。貴方様のお力が圧倒的であるからでございます。私は貴方様を見た瞬間に理解しました。嗚呼神だと。貴方様こそがこの日本をいやこの世界を統べる神だと。私はつまらないちっぽけな愛国心を持ってました。そしてそれに従い生きてきました。だけどそれは間違っていました。私が付き従うべき存在は貴方様です」


 六道は忠誠心に狂った人間であった。

 六道自身も気が付いていなかったのだが。彼は何かに忠誠を捧げて依存をすることで自我を保ち自身を保つ人間であった。

 六道は国に忠誠を誓っていた。

 だがしかしその忠誠に国は答えてくれなかった。それ所か彼の周りには国の危機を見て見ぬふりして他に人に押し付けて贅沢をする愚者しかいなかった。


 六道は国に裏切られたと思いたくなかった。

 だから自分が狂うことで心の平穏を保っていた。

 裏社会に身をやつし、犯罪に手を染めて力を求めることで国に裏切られたと思わないように自己逃避をしていた。

 随分身勝手で自己中心的な考え方を持つ六道だが。彼にとって忠誠を捧げる相手というのがそれだけ重く彼の人生のほとんどを占めていたのだ。


 そんな六道が今。仕えるべき主を定めた。


 それは死霊の神であり。最強の力を持ち。ありとあらゆる全ての生命の精子を自由自在に操れる至極の存在であった。

 六道よりも圧倒的過ぎる程の格上であり。六道が忠誠を誓うに値する相手であった。


「いや。ちょっと何を言ってるのか分からないのだが?」


 そんな六道の心の底からの覚悟を決めての魂からの叫びを死霊の神は一切の遠慮なく一蹴した。


――――――――――――――――――

 補足説明

 明翫 六道・36歳・男

 生まれながらにして何かに忠誠を捧げて依存をすることでしか自己を保てないという性格の持ち主。

 その為幼い頃に国に忠誠を捧げて依存をすることで自己を保ち平穏を持っていた。

 そしてその圧倒的な忠誠心で努力に努力を重ねてダンジョンに潜り強くなっていき。自衛隊に加入する。

 自衛隊に加入してからも国に忠誠をと叫びながら数々のダンジョンを攻略し、その功績が認められて国から表彰される。

 だがしかし。その辺りから国に深く関わりを始めてしまったことにより賄賂や脱税に人身売買、未成年淫行等の悪しき側面が見えるようになってしまい。国からの忠誠心故にそれを告発しようとした所を邪魔に思った人たちによって暗殺されかける。


 命からが逃げ出しつつも全てに絶望をしてしまう。しかし何かに忠誠を捧げて依存をして自己を保つ性格の為。国への忠誠心はそのままであった。

 そして国への忠誠心故に日本の抱える様々な問題を解決しようと考え出し。悩みんだ結果。自分が強くなれば良いという結論に至り。組織を作り力を蓄えていく。


 ただ、その道中より力を得るために違法な事に手を染めだし。また過去に自分を暗殺しようとした者達が裏社会の人間を雇っていたことを思い出し、そう言った事態が起きないように裏社会の首領になって裏社会を支配することを決意する。


 そしてその才能と圧倒的なカリスマ性を使い裏社会を支配して裏社会の首領となった。


 保有スキル

 【極魔眼】【超投擲】【超鎖術】【超身体強化】【超魔力強化】【超闇魔法】【超カリスマ】

 その他ノーマルスキル多数

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