心の整理の付け方
「さて。どうしようか?」
後ろにはゲロを吐いてる高嶺さん。
前には死体が2人程と、俺を殺すためにやってきた犯罪者共が複数人ドタバタっと来てる。
いや状況が混沌を極め切ってるな。
何だよ。これ?
まあ、いいや全員殺して俺の眷族にして全て悪く終わらせますか。
「という訳だから今現在俺に敵意を向けてる奴ら全員死ね。そして俺の眷族として蘇れ。死霊魔法・死霊生成」
俺の言葉一つで向かってきていた犯罪者共は全員死に。そして俺に対して絶対服従の眷族として蘇る。
後は今ゲロリン状態の高嶺さんの方だな。
これはどうしようか?
まあ今一応は全員眷族にしたから死体とかはないからな。特にグロイ何かはないやろ。
「大丈夫?高嶺さん?あ、一応ここにいる犯罪者共は全員殺して俺の眷族にしたから、何もしないよ。さあ今のうちに恥ずかしい写真やら動画やらを処理しな」
「ひ。な、何を言ってるの。この化け物」
何か罵られた。
酷い言われようだな。まあ確かに化け物って言われたら否定は出来ないけどさ。
何かこう。普通俺は善意で君を助けた側なのに、そんな言い方するか?せめて隠せよ。好感度が下がってくな。
「まあいいや。で?そんなことよりも早く写真やら動画を早く処理しに行ってくれ。ついでにこのビルにいる悪の魂を持った存在はいないから」
「いや。でも、目の前にアイツらが。絶対に酷いことされる」
俺の目の前で何も言わずに突っ立ている元犯罪者もとい眷族共を指刺してそう恐れる。
言われてみればそうだな。
「ああ。大丈夫だよ。さっきも言ったけどこいつ等は俺の眷族になったから。もう悪さはしないよ。あ、というか落ち着いて考えれば高嶺さんが脅される材料の場所分かるわけないね。おい。場所を知ってる奴。高嶺さんに案内をした上で全部処分しろ」
「分かりました。主様」
そう言って全員が俺に跪く。
その異様な光景を見てまたもや驚く高嶺さん。
「あのう。私。これからどうなるの?」
凄い震えるような声でそう言われる。
いや?え?どういうこと?
「いや。何を言ってるんだよ。別にどうもしないよ。普通にその処分したい物を処分し終わったら家に帰って良いよ」
「本当なの。後でいきなり大金を請求された、無理やり変な事されたりしないの?」
凄く怯える声でそう言ってくる。何なら少しいやかなり涙目だ。
何でそんなに怯えてるんだ。
「しないって。何でそんなに怯えるんだよ。そんで俺を疑うんだよ。俺は別に今回高嶺さんの為にここまで来て、手助けしてやったのに?」
「いや。でも。上野君って犯罪者の王なんでしょ?」
・・・・・・・・・
「は?」
マジで心の底からその言葉が出た。
「おい。待て待て待て。何をどう頑張ったらその結論が出る?え?別に俺は最強の力を持つ冒険者だぞ。犯罪者の王なわけがないじゃないが」
「ほ。本当に。だってあの人たちが跪いてるし・・・」
消え入りそうな声でそう言う高嶺さん。因みにもう泣いてしまっている。
なるほど。理解した。
ようは俺が犯罪者共を殺して眷族にして跪ずかせたのを見て、俺が犯罪者の王的存在だと勘違いしたのか。
なるほどね。なるほどね。
納得はしたが釈然とはしないな。
つか。そんな人相手にいくら驚いたとはいえ。化け物とか罵るか。叫び声上げるか?
思った以上に高嶺さん馬鹿な気が・・・
いや違うな。
それが正常な判断なのかな?まあ実際に俺のやってることは普通の人からしてみれば化け物のそれやし。平気で人殺してるヤバい奴だからな。
うん明らかに刺激が強すぎたか。
反省反省っと。まあでも少なくとも高嶺さんに対する思いはかなりマイナスにはなったかな。
中学生の時は好きだったが、いや正確に言えば周りの流れで好きになったかな?まあとにかく今考えると何で好きになったのか。
話も合わねえし、勉強は出来るが頭はアレだし。一応俺は恩人に当たるのに化け物呼ばわりするし。
うん100年の恋も冷めるわ。
といっても乗り掛かった舟。一応最後まで面倒は見るけど。
「取り敢えず高嶺さん。もう一回説明するが、俺は最強の力を持って。こいつ等は俺に絶対服従になる状態にさせた。だからもう悪いことはしない。そんでこいつ等の命令権を高嶺さんにもあげるから、自分で気のすむまでそのデータを消せばいい。そして全部終わったら言ってくれ」
・・・・・・・・
「わ。分かったわ。上野君を信じてみる。それと疑ってごめんなさい」
「いや。別にそこまで気にしてないから良いよ。さて、じゃあ早くしてくれ」
「あ。はい」
そうして眷族共に案内されて高嶺さんは部屋から出てて件の物の処分にいった。
「さて。じゃあラノベでも読んで待ってるか。いや。まあ今更だが落ち着いて考えれば高嶺さん超怖いだろうな。だって自分に酷いことをした犯罪者に囲まれながら証拠を破壊しに行くのだから。いやはやいやはや。まあ。俺知らね」
そうしてラノベを読んで待つこと10分
何処かやり切った感じの顔の高嶺さんが戻って来た。
「どうやら処分は出来たようだね」
「うん。ありがとう。上野君。これからはもう脅される心配は無くなったよ。それにごめんなさい上野君の疑ってしまって。上野君は本当に凄い存在なんだね」
物凄い笑顔でそう言われた。あれ?何か少し人が変わったような返答が来たのだが。
【眷族もしかして何かした?】
俺はもしやと思い念話でそう質問する。
【はい。余りにも主様に対して失礼な発言、そこで私共の方から主様の力を主様の素晴らしさを説いたら急に発狂して逃げようとしたので少し精神魔法を使って精神を安定させました】
【なるほどね。まあ。うん。オッケー理解した】
案の定というべきか精神が操作されてましたか。つか俺の素晴らしいを説いたって、まあ。発狂したってことから多分俺が神を殺した事とか、異世界で大量虐殺をしたこととか、気に食わないってだけで人を殺して蘇らせたこととかを喋ったんだろうな。
それも俺に対して心の底からの崇拝を交えながら。
そんなことされた高嶺さん的には俺がとんでもないなんて言葉が生温く感じるような化け物の中の化け物にしか見えないな。
そんでそんな存在に頼みごとをしてここまで付き合わせたこと暴言を言った事を考えて怖くなって発狂って感じか。
さて、じゃあ解除するか。
一応元クラスメートで、俺の友人達の初恋相手だったりするからな。流石に精神操作をシャレになってない。
それに俺がもう一度丁寧に説明をしたら理解してくれるだろう。もし無理だったらしょうがない精神魔法をもう一回かけて上げるか。もしくは記憶を消して、いや破壊してあげるか。まあその時になったら考えよう。
「魔法破壊」
俺は魔法を破壊し元の精神状態に戻す。
「キャアアアアアアアア」
そうすると俺の顔を見るなり叫びながら気絶した。
うん。マジで失礼だな。
ハア。じゃあ記憶を消してあげるか。
消す記憶は高校になり騙されて脅されるまでに至った経緯の所とそこから俺に出会って解決するまでの話。
多少は不都合が生じるかもだが、まあ俺に怯え気絶する今の状況よりかは100倍マシだろうな。
「精神魔法・精神閲覧からの破壊魔法・記憶破壊」
俺は誤って大事な記憶を消したら不味いので一応精神閲覧を使い記憶を覗きながら、今回の件の記憶を破壊してく。
因みに覗いて分かったのだが。どうやら女優になるのが将来の夢だったらしく。それに釣られて今回の事件に引っかかり。そこで無理やりグラビア写真やら、結構きわどい写真に更衣室の着替えの映像を取られたそうだ。
そしてそれをネタに脅されながら来たら100万円やるからもう一回この場所に来いって言われたらしい。
そんでそれに怯えてたと。
まあようは試作品ということだな。最初にグラビアやら際どい写真やら生着替えを撮り、それを売りつけたりして流す。
そんでそれを見たオッサン共?の中でその子の処女に一番の高値を付けた人を呼んでって売るって感じの商売だ。
ああ、なるほど上手いねと思う。
まあでも警察とかに駆けこまれたらアウトじゃねと思ったが。これまた上手いことに犯罪者の中に精神魔法を使える人がいて。というか聞いたらいて。
重度にかけるとバレるが、軽度ならば意外とバレないらしいので、それを使って警察とか家族に相談出来ないように一人で抱え込むように精神を操作してたとのことらしい。まあ完璧に抑制できるわけではないがそれでも効果は十分だ。
なるほど。上手く出来ている。
妊娠の方の問題だって男の精子が一時的に機能を停止させる魔法のアイテムが安価で出回ってる時代だ。何一つ問題ない。
まあ。でも犯罪は犯罪だ。
普通に100%アウトだし、やってることはクズの極み。
被害者には心の底から同情するわ。
まあ、そこから何か救済ってのは難しいけどね。
せいぜいこれからこいつ等の手によって同じ被害者が出ないようにするだけだ。
「よし。終わった」
そんなわけで色々と考えながらやってる内に記憶の破壊は終わり。凄く健やかな顔で眠りについている高嶺さん。
後はこれを死霊転移で図書館の椅子にでも座らせて寝かしとけば大丈夫かな?
気配とかならば闇の力で消せるしね。
さて。じゃあサクッと終わらせますか。
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俺は出した結論通りに高嶺さんを死霊転移で図書館まで運び、図書館の隅の椅子に座らせる。
因みに誰にも気がつかれてはいない。
その後。少し悩んだ上で元々高嶺さんが勉強道具を入れるために使っていた鞄の財布に10万円を入れて、とある手紙を殴り書きした。
内容は中学校の時の俺がダンジョンで成功して億万長者になったから中学生の時に迷惑をかけたきがするからそれのお詫びということであげるし自由に使ってねという感じだ。
以上。
なんてのは建前で。俺の本当の気持ちで言えば。手切れ金の様な感じだ。
正直な話俺は高嶺さんに少なからず好意を抱いていた。そう好きだったと言っても良いと思う。
でも今の俺と高嶺さんとでは色々と釣り合わなさすぎる。絶対に分かり合えないと思う。文字通り住んでいる世界が違う。そもそも種族からして違うし。
言っても俺的の高嶺さんへの好感度はもう既に先の一件でジェットコースター並の勢いで急降下しているのだが。それでも昔好きだったという思いは本当だ。
だから。こうしてお金を渡すことで俺の中で決着をつける感じかな。
うん。我ながら何を言ってるか分からないが。ただ俺の心がそうしろと言っている。そしてそれが俺の中で一番良い心の整理の付け方だ。
だからもう高嶺さんの事は忘れるとしよう。今回の件は楽しくはあったが少々不愉快な気分になった。でもそれはある意味当たり前の反応かもしれないとも思った。
まあ。だからいい勉強になったって感じだ。
「という訳で高嶺さんグッバイ。多分もう二度と会う事はないと思うよ」
俺はそう呟いて図書館を後にした。




