パムさん視点
苦手な方は読み飛ばしてください
「はぁ~。」
ため息が出る。
今日は、班長のお嬢さんの買い物のお供だ。
先日、班長のお嬢さんが来た時に約束をしてしまった。
あまりにも、ローストチキンサンドがおいしそうで。
いや、おいしかった。
薄い黒パンに、ガーリックと粒マスタードががっつり効いていて、チキンもたっぷり入っていた。
お店で出てくるような、見た目が鮮やかなサンドイッチではなく、俺の好きなものをがっつり入っていた。
罠だと気付いた時には、班長のサンドイッチを半分以上食べてしまった後だった。
班長のお嬢さんは美人の類に入る。
スタイルも、春の女神役に選ばれそうなほど良い。
が、やや過剰なボディタッチや視線の中に感じる計算高さが苦手だ。
俺は、もっとこうのんびりした女がいい。
「はぁ~。」
今日、何度目かのため息が出た。
重い足取りで、班長の家に向かうとお嬢さんは準備して待っていてくれた。
意外だ、腕を組まれると思っていたが、少し離れて歩いている。
うつむいているが、耳が赤い。
もっと世間慣れしているお嬢さんかと思ったが…。
買い物はあっという間に終わった。
終始うつむいていたお嬢さんだったが、店に入ると表情が変わった。
あれは、ハンターの目だ。
あの目が俺に向いたら怖いと思う反面、短い時間での買い物に俺への気遣いを感じた。
荷物を持とうと声をかけると、軽いからと自分で持った。
短い時間で終わった買い物に、広場へお茶に誘った。
彼女は、本当にたまたま買い物に行きたかっただけのようだ。
飲み物までも、自分で払おうとする。
自分より年下のお嬢さんに払わせるわけにはいかないと思っていると、引いてくれた。
「あ、ありがとうございます。」
うんうん、お礼をきちんといえる良いお嬢さんじゃないか。
飲み物を飲みながら、いろいろな話をした。
街の情勢、詰所の勤務の話。
女性が聞いて楽しい話ではない。
意外にもお嬢さんは、博識で話が弾んだ。
「隣国ときな臭い話がある。」
と、俺が言えば
「ああ、シガー連邦国とのロロシ山脈の件ですね。父から聞きました。」
「父も戦争も時間の問題で、いざこざは頻繁に起こっていると聞きました。」
「シガー連邦国は、貿易大国だから資源ぐらい貧乏なうちの国にくれればいいんですけど
ね。」
と答え、
「衛兵の勤務が過酷で若い者の離職が多い。」
と、愚痴れば
「父も、勤務の調整が大変だと家でよく言っています。」
「勤務も、今の2交代から4班に分けての3勤交代にしたら楽になるかもしれませんが、それだと今いる人数では対応しきれないですしね。」
と班長から聞いたであろう内容にさりげなく自分の意見も混ぜて会話が広がる。
3勤交代?どんな勤務だ?
もっと話していたいが、飲み物を飲み終わりお嬢さんが立ち上がった。
お嬢さん、いやミネアさんと別れがたくて家まで送った。
彼女と話すのは楽しい。