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番外編2 とある動画配信サイトで紹介してほしかった「迷列車」もとい「迷機関車」

ここ最近、蒸気機関車による町おこしが盛んだ。

特に辺境というか秘境ともいえるローカル線ではそれが町や村の存続に関わるため必死である。


そんな蒸気機関車であるが、通常の方法では「コストがかかりすぎて復活などできない」

例えばJR九州のSL人吉に使われた機関車なんかは老朽化で一度運行不能に陥ったが約5億円ほどかけて再び復活させたのは有名である。


蒸気機関車を復活させるということは並ではない。

そんななかでいくつかの地域では「圧縮空気機関車」という方法で蒸気機関車を「形だけ」復活させているケースがある。


ここで一部の人は疑問をもったりしないだろうか。

「運転手用の資格の運行区分とかどうなってるんだ?」と。


実は鉄道の運転手の運転資格はその鉄道の性質によって区分わけされている。

「電車」と「電気機関車」は同じようで異なる存在だったりするわけである。


当然にして蒸気機関車も蒸気機関車向けの資格があるわけだ。

基本的にその資格がない形での復活は出来ない。


そのため、そんな資格があったのかと驚かれた事例がある。

それが愛媛県の伊予鉄道を走る「ぼっちゃん列車」である。

これも機関車であるが、こいつはなんと「軌道」という路面電車用の規格を走るもので、しかも「見た目は機関車だがディーゼル機関車」だったりする。


路面電車は基本的に「電車」しか存在しないと思っていたライトな鉄道マニアは驚いたが、実はその裏にはちゃんと存在していた。


この運行区分が作られたのは戦後。

北海道の札幌によるものだ。


今ではイベントなどで有名な札幌市電である。

当時、増え続ける需要に対応しようと必死だった札幌市電では「軌道ならすぐ作れるがそこに電線や設備を整えるのに時間がかかる」ということで頭を悩ませていた。


そこで日立に作らせたのが「ディーゼル路面電車」という魔物。

こいつは意外と早く電化されたためにすぐに引退してしまったがこの時に札幌市は地方自治体の立場を生かして新たに資格を設けてしまったのである。


このディーゼル路面電車自体はすぐ引退してしまったものの、以降こいつは別の形で活躍して近代まで存在した。

それは「除雪車」という立場である。


除雪が必要な北海道にて、「通常の路面電車よりパワーがあり、その熱も利用できる」ということからそういうものが作られて運用されたが、さほど大きな効果が挙げられず最終的に「ササラ電車」として今日では電車のみが運用されている。


一度生まれた資格は簡単に消滅させないので、上記「ぼっちゃん列車」にて再び日の目を見たわけである。


では圧縮空気で作動させる機関車はというと実はこれも存在していた。

「無火機関車」と呼ばれるものだ。


日本国においては基本的に炭鉱などで用いられるのでめったに見ることができなかったが、実は今回語っているRDシェルことライジングサンも保有していた。


どこで利用していたかというと「港などからタンク型貨車に詰め替えた後にターミナル駅まで運ぶ」ためなどへの用途である。


タンク部分に大きく「SELL」と書かれたそいつは「ヘンシェル」というドイツのメーカーが製造していた無火機関車で、国内には4両ほど存在したとされる。

こいつは戦時中~戦後にかけて運用されたが、特段没収されなかった。


というかww1の後にドイツ製機関車を導入した英国企業というのが摩訶不思議な話で、当時無火機関車は蒸気機関車帝国であるイギリスやスタンダードオイル全盛期のアメリカでも存在したが、なぜかライジングサンはドイツ製を使っていたのである。


結構性能がよかったらしく長い間使われたが、需要がなくなったり電化されるにあたり消滅していった。

だがこいつ自体は「とてもエコ」な存在で当時の鉄道好きが「意外と後の時代で復活する形式やもしれない」なんて鉄道ファンに写真を投稿しつつコメントを残していたりする。


それが「エコのため」ではなく「蒸気機関車を復活させるため」に使われたことをこの写真を投稿した人間はどう思うのだろう。


実はこの手の無火機関車、基本的な構造は殆ど蒸気機関車のソレだった。

蒸気の代わりに圧縮空気を使うだけで、熱源を「コンプレッサー」に置き換えたもの。


例えば「電源車」なんかを付随させればずっと動かせていられる。

ようは「速度」という部分を捨てれば「後ろにパンタグラフつきの電源車を付随させ、その電気で作った空気で動かす」ということが可能。


この方法ではエネルギーのカロリー消費的にさほどエコではないのだが、それでも煤煙問題などは楽にクリア出来、そっち方面の投資が不要。


よって「電化されたローカル線」ほど圧縮空気機関車は運用しやすい。


最初にこれを試みたのは鳥取県を走るローカル鉄道の「若桜鉄道」の「C12」

この改造を行ったのがなんと「無火機関車をよく知る鉄道ファン(一応技術系の人間で蒸気機関車の運転資格も持つすごい人)」だというから恐ろしい。(ニュースで名前などが出ている以外と若い人がその人)


まあ「無火機関車の技術者」なんて今日の日本だと殆どいないのでそうなるのだろう。(国内には動態保存車両が4両存在)


機関車の復活系の話では「ちょっとしたファンが当時の品質のパーツを再現できる」ということがよくあるのだがその一例である。


これにかかったコストが蒸気機関車の10分の1程度であったのでこいつの成功を皮切りに国内では圧縮空気式に改造してへの復活というのが相次いだ。


ついこの間はなんと「D51をそういう形に改造させて復活させた」ことがニュースになったぐらいだ。


そんな「無火機関車」残念ながら重大な弱点がある。

それは「旅客運行が出来ない」ということ。


理由は「元々貨物用として運用されていたため」そういうものが存在しなかった。

ディーゼル路面電車は地方自治体が運行するからこそ国が新たに設けたが、こういった存在に国は動いてはくれないようである。


とても残念な話なのだが、どうにかしてもらいたいなあと思うところである。


最後のまとめが本題である。

実はこの無火機関車にはどう見ても「迷列車」というべきものがあった。

だからこいつはぜひ某動画配信サイトで「迷列車シリーズ」で出てほしかったのだが、未だに出ていないようなので語ってみよう。


実はこいつにはとてつもない急造品が国内に存在する。

それは「海軍の酸素魚雷を使って稼動するようにしたもの」である。

ライジングサンが使ったものではないが、炭坑用のために戦後機関車不足でパーツ流用してくみ上げたものである。


何がすごいかって見た目が「ロケットエンジン付機関車ですか?」といいたくなるような見た目である。


「酸素魚雷」「機関車」とでも調べてもらえばいいが、とにかく見た目はゲテモノそのものである。


しかし全体の構造自体はそこ以外に特異な部分はなく、通常の無火機関車だ。

一般的な小型蒸気機関車とことなりピストンが2つあるのが無火機関車として特徴的な部分だが、それ以外は他の小型蒸気機関車に順ずる構造である。


これがなんと「1980年代」つまり40年前まで実際に使われていたというのだから恐ろしい。

実際に動いている映像があるんじゃないのか!?


幻に近い存在といえば米国のターボトレインという米国のガスタービン技術を駆使して意外にも出来はよかった高速鉄道などがあるけれどああいうのは結構映像が残ってたりするがこっちはないらしく、画像でしか拝むことが出来ない。


見た目はなんか「スペースシャトルの外部燃料タンク3つをくくりつけて機関車にのっけた」ような感じなのだが、ぜひこれが走る姿を見てみたかった。


戦後急造されたこいつは性能はかなり高かったらしく運用もそれなりに楽だったというが、この技術なんか応用できそうじゃない?

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