幕間
『どうしたんだ? まったく動かないぞ』
金色の髪をゆすりながら、エルオードは魔法陣を叩いた。
『それが……今月はまだ十五人しか召喚できておりません』
その言葉に、エルオードは顔を引きつらせる。
もう月の半ば、本来なら二十人以上確実に召喚できているはずなのに。
『どうしましょうか?』
おどおどと窺ってくる担当者を軽く睨みつけると、エルオードは足を慣らし、その場をあとにする。
なにがいけないんだ。
召喚するための贄は用意している。魔法陣も完璧だ。
だとすれば……。
エルオードは神殿を出る。そして、とある場所に向かう。
本来、聖職者が立ち入る場所ではない。神殿内に運びこむ物資を貯めた倉庫の前に目当ての人物がいた。
動きやすい格好をし、女性らしさなどをかなぐり捨てた女。そこに神々しさの欠片もない。
『パルマ……』
エルオードが声をかけるとあからさまに顔を歪める。
「あんたに馴れ馴れしく呼ばれたくないね」
木箱の上に胡坐をかき、こちらをねめつける。
『なら、こう呼べばよろしいでしょうか?』
エルオードは、眉を下げたまま、言いかえる。
『女神よ』
パルマの表情はさらに歪んでいた。




