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復活

 学校中がざわめいた。何故なら、名柄川羽海が一ヶ月振りに学校に復帰したからだ。


「おっ、鷹見久々ぁ! 悪かったな、何度も家に来てもらっては追い返しちゃって」

「羽海……大丈夫なのか?」

「おうおう、大丈夫大丈夫、なんか違うと思うけど……元気だ」


羽海の口調も、身だしなみも悪くなっており、以前とは大違いだが、戻ってきて良かったという言葉が多かった。

一番に飛びついて来たのは麻衣だった。


「羽海ー! お帰りー! 待ってたんだからー!」


涙をこぼしていた


「おいおい止めろ止めろ――あの時は助かったわ。お前の言葉が無かったら今の自分は居なかっただろうな」


 麻衣の頭をなでなでする。自分は周りを見ると変な顔をして見てたので


「おい、てめぇら何だその「あら~」って顔は! 一人ずつ殴るぞ!」と脅す。「いつもの名柄川とやっぱり違う!」と、男子はビビっていた


つい、後ろを見てしまったが、席が空いていた。「もう――来ないよ」と鷹見が言うと自分は「ああ――会わなくてせいせいする」と一言。



  ※  ※  ※  ※



 ――放課後

 自分は麻衣の所に寄ってバイクを見る。やっぱり赤と白のツートンカラーはカッコいい。


「良いバイクだ、タマ有りの教習車は」

「やめてよ~! 教習車って言わないで!」

「悪い悪い、自分も何かバイク買わないとな……」


 そうだ、自分は去年バイクを燃やされてしまった。アイツの顔を思い出すだけで反吐が出る。バイクの金は奴の両親が払ったんだっけか、一回相談してみっか。


「それじゃ、また」

「うん、じゃあね」


 麻衣を見送る。――後ろから何か近づいてきたのを察したので振り向いたら、奴がいた。


「またお前か三守――胸狙いか?」

「名柄川さん復帰おめでとう~どうだった? 愛の手紙は?」

「気持ち悪くて、暖炉で燃やしちまった」

「そんなぁ!」

「嘘だよ、ありがとうな。毎日だして近況報告してくれて」

「いやいや、僕にはあれぐらいしか出来ないからね」

「でも嫌いだな……まぁ、友達くらいにはなってやるよ」

「本当!? 嬉しいぃ!」

「それより、もう部活行けよ」

「はい!」


 三守はグラウンドへと走りだしていった。アイツも相変わらずすぎる。少し進歩したかと思えばやっぱり退化してる。気持ち悪いしか言葉が出ない。自分も、帰るとするか……。




 ――自宅

 早速、相談してみることにしよう。


「お母さん、バイクまた買いたいんだけどどうかな? あのお金残ってるよね」

「羽海……! その言葉をお父さんも待ってたのよ!」


 おっと、予想外だった。そんな言葉が帰ってくるなんて、断られるかと思った。


「早速、そのお金で行こうよ、お母さん」

「ええ、行きましょ」


 ということで、急ではあるがバイクショップに向かうことにした。




 ――午後六時

 久々にバイクショップに来た。以前の店員が出てきた。というかこの人店長だったらしい。


「お久々です、イナズマ400の件は父親から伺っております、さぞかし辛い思いをしたでしょう」

「まぁ……それより何か良いのあります?」

「ええ、イナズマ400ならお好きなの結構揃っておりますよ」

「いや、別ので良いです」

「わかりました、またあの時の様にごゆっくりどうぞ」


 店長は事務に戻った。変わらねぇな。



 ふらふらと見てると、新しくって即乗可と札が張られた良いバイクを見つけた。

「GSR400――」


 そう、これが羽海とGSR400の出会いであった。


「これ跨ってみても良い?」

「どうぞ」


 声が飛ぶ、早速乗ってみるとイナズマより軽く、両足が着く、シートも深々と座れて操作もバッチリだった。


「あのーこれが良いです」

「はいはーい……っておおまたマニアックな」


 こいつはSUZUKIを選ぶと多分全てマニアックというだろうな、ちょっと馬鹿にされた感じでムカつく。


「前と同じく車検も余ってますし直ぐに乗って帰れますよ」

「それじゃこれで、お母さん手続き頼むわ~」

「名柄川さん、それはちょっとウチとしてはマズいんですが……」

「昔からの馴染みじゃないですか? それじゃ、お願いしますね~」


 と言って、走りだす。住民票も全部渡してあるから連絡が来るまで待機してればいずれ乗れるだろう。ナンバープレートも外して後々渡す。この行為はよろしくないが気に入った、これからよろしくな。



  ※  ※  ※  ※

 


 ――午前八時

 学校にはいつも通り、バイクで向かった。本当の名柄川様が帰ってきたぞ! と言わんばかりにアクセルを蒸かした。

 麻衣は


「へーGSR400にしたんだー、カマキリの真似してみて」と言われた。「次言ったら殴るぞ」と喧嘩を売る。でもこんな感じの会話――なんか、本当に学校に戻ってきたって感じが出てきた。次から二年生か……。



 こうして、三学期も平穏に終わり羽海達は二年生へとなった。

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