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出会い

 夏休みが明け、羽海が八月三十日で十六歳を迎えた時の話である。久々に友人達と会う中、一人だけこの登校時に会わなかった人物が居た。聖山麻衣である。羽海がメールを入れても「行くよ~」とか「まだまだ~」と返信が来るだけであった。

 校門で一人、羽海は待つ。「麻衣ちゃん……遅いな」と羽海は二学期初日にも関わらず遅いので心配してたのである。

 


「フォーーン――!」

 羽海の全身に響くような音が鳴る。


「フォーン! フォーン!」

「バイク――!?」


このバイクに跨ってきたのは聖山麻衣であった。


「ごめんねー!」


 聖山麻衣がシールドを上げて話す。


「七月八日に誕生日迎えたから夏休み中に二輪教習行ってたんだ! どうどう? 凄いでしょ?」

「凄い――凄いよ麻衣ちゃん!」


 羽海は感動していた。麻衣の乗っているバイクのあの音の響きだけで羽海は度肝を抜かれた。そして羽海は


「あたしも――取りに行くよ、二輪教習!」

「行ってきて――一緒に走ろう!」


 麻衣よりも少し遅いながらも、二輪の普通免許を取る事を決意した。


 ここの高校では、徒歩と自転車、珍しく車とバイクの通学が許可されており、麻衣の様に通学する者も居るが、バイク通学は全く居なかった、それから車の通学者も居なかったのだ。

 高校生にとって免許もそうだが、バイクも手が出せない生徒が多いのだ。ということで、麻衣は一瞬にして二学期の注目の的だった。勿論、この時から麻衣のバイクはCB400SBである。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ――休日

 羽海は必死に、二輪教習を通い詰めていた。引き起こしや八の字に回ったりクランクやS字を通ったりと、この行動一つ一つが女子にとっては大変だった。麻衣からは「マニュアルで取ってね~でないと乗れないよ~」と言われたので羽海は慣れない操作でバイクを乗っていた。半クラッチだのやったことも聞いたことも無いからエンストしてはコケる、という連鎖だった。そして引き起こしが上手くなる一行だった。


「痛ッ! イタタタッ! またコケちゃった――どうして?」


 悩みながらも、バイクを引き起こす羽海であった。




 ――学校休憩時間

 羽海は仁宮に肩を揉まれながら、麻衣と三人で話してた。


「あー麻衣ちゃん無理だよ~……よく取れたね~」

「お兄ちゃんの後ろに乗ったりとかしてたから色々教わったんだよね」

「あたしは標識を覚えるので精一杯」

「二人共……頑張ってるんだね……」


 仁宮は次に麻衣の肩を揉む。


「仁宮ちゃんも取りに行くの~?」と麻衣が促すが「私はいいよ……体力無いし……」と以前の羽海みたいになっていた。


「羽海もバイクの免許頑張ってるの?」


 ここで先生の雑用を済ませて来た鷹見も話に入る。


「うん、頑張ってるけどコケてばっかり……」


 羽海はしょんぼりする。


「半クラッチの方法はね――指を90度位に保つと半分になるよ」


 それを聞いて羽海は目から鱗のようだ。忘れないように手で練習してみる。


「知ってるって事は……鷹見くんも……免許取ったの……?」


 仁宮が問う。


「ううん、そんなふうにしろって知ってるだけ。」

「そうなの……タメになるか分からないけどありがとう……」


 一応と聞いた仁宮も、ちょっとは興味が出たのか、麻衣がいつも持ってきているバイク雑誌を「借りてもいい?」と言い出して授業中にパラパラとめくる仁宮が居た。




――十月の学校休日

 誰もが、教習所に入れば時期に来るだろう、羽海の自動二輪卒業検定である。麻衣や鷹見がアドバイスをくれたお陰でバイクが乗れるようになっていて、エンストも少なくなった。


「……八番、名柄川羽海さんお願いします」

「はい」


落ち着いた声で左右確認し、ブレーキを握り後方確認、跨る。そして、羽海は免許の為に発進した……。




 ――正午

 全員の試験が終わり、羽海は待合室で待機していた。試験に落ちるという感覚を味わってない人にとっては恐怖に感じる瞬間である。そして、試験官が出てくる。


「えーお待たせしました。……全員合格です」


 羽海は跳ね上がった。喜びという感情が溢れてくる。こうして、無事に羽海は自動二輪という免許を獲得したのだ。




 ――数日後

 買うバイクを麻衣と共にバイク雑誌を見て考えていた。


「kawasakiのNinjaは?」

「うーん、緑好きじゃないし……」

「SRXとかドラッグスターは? イカしてるよ」

「アメリカンってそんなに……」


と、延々悩んでいたが一つのバイクを見つける


「――イナズマ400」


それは、SUZUKIのイナズマ400だった、だが麻衣は


「ええ!? 羽海ちゃんそれ重いと思うよ! しかもSUZUKIだし!」

「SUZUKIでもバイクはバイクでしょうよ!」


 麻衣はSUZUKIの意味不明なデザインが好きでは無かった、そのために反発したのだ。


「教習車バイクに乗ってる麻衣ちゃんに言われたくない!」

「言ったねぇ!もう知らない!」


 プイっとそっぽを向かれて何も言わなくなってしまった。そして放課後は一人で帰る羽海の姿があった。自分が降りる駅から降りて家から別の方向に向かっていた、バイクショップである。中で作業していた店員に話を掛ける


「あの、ごめんなさい」

「お、どうしました?」

「イナズマ400ってありますか?」

「ほぉ――良いの知ってるね、ありますよ」


 店員に付いて行く。そこには銀色に輝くイナズマ400の姿があったのだ。


「わぁ……凄いカッコいい」

 羽海はイナズマ400の周りを見ていた。


「珍しいね、女子高校生がバイクを見に来るなんて」

「まぁ、友達に影響されちゃってそこから……」

「イナズマ400の他にもあるからゆっくりしていくと良いよ」


 そう言った後に店員は何処かに行ってしまった。他にもSUZUKIのバイクはあったがやはりイナズマ400に戻ってはを繰り返していた。


「店員さん、次の日に親と一緒に来るんで取り置き良いですか?あの住民票渡しますんで……」


 最終的に結局、羽海はイナズマ400に決めたらしい。


「わかりました、次の来店をお待ちしています。車検と整備は済ましておきますね」


 羽海はバイクショップを後にした。



 ※ ※ ※ ※ ※ ※



 ――休日

 父親と共にバイクショップでイナズマ400を一括で購入した。

 勿論父親持ちだ。


「羽海、かなり遅くなったが誕生日プレゼントだ」


 ということである。


「うん!大事にするね」


 羽海はイナズマ400に跨った。既に整備と車検証は取り置きした時点で完璧ということで残りはお金という状態だったので一括購入で終わった。

 勿論羽海思いの父は保険も一番高くしてあり、壊れても購入した金額で戻ってくる、という素晴らしい保険に入った。


「それでは、良いバイクライフを!」

「はい、お父さん待ってるね!」


 ローに入れて道路に出た。

 その場に残った羽海の父親と店員は


「珍しく趣味を持ったよ、ウチの娘は」

「最初から乗りたいという訳じゃなくて?」

「あの子は家で勉強しかしなくてね、何にも趣味を持ってなかった。だからバイクに乗りたいと言われた時はやっとかと思ってしまってね」

「良い趣味を持ったじゃないですか」

「事故だけは気を付けて欲しいね」


 という会話が始まっていた。


 羽海は風になっていた。信号で停まった時にはイナズマ400のタンクを手で撫でたり、法廷速度ギリギリの60kmで飛ばしてみたりとかなりご満悦の用であった。そして、イナズマ400に乗って向かっていたのは、麻衣の家だった。麻衣本人はイナズマ400の排気音が家に近づくのに気付いたのか、外に出てた。


「麻衣ちゃーん!」


 羽海は麻衣の前で停車した。


「ごめんね、あたしあんなこと言って!」

「ううん、こっちこそ!」


 和解できたようである。

 ――10月末の事であった。

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