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林間学校! その8

 風呂上がりで布団を被さってはちょっとチラッとこっちを見る麻衣を自分は観察をしている。


「何してんの?」

「亀の真似、それより今こそ恋バナとか色々話しよーよ」

「まぁいいけど」


 結局、亀の真似は何だったんだ……。とりあえず、ジョシトーークか、今日の夕方のジョシトーークはおばちゃんも聞いてたからプライベートの話とか筒抜けだしな。自分は大した話は出来ないけど、皆の話は気になるし自分は聞きたい。


「じゃあ麻衣から話してー」

「えーと、最近の流行り」

「最近の流行りか……って話を振ってるんじゃない」

「ポイポイポイポポイポイポピー?」

「それ流行ってんなー、って確かに流行ってるけどそれが五年後も流行ってるかどうか……」

「そう? でも曲のフレーズって頭に残りやすいよね」

「残りやすいけどさ、多分一瞬で終わるぜ?」

「それありえんてぃ、ずっとナウいと思うよ」

「お前さっきからさぁ、流行ってる言葉ばっかりだな」


「じゃあ羽海ちゃんは何が流行りなの?」

「自分かぁ……「食べるラー油」が美味しくてハマってるな、ガリガリとした触感とあの程よい辛さが……」

「あれ美味しいよねー!」

「ご飯とあの「食べるラー油」だけで行けるわ、そういや由里様は何が流行り?」

「私は、コンビニの「プレミアムロールケーキ」が美味しいと」

「アレかぁ……売り切れ必須だから自分はいつも買い忘れるな」

「ついでに午後の紅茶エスプレッソティーとかも……」

「缶の紅茶を由里様が買うなんて意外だな」


 コンビニで買物をする由里様かぁ……これはまたシュールな絵面ができそうだ、多分執事様とかが買いに行ってるのだろうけれども……ん? まさか売り切れの理由って買い占め?


「まだ流行り物は出ると思うけど、「食べるラー油」だけはずっとコンビニとかで置いといて欲しいなぁ」

「羽海ちゃん案外白米好きだもんね、おかずは必須だね」

「そうだな、自分の中でナウいのは「食べるラー油」だな」

「ナウいねぇーナウいナウい」


 こういう話だらけで夜が更けていった訳だけど、自分は「食べるラー油」を連呼していたからか、更に家に帰りたくなったのが加速した。携帯は使えるけれども、不自由と言えばやっぱり不自由だから出来ることも少ない。そして昨日の夜は怪奇現象に襲われたから麻衣達が寝た後も自分は寝れなかった。――一階の自販機のコーラを買って一服したい訳なんだけど、さっきから外は先生たちが見回りしてるから出れるに出れない。ここでスネークしたって自分はフルステルスなんて出来ないので結局布団の中でジーッと待つしかなかった。ちょっと不安だから麻衣の所でも入って温まりあってみようかね……。


「ちょっと……入るよ」


 温かい、麻衣自身が温かいとは予想外だった。


「ん……羽海ちゃん……」

「ちょっと一人じゃ怖くてな、一緒に寝ていいか?」

「ん……」


 少しズレてくれて受け入れてくれた。コイツの事だから内心にっこりだろう。手も握ってくれたので今回は安心して寝れそうだ。なんだかんだ言ってコイツの寝顔は可愛いな。こういつも落ち着いてくれたら良いんだけどなぁ……はぁ――。さて、自分も安静して寝れそうだ。



  ※  ※  ※  ※



 真っ白、天井は真っ白だった。悪い夢も見てない、体は――動かない!? 馬鹿な、現実世界で金縛りにあうとは思わなかった。でもこの金縛りに違和感。足は動くし片腕も動く、部分的に動くのにお腹と片腕は繋がれたように動かない。繋がれた――手、麻衣? そういえば、側にいた麻衣がいない。

 まさかと思い、そーっと布団の中を開ける。うん、居ました。金縛りの原因はコイツ、聖山麻衣でした。器用だな、手を繋いだまま関節を曲げずに上に乗っかるとは、どちらかが痛い思いをするんだがな。一度も手を離した感じはしなかったし、一体どうやってこうなるんだ。


「麻衣、まーいっ。重いっ」

「まだ時間じゃない……このまま」

「チッ、しょうがないな」


 違和感は感じたけど慣れてきたししょうがない、自分も頭を枕に付けて二度寝をする。久々の二度寝だなぁ、普段は学校があって二度寝なんてしないから感覚に困る。ちょっと浮いた感じ? 少し、お得感を感じる気がする。




「……」


 また空白の時間が現れるとは思わなかった。次は館のチャイムで起きるとは――ちょっと、お腹にベタベタ感を感じるんだけど何故? またゆっくりと布団をめくると、何で頭をジャージの中に突っ込んでんだテメェ。自分はそのままジャージを腰に向かって引っ張り、擬似的に首絞めをする。


「んー!? んん! んんんん!!」

「なんでジャージに首突っ込んでんだよ!」

「いい匂い! いい匂いだったから!」

「ボー○ドはいい香りだよなぁ!?」


 麻衣はドンドンと布団を叩いてギブアップを申告。流石に息が出来なかったらツラいよな?


「ガハッ……」

「全く、他人様のお腹に首を突っ込むとか馬鹿か!」


 自分は立ち上がってジャージを直す。普段誰かと寝るなんてしないからこんな目に合うんだなって、一番勉強になったのは自分だ。二度と麻衣と寝る事は無いだろう、絶対無いだろう。えーっと、館内放送の内容によると、外に集合だっけ? 由里様はとっくに準備を済ませて行こうとしていた。自分達も布団をしまってとっとと外に出ねば。麻衣はさっきの首絞めで酸欠になったからか、ちょっとボーッとしてた。


「麻衣、大丈夫?」

「うん――ボーッとする」

「ゆっくり出ていいから……」


 強く締めてごめん、そんなに支障が出るとは思わなかったんだ……。




 いよいよ、帰るだけである。皆と過ごしたこの三日感は忘れる事は無いだろう。高校生でこんな暴走の仕方をするとは思わなかった。――麻衣も、由里様も。鷹見も宮川も上泉も桧川も。特徴あって様々。でも楽しかった。点呼も終わって全員が集まる。


「皆集まったということで、今からバスに乗ります。忘れ物があっても後日届くんですけど、手数料掛かるんで無いように」


 大人の話を織り交ぜて警告をする先生はゲスい。忘れ物か――自分のリュックサックの中も全部見てみるが食べきれてないお菓子類とやっぱりジャージ……。全部ジャージに持って行かれてるけど大丈夫か? 荷物の理由はコレかな。



 バスの中は疲れ切ってて大した話も無く、高速道路でサービスエリアに停まってまた走り続ける。麻衣もトランプで遊んでたけど途中でダレて携帯をいじっていた。自分も流石にこの長い時間をダラダラと過ごせるわけも無く、お菓子を食べていた。この残ったお菓子を消化せねばならないと。アーモンドラッシュとかガルボボールとか?麻衣が見てきて


「あ、ガルボだ。流行ってるやつ」

「そう、ちょっと食べたくてな」

「CMのインパクト強かったね」

「そうだな」


 麻衣はガサゴソと何かを取り出す


「じゃーん、チョコバット」

「おー、当たりのホームラン出るかなー?」


 早速とばかりにガシガシとチョコバットを食べてでた結果は――「アウト」だった。


「……も、もう一本あるんだよね」

「おう、食べて結果見せてな」

「うん、ガシガシ……「ヒット」だよ「ヒット」」

「見せて」

「ヤダ」

「……」


 無理矢理チョコバットの包装を奪い取る。勿論、反応通り「アウト」だった。――また、もう一本出してきたけど、お前は何本持ってるんだよ。


「ガシガシ……」

「「アウト」だな?」

「……」

「また持ってたか。どうせ「アウト」な」


 麻衣は光を通して見ようとするが、残念ながらそういうズルをさせないために前は黒く塗りつぶして見れない。必死に見ようとしてるがやっぱり見れない。


「ガシガシ……」

「泣きながら食べるなよ」


 ガッと目を見開いてびっくりする様子を見せる麻衣! 来たか!?


「ヒットだ! ヒットヒット」

「ヒットだと交換は何個だ!」


 包装に書かれた説明を読んで絶句、ヒットは四枚で交換らしい。――アレ? 麻衣は四本食べたから、損してるんじゃ。っていうか、完全にヒット狙いで四本だろ、麻衣の考えは案外簡単だった。


「これは、持ち帰ろう」

「滅多に買うもんでもないだろチョコバット」



 そういうチョコバットの話をしながらも、千葉に着いて解散。結構雑に終わるったと思うが、大体解散した後って「もっとこうしとけば」とか「やれば……」とか後悔を考えてたりとかする。でも、林間学校とかの思い出は楽しい事だけで終わればいい。――勿論、悲しい思い出はトミーの事だが、幽霊と分かったからには後悔は残らない。

 そう、トミーに関しての事だが、後から調べて分かったこと。七月三日に飛行機の墜落事故で落ちて事故原因は不明の最悪の飛行機事故になったらしい。当時はフライトレコーダーとかボイスレコーダーが無かったから詳細が分からない。計六八名が死亡――戦後の技術の発達途上が起こした事故、今じゃ中々起きない事なだけに感情深い。トミーが現世に未練を残す理由もわかったかもしれない。


 また、阿賀町富子に会うのはいつになるのだろうか。それまではさようなら。

 林間学校編これで終わりです、かなり長くなりました。

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