プロローグ
俺は十八歳の高校三年生で名前は秋山みずき。
名前は女っぽいけど、歴とした男だ。
ちゃんとついてるもんはついてるし、女にも年相応の興味はある。
そして、今の季節はもう二月だ。
俺は受験も終わって四月からは大学生になる事が確定している。
そう、俺の高校生活はもうすぐ終わりを迎えるのだ。
そして、ここでこの数年を思い起こしてみようと思う。
高校生活……
有意義で満足のゆく高校生活だった……
そんな記憶がない。
考えてみれば俺は部活動も入ってなかった。
あと、すごく仲良しの友人もいた記憶がない。
やばいな。これは俗に言う有意義な学生生活を送ったって言えるのか?
言えないんじゃないのか?
でも、俺はなんとなく満足な高校生活だったと思えている。
まぁ有意義という定義を考えるとダメなのかもしれないけどな。
でもな? 基本的に嫌な事を強制されたり、仕方なく周囲にならってやるのは有意義って事じゃないと俺は思っている。
有意義とは意義の有る事だ。
並び換えりゃ有意義になるだろ?
そして、自分にとって意味や価値がある事を指すらしい。
ここはちょっとネットで調べてみた。
だったらそうだな。
やっぱり俺の高校生活は有意義だったって事にならないよな。
そんな事を考えながら俺は視線を下へと向けた。
視界に飛び込むのはもちろん俺の体だ。
そして服だ。
そして、さらりと髪が落ちてきて耳をくすぐった。
うーん……
落ちてきた髪を掻き上げながら考える。
はたして今の俺のこの行動は有意義の定義に当てはまる事なのか?
確かに、俺のこの行動は意味や価値はあると思ってる。
だけど……いいのかこれ?
まぁでも自分で納得して行動を起こした訳だし、これはこれで有意義って事になるんだよな?
そう考えなきゃやってられないよなこれ。
今さら引き返せないし。
と、考えていたのは大学に入学する前だったなぁ。
そう、高校を卒業する間際の事だ。
あの時の俺って、ある事情はあって一時の感情に流されてあの行動に及んだんだ。
だけど、今になって考えるとマジで俺なにしてんのって思っちゃう。
まさかこの先にとんでもない展開が待ち受けているとは夢にも思っていなかったしな。
そう、後になって未来は自分にはわからないのだと痛感した。
後悔先に立たずって言葉がなぜあるのかを理解した。
だけど……まぁ……仕方ないよな。