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秘めた才能
恵比寿が、少し微笑んだ。居酒屋では少し場違いなのでは無いかと、振り向く程の美人である。笑う顔なんてしないのかと思っていたヤマチューが、
「あ・・恵比寿さんの、今の笑顔もいけますわ」
別に変な気を起こした訳では全く無い。ヤマチューは思った事を正直に言う男だから・・
途端、恵比寿は又怒り顔。
「要らん事言わんでええ。聞いた事に答える。どう美味いんか言うて見て。鶴饅と、鶴羊羹」
「あ・・はい・・鶴饅は、昔食べたばあちゃんの味がする・・羊羹は、何か海の香りがします・・済みません・・こなん事しか答えれんです。うちとこ親父が飲んだくれで殆ど家に銭入れんかったきん、ほなん饅頭やお菓子の味知らんきん・・」
「ふうん・・ほやけど、その舌の感覚・・一応合格にしといたる。美味い言う事は、大きな販売戦略じゃ。ほしたら、こっちはどうな?」




