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秘めた才能
が・・質問攻めは、恵比寿の方だった。
「山下、あんた畑田さんとこの饅頭食った事あるんか?」
のっけからそれだった。
「いや・・無いです」
「ほな、食え。ほれから、意見聞こか」
おもむろにハンドバックから取り出したのは、先代が創作し守って来た、鶴饅と言う饅頭と、鶴羊羹・・畑田商店は、主にそれを主体にこれまでやって来た。息子である畑田俊夫は、東京の洋菓子店で修行し、パティシエとして、これからこの改築した店をやって行くつもりであるが、急逝した父、利和の味を守りたい、しかし、新しい味にも挑戦したいと言う事で、沢木に依頼したのであった。そして沢木は、恵比寿を担当者に指名した。
途端、ヤマチューは、
「美味い!これっちゃ、美味いですわ」




