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秘めた才能
「わし、もう一回自分の案出します。ほやきん、現場も見んと、実際図案やか描いたらいかんのです。それが分かりました。わしは、この通り何も知らんアホです。そやきんど、恵比寿さんの感性は凄い、正直思うたです」
たった1日で何が分かったと言うのか、そして自分の求めるものが何であるのか、分かってものを言っているのか・恵比寿はそう思い、
「今日、付き合い。ちょびっと晩に」
恵比寿は、他2人のコーディネーターはそれぞれ才能を持ち、沢木社長がスカウトして来たのは頷けるが、この若者に対しては、何故だろう・・そう思っていた。一つだけ分かった事がある。恐ろしくタフな男である事だけは確かなようだ。
「あ・・はい」
タクシーを使えば、帰れる距離だ。恵比寿は、今までの二人とも全く違うタイプのインテリアコーディネーターだった。不要な事は聞かないでおこう・・ヤマチュー はそう決意した。烈火の炎の如く、又彼女に火を点けたら止まらなくなりそうだ。この1週間が又苦痛になってしまうから・。
しかし、異色中の異色の転進だった。煌びやかな世界から何故・・?興味はある。




