992/3046
沢木の競翔
「おほ・・松竜号とは大きい名前じゃあ・・そやきんど、秋のこれまでの全レース優勝しとる逸鳩やきんな、それは名は体を現す」
口々に、形容するその姿は、ビロードのように艶やかな羽毛で猛禽類のような鋭い眼、圧倒するような大きな体。数々の銘鳩、俊鳩が誕生している夜風系にあっても、その名にふさわしい鳩と誰もが認めた。
「そやきんど、当日帰還・・3割で・・わしも、やっぱり敬遠したいわ。吹田は」
そんな声があちこちに充ちていた。勿論肯定派も拓さんいる。議論が熱中した。
「まあ、明日じゃ・・天気も回復するしの。明日に戻んて来たら、今度は10日あるきん、大江八幡300キロレースまでは」
サラリーマンの数が、圧倒的な現在の状況では、打刻出来た者が少なかった。当日戻って来たとゴム輪を持参する鳩舎が圧倒的。
「ここらも何とかせないかんのう・・」
松本達幹部もそう呟いた。




