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沢木の競翔

「未来なんぞ・・わしにやって分からん。そやきんど、目標は要る。おいやん、300キロで会わんな、しばらく又四国離れるきん、わし」

「仕事か・・相変わらず忙しい奴じゃのう、お前も」


 沢木は、帰って行く。

 沢木の鳩の世話は、山根が引き受けた。ヤマチューと善さんは、カイの世話を。カイも既に成犬に近い大きさになって来た。

 沢木不在の200キロレースは、殆ど全競翔家が打刻するので、てんやわんやの持ち寄り場所。そして、このレースは、難易な上に悪天に見舞われる事も多い。明日は、小雨、曇天の予報だった。しかし、合併して大所帯となった今期は、1日の順延が可能となった。但し当日放鳩が、2日になっただけの事で、翌々日も天候が悪ければ、順延の意味が無くなってしまう。更に悪影響が出る結果を招いてしまう可能性もある。放鳩委員には、服部と言うベテランが同行する事に急遽決まった。現役漁師でもある服部は、天候を長年の勘と、雲の流れで読む事が出来ると言う周囲の勧めで・・但し、彼はその為に打刻が出来ない。もっともっとこれからは、そう言った細部の事を、連合会として整備しなければならない。この日は幹部連中が服部に頭を下げる形で納まったが・・。

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