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沢木の競翔

 以前、常識的なそれまでの競翔スタイルを悉く覆し、その結果異端と称される一方で、鎌足に天才だと評価される競翔家であった沢木。そのスタイルは、30年の年月を経ても同じでは無いかと言う松本の言葉であった。更に競翔から戻った鳩を、そのまま訓練に連れて行く等聞いた事が無い。そのあたりの疑問も、言葉の中に含まれているようだった。

 沢木は、土産だと松本に渡し、鳩舎を見せてくれと言う。いよいよ200キロレースの登竜門である。

 沢木は、


「前から思うとったきんど、100キロ、150キロの2羽は松風号の子かいな」

「おう、そうじゃ」

「おいやん・・いよいよ集大成じゃのう、一気に松本夜風系が華開きよる」

「ふ・・」

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