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沢木の競翔

「何も、気悪うなんかせんわ。それはそれで面白い。山下は、人の動き、居住空間を一番に考えとるんじゃの、悪う無い。そやきんど、この中曽根茶園には合わんじゃろ。何でなら、中曽根さんは、全てが自分の世界、茶と言うもんにこだわっとる人じゃきんじゃ。その施主さんの気持ちを一番にする所に、今の仕事がある。山下流思考と、それぞれのデザイナーの思考が違うように、ぶつけ合う場では無いきん・・ただ社長じゃったら、その全てを網羅して互いに納得出来る方向を導き出しよる・・凄い人じゃあ」

「有難う御座いました!わし、ほんまに山根さんと、この現場やれて良かったですわ」


 ヤマチューは、眼の前がぱっと明るくなるのを感じた。白川にも学び、山根にも自分がどうあるべきかを教わった。沢木の人を見る眼は、やはり凄い・・ヤマチューは思った。

 土曜日の朝となった。沢木が、松本の家に来ていた。


「じゅん・・お前、とんでも無い事しよらへんか?」

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