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今日の一歩
「今日はここまで!」
環の声が聞こえ、由香里は、
「あー疲れたぁ・・」
車椅子に座った。でも、表情はすこぶる明るかった。母八重子が用意してくれた花柄のワンピース風のパジャマを着て、顔の汗を拭いている。少し前まで感じていた腰の痛みは、環の献身的なマッサージで、ほぼ消えていた。
「大分、臀部に筋肉がついて来たわな。10分立って、歩けとった」
環が言うと、
「ほんま!新記録じゃな、環姉ちゃん」
「日々伸びとるわ。この調子。ふふ」
環の表情も明るかった。後年、マイクロチップが小型・大容量・ 軽量化されるが、左右大腿部に埋め込まれたその電極は小型のパイプ状で、その手術痕は、これからミニスカートを着用するであろう、由香里の為に足首から指し込まれ、全く分からないようになっている。経過はレポートにまとめて、環が書く。それを、津島師長が監修し、そしてS工大の京西まで送られている。今やこの二人こそ、最強のコンビでは無いだろうか。




