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今日の一歩

 由香里の状況は、驚異的なものだった。最短でも年内一杯は、歩くまでには到れるかどうか。未だ順調に回復したとしても、時間が掛かるだろうと予測されていたのだが、既に自分でベットから立ち上がり、部屋の中なら歩ける程度までになっていた。それは、目覚めた時、自分の思ったように足の指が動かせた、その第一の奇跡に近い状態からから急速な進歩を遂げたのだった。進歩と言うか進化と言うべきか・・或いは回復と言えば良いのか。否・・由香里の場合は、自分の両足首を切断し、人工骨格に人工皮膚を巻き、大腿部に埋められた電極で、足首下の各指に至る部位を、脳波の指令で動かせる・・これぞこの時代には考えられない、遥か未来的なS工大の超最先端治療を施したのである。回復の言葉は適当では無い。進化と呼ぶべきかも知れない。彼女に行なった医学界に革命を齎す施術こそ、愛媛大学が是非取り入れたかった超医学。しかし、それは、民間に近い準公立病院にてリハビリ治療を行なうと言う・・極めて異例の措置となった。ここまでの全ての準備を香月は行ない、そして、由香里の身にすれば、精神の変調をきたしたかも知れない幽閉のような形の中で、自身が尤も信頼し、精神的にも肉体的にも支えになってくれる、環を指名した。そこまで一人の患者に気配りが出来る者・・津島師長は、もはや神の領域に居る人では無いかと、香月博士の事を感じた。

 今は、津島が環を叱咤する事はもう殆ど無い。環は、与えられた使命感において由香里に接するのでは無い。彼女しかここまで、由香里の世話が出来る者は居ないとさえ、津島師長は思った。

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