燧灘競翔連合会
沢木は、
「これで、山並さんとこの値引き分帳消しじゃ。2つの内、伊藤若冲の絵は、千林さんに返してやってや。金の事今言うたきんど、絵一つで構わん。博打で家屋敷無くした馬鹿な男でも、立ち直るきっかけになるじゃろし、先祖に詫びる事も出来るじゃろ。で・・隈川さん、この皿は、あんたも全く分からんかったようじゃのう」
「ああ、その大皿かいな。古伊万里でそのサイズは有り得ん。使うとる釉薬もちょっと違う。それはわしも紛い物じゃと思うたわ。」
「1万円で買うた。これな、隈川さん、藍川牧場言うて今出来よるんじゃ。そこの博物館に飾るきん。自分のもんにはせん・・これ、本物じゃあ、恐らく」
「ええっ!どれ、もっと見せてくれ」
隈川が驚き、大皿を眺める。
沢木が、
「恐らく、何かの依頼があって作った江戸時代、中でも最古と言われる獅子をあしらった物で、幕府の要人もしくは、諸国の大名が作らせたもんや無いかと、わしは推察しとる。隈川はん、もっと調べて見なあかんきんど、千林さんの先祖は今治城主、その城建設にあたった藤堂高虎と縁が深いん違うかいのう?そう推察したら、信憑性が増してくるじゃろ?伊達藩より古いもんとなりゃ、こなな大きな大皿焼く技術は相当なもんじゃし、釉薬じゃって未だ充分には確立されとらん時代じゃきん」




