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由香里と勇次

「いや、とりよ。それはの、どなな世界に在ってもじゃ、そこに見極める眼があってこそ、才あるものは磨かれ、守られ、育ち・・それが全ての根源よとわしは思う。沢木が見たんは、そなな未来の事とは違う。その鳩の本質じゃ。そして、その後は当に天才動物学者である香月博士が、競翔界を未来志向で見つめて、改良を加えておる。そう言う所に繋がるんじゃ。沢木はな、自分からもう一歩脱却しようとは思わなんだんじゃ。ほんで、その気持ちはわし等にも、よう分かる。あいつ程鳩が好きで居った奴は居らん・・そやきん引いたんじゃ。己を封じる為にな・・わし等はよう分かる」

「・・・・・・・・・・・」


 もはや、言葉は出なかった。全身全霊、沢木はすずらん号を愛し、その友と競翔人生を終えたと言うのか・・これ程の人物が再びこの東予連合会に影響を与えようとしているのか・・そう思った。しかし、沢木自身はきっぱり競翔からは身を引いていた。由香里の事を松本に頼みには来たものの、一切自分が今後鳩の事には口を挟むつもりは持って居なかったようだ。しかし、沢木の存在は、やはりどこかで競翔界と接点を持つ事になるのであった。

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