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燧灘競翔連合会
「ふむ・・ちょっと内装の見積もり変えたら2割ダウンは出来るかも知れん。この図案じゃったら大きいに変えんでも・・」
沢木が、そう呟くと善さんが、
「どなんした?それ・・使うんかいな?もしかして・・」
「ひょっとしたら、偶然の産物・・瓢箪から駒かも知れんね、善さん。わし、明日ヤマチュー連れて山並邸行って来ますわ。善さんは木工所の日やきん、事務所の女の子に送らせるきん」
「あ・・おう・・」
呆気に取られる善さんだった。まさか、その図案のままで使える事は無いだろうが、たった入社2ヶ月足らずである素人新人の図案が、採用される等有り得ない事であった。確かに光るものはヤマチューには感じる。人並み外れたバイタリティもあるし、やる気もあるが・・。もう少し白川の事を付け加えるが、岡山大学工学部にて流体力学を学んだ男で、幾何学的に理路整然と難解なパズルを組み上げる事が出来る、抜きん出た才能を持っている。当に、この山並邸のような物件には うってつけだった。
「えっ!今から社長と山並邸に?」
突然沢木に言われて、出社後驚くヤマチューだった。




