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燧灘競翔連合会

 すぐには、ヤマチューには理解出来そうに無い言葉だった。しかし、出来上がった物件に対して、自分ならこうやったと思うのは良い。他人の個性を見極める眼が出来るからだ。しかし、任されても居ない現場で、今から始めようとする物件に対して、自分を出しては駄目だ。担当は施主との打ち合わせ、材料の仕入れ、工期、全てを網羅して、初めてそこから個性をスタートさせる。ヤマチューのように形を最初から出すな・・善さんはそう言いたかったようだ。

 善さんは、


「まあ、このデザインをわしに見せて良かったわ。ヤマチュー・・沢木にこれ見せとったら、恐らく怒鳴られとったやろ」

「ほれ・・あきませんか、やっぱり・・」

「いや・・わしが言うたんは、否定ではあらへんねん。それだけ言うとく」


 ヤマチューががっくり肩を落とした。しかし、善さんは・・その眼は今度は優しかった。逆に聞けば、ヤマチューのデザインが否定された訳では無い。何かは分からないが、もっともっと勉強せえ・・そんな言葉に聞こえた。少し安心した。

 午後ちょっと過ぎて、沢木と香月が一緒に戻って来た。善さんと一緒に食事をしようと言う事になった。ヤマチューはその前に、善さんに言われた言葉を自問自答しながら帰っていた。

 沢木と、香月を見ていると善さんは不思議な感覚に囚われる。

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