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燧灘競翔連合会
「大変優れた血統の鳩ですね・・素晴らしいです。管理も充分だ・・」
では・・
一礼すると出て行った。環は、その持ち前の明るさとなつっこさで、忽ち喫茶店に笑いが満ちる。とりが、しばらくしてやって来る。きびきびと動くその姿を見ながら、競翔家達が大分集まって来た。洋司の鳩が戻ったのは午前7時20分。今日は、靄の為に放鳩が遅くなったんだと、とりが説明している。
「へえ・・8時前後な、皆・・」
そんな声が加藤、ター君から聞こえると、
とりが言う。
「何で・・そななもんじゃろ?6時45分に放鳩したんじゃきん。今日は70キロ訓練。分速1000メートルっちゃ標準じゃろがい」
洋司は、ほんなら、自分の鳩は早いほうかいな・・そんな事を思いながらも、先ほどまさか香月博士が顔を見せたなんて言いだす訳にもいかず、食器を洗っていた。その間にも、環はあっちで笑い、こっちで又笑い・・




