926/3046
燧灘競翔連合会
「はは・・浜、お前っちゃ無茶苦茶じゃのう、兄弟亡くして落ち込んどる人間殴るてかい・・ほなな事やんじょって、今じゅんがお前を援助しとるんは信じれんわや・・。まあええ、話が逸れた。実はの、じゅんは小学校の頃古銭収集しとったんじゃ。裏の家のおっさんが、旧満州で闇市やっとって、その時仕入れた「四決上下半星」ちゅう古銭じゃきんどの?そのおっさんが敬老の日に、台風で増水した川に落ちて死んでしもうた折り、遺品整理をしとった娘さんから貰うたもんじゃ。わしも当時古銭集めしよったきん、そのじゅんの古銭を見せて貰うた事がある。その時・・盗んだんがこれじゃあ」
土居はケースに入ったその古銭を鞄から取り出した。
「何じゃて?盗んだ?じゅんの古銭を?」
流石の浜田も、眼を剥いた。
「じゅんの兄貴は悪すんぼ(不良)でのう、単車買うんに、わしに金寄越せ。その代わりにその古銭盗ってええゆうて言うたんよ」
「何とまあ・・土居さん、わしは、人はしばいても盗るちゅう事はせなんだで。」




