燧灘競翔連合会
村本は、すぐ永川と血統について話を始めると、沢木は、今回は140人に届くであろうほぼ全会員が集まったのでは無いかと思える持ち寄り場所の中で、一人、一人に声を掛けて行った。沢木は既に全員の顔と名前を覚えている。そんな事は彼に取れば当たり前なのであろうが、沢木にも質問が集中している。
「沢木さん、見てつか・・わしの鳩」
何人かが、沢木に自分の期待する若駒を差し出した。
「初霜号系・・よう分からんのですが、どなな訓練しとんですか?」
沢木は一人一人丁寧に応対する。
浜田が居た。数人が囲んでいた。土居と言う東予連合会で浜田より5つ年上になるが、その男が、こう言っている。土居は呉服屋をやっていて、浜田印刷所にもちらしを依頼する得意先の一人である。
「カラー印刷やるんじゃての、浜」
「そうなんよ、土居さん、又そう言う注文あったらお願いしますわ」
その言葉に、土居が笑った。
「はは、浜・・お前、ちょびっと変わったの。無愛想な顔してぺこっと頭下げる奴だったお前が、ほなん事言うか・はは・おう、わしも商店街の連中に言うとく。カラー印刷となると、ちゃんとした写真も要るきんの」




