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燧灘競翔連合会
「50キロ訓練ちゅうてもの、近いとこは35キロ、遠い鳩舎は80キロも直線距離で離れとる。30分違うんはそう言う事よ。ほんでも、わしが答えたんは、同じ鳩舎の中で30分程度の違いじゃったら、殆ど問題無いちゅう事じゃ」
今度は、少し大柄で体重120キロはあろうかと言う山口・・図体はでかいが、この人物も実に温厚で大人しい男である。
「そやきんど・・同じ鳩舎で50キロで30分も違うたら、競翔では全くあかんので無いんですかあ」
それは、他の夢野も、志川も、永川も頷いた。それはそうであろう・・しかし、沢木は笑う。
「おいおい・・こりゃあかんのう・・一から言わないかん見たいじゃ。ほな、永川君から聞くわ。朝、餌やる時間はどの位じゃ?ほんでその量は?」
「あ・・はあ・・わし、朝が弱いんで、7時半にやっとります。ほんで、選手鳩は35羽で柄杓に1杯半やっとりますきんど・・」
長髪、黒ぶちの眼鏡・・陰気そうに見える大人しい人物だ。沢木は順番に聞いて行って、聞き終わると、こう言った。




